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静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
残響の果てに

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24/35

闇はすべてを呑み込まない

ポタッ…ポタッ…

木片が散らばり、煙がモクモク立ち込める中

赤い光が空間すべてを呑み込む

プハァッ!

目の前に立つ少女の視線

そして怯えた子供たちが母親にしがみつく

さっきまで銃口を向けていた白い装甲が

今は宙に浮き……鉄の鉤爪に貫かれ……

装甲が突き破られ……

そして……

ドクドクと溢れる滴が……

床を真っ赤に染めていく……

ギギッ…ギギッ…

「いや……ありえない……ありえない……」白い装甲がゆっくり鉤爪に手を伸ばす

「俺たち……全部破壊したはずだ……」

「この手で……俺が……」全身の装甲がガクガク震える

「その自信が仇になったんだろ?」赤い光の方から響く声

「俺たちの仲間が……どうして……」白い装甲がゆっくり振り向く

「当ててみろよ」

「俺たちは……何を間違えた……こんな目に……」白い装甲が鉤爪をギュッと掴む

「てめぇらと俺たちは……」男が操縦桿を握りしめる

「……すまねぇ……」

「だが、許せねぇ……」

「命令に従った駒だろうと……」男が奥歯をギシッ

「俺は絶対に……」

バキィィッ!

「家族に手ぇ出したヤツは一人残らず許さねぇ!!」

月明かりが周囲の目を照らし、家の中が一瞬真っ赤に輝く

そして一本の血の道が、家の中を縦に走る……

ゴォォォォォンッ!

月光の下、赤い滴が宙に舞い、白い装甲を追う

木っ端微塵の瓦礫とレンガが飛び散り、家が真っ二つに割れる

漆黒の巨体、燃えるような赤い目、豹を思わせる顔に長い牙

その視線が少女と子供たちをまっすぐ捉える……

………

「何……これ……何が起きてんだよ……?」ネネが呆然と機体を見上げる

「そのメカ……」三日月さんが振り向く

ひゃあっ!

「お母さん怖い……」翔也が母の服をギュッ

「…」圭がクマをぎゅっと抱きしめて三日月さんの腕に隠れる

「おーい!みんな聞こえてる!?」聞き慣れた声が響く

「この声……」ネネが目を見開く

「オイ!返事しろよ!!」

「レン!?お前か!?」

「他に誰がいるんだよ!」

ぎゅっ!

「お前……お前……」

「今まで何してたんだよ!?」ネネが拳を握りしめて振り上げる

「どこにいたんだよ!?」

「どこからその化け物引っ張り出してきた!?」

「なんで早く戻ってこなかったんだよ!?」

「だってよ……」ネネが顔を伏せる

「知ってる?……すっげぇ心配したんだから……」

「わかってるって!ごめんってば……」レンが操縦桿から両手を離すっと離す

「でも俺が何を経験してきたか知らないだろ?」

「このおっちゃんのせいで……」

ぎゅっ!

肩をギュッと掴む手……

男がうつむいたまま……

「まぁいいや、そんな話は後回し!」

「今はみんなをここから連れ出すのが先だ!!」

「レン……」ネネが手を後ろに伸ばす

「考えてみろよ、足を怪我してる人と子供二人だぞ」

「絶対安全なとこまで行けないって!」

「それに……」ネネが胸をドン

「こんな時間にこの街に安全な場所なんてあるわけ?」

「それは……」レンが頬を掻く

………

「ここだ!」男がパネルを指差す

「そこに何が?」レンが振り返る

「見たろ、ここに人間の熱源がある」

「でもなんでそこなんだよ?」レンが目を細める

「熱源ならこっちの方が圧倒的に多いだろ?」赤く染まったエリアを指す

カタカタカタ…

「甘いな、よく見ろ!」男が赤の少ないエリアを連打

「見てみろ、何かおかしいだろ……」レンがゆっくり指の先を見やる

「これって……」レンが目を見開く

「……熱源が……外に押し出されてる……?」

目の前のエリアでは

弱い熱源が……強い熱源から完全に離れて……

「おっちゃん、まさか……?」

「ああ、そこでは誰かが守りながら戦ってる」男が軽く頷く

「記憶が正しければ、黒鉄隊長の近くだったはずだ」

「今はあそこが一番安全だ!」

「じゃあさっさと行くぞ!!」レンが操縦桿を握る

「ネネ……」機体が頭を下げる

「何?」ネネが顔をしかめる

「早く乗れよ!」

「は?」ネネが首を傾げる

「安全な場所見つけた!早く!!」機体が熱源の方へ向き直る

「ったくあいつ……」ネネが鼻梁を押さえる

「さっきから何も聞いてねぇじゃん!!」

「言っただろ!!」

「俺たちみたいに走れねぇって!!」

「考えろよ!動いたら次の標的になるだろ!!」

「Hmmmm……確かに……」レンが目を閉じて顎に手を当てる

「あ!そうだ!!」

「じゃあ……」

ギギィ…カラカラ…

機体が頭を下げ、横に鉤爪を伸ばす

煙がモクモク……

口がゆっくり開く……

「みんなここに乗れば俺が運んでやる!!」レンがニッコリ

「は!?」ネネが腰に手を当て口を開ける

「冗談だろ!?」

「俺を飯扱いすんなよ!!」

「でもこれが一番安全だろ!!」レンがモニターをまっすぐ見る

「イヤよ!!」ネネがプイッと横

「もっとマシな方法あるでしょ!!」

はぁ…

「ったくあいつ頑固……」レンが伸び

「現実的になれよ!!」ネネが振り向く

トコトコ…トコトコ…

「さぁ、二人とも!」三日月さんがゆっくり機体に近づく

「三日月さん、でもあれが……」ネネが手を伸ばす

「ここで待ってるよりはマシでしょ?」三日月さんが微笑む

「気をつけてね!」子供たちが一人ずつ中へ

「でも……」

フゥッ…

「まぁいいか!!」ネネネが顔を上げて機体へ

ドドドッ…

「ちゃんと運転しろよ!!」ネネが口の縁に掴まる

「おう!天才ドライバーに任せとけ!!」レンが胸を叩く

カチカチカチ…

「頭と顎をしっかり固定しろ……」男がボタンを押す

「わかってるってば……」レンが男をチラ見

「おっちゃんもう何回目だよ!!」

ズシャッ!ズシャッ!

土煙が舞い、爪跡が道路に残る

獣型機体が街の影を縫うように疾走……レーダーの目的地へ……

………………………………………………………………………………………………………………

ガチガチッ!

バンッ!バンッ!

目的地に近づくほど光が鮮明に……

白い煙の向こうで青い光と金色の光が激しくぶつかり合う

ドゴォッ!ドゴォッ!

「おっちゃん、前見て!!」レンが光の帯を指す

「やっぱり読み通りだ!!」男が椅子から身を乗り出す

「でもこの状況で連れてくのは……」

「よし、ここで止めろ!!」男が操縦桿を引く

ズシッ…

獣型が足を止め、ゆっくり体を下げる

「おいレン、また何企んでんだよ!?」ネネが睨む

「安全な場所って誰もいねぇじゃん!!」

「俺も知らねぇよ!!」レンが首振る

「じゃあなんで止まるんだよ!!」ネネが拳を握る

「俺じゃねぇって、おっちゃんが……」レンが男を指す

「今はここにいてくれ!!」男が声を張り、機体を開いたままの家に向ける

「この状況じゃ直行は無理だ!」

「俺たちが戻るまでここにいろ!!」操縦席が前へ突進

ドドドドドッ!

「ってことで……」レンが操縦桿を握りしめる

「みんな待っててくれよ!!」

そして機体が煙と炎の中へ飛び込んでいく

「ちょっと待てよ!!」ネネが手を伸ばす

「それじゃわかんねぇよ!!」

「ったく……」三日月さんが微笑みながら呟く

「ここまで来たら……せめて家に帰らなきゃね……」

「バカだねぇ……」

「三日月さん、何か?」ネネが振り向く

「何でもない!さぁ中に入りましょう!」三日月さんが小さな手を二つ引く

………

ガガガッ!ガガガッ!

バンッ!バンッ!

ドンッ!ドンッ!

近づくほど画面に映る光景が鮮明に

二つの銃火が交錯し、槍が拳で弾かれる戦場

ガガガガッ!

「おいおっちゃん……」レンが振り返る

「作戦あんのか?それとも突っ込んでぶっ潰すだけ?」

「バカ言え!!」男が目をギラつかせる

「さっきみたいにやればいいだけだ!!」

バキッ!

ガガガガッ!

瓦礫が飛び散り、壁に爪跡が残る

煙柱の陰を縫い、獣型がゆっくり近づく

ガリガリッ!ガリガリッ!

屋根を軽く引っ掻きながら、獣型が角に身を潜める

カチッ…

「何だ!?」白い装甲数体が屋根へ銃を向ける

バラバラッ!

煙が四方に落ち、瓦礫がバタバタ

そして赤い目がチラチラ

ズズッ…ズズッ…

「ガキ、緊張しすぎだ!」男がモニターを睨む

「ゆっくりだ!ゆっくり!!」

「遠くのヤツから狙え!!」

「わかってるって……」レンの頬に汗がダラダラ

そして獣型が煙の中からゆっくり鉤爪を伸ばす……

ガチッ!

一機の白い装甲が隊列から引きずり出される……

残りがキョロキョロ

ガチッ!ガチッ!ガチッ!

次々と煙の中へ消えていく……

ガチャッ…

「何だこの化け物!!」白い装甲が後ずさる

ダダダダダッ!!

「撃て!!」一機が武器を握りしめる

ギャーッ!キャーッ!

次々と煙に呑まれ、赤い目に沈む……

煙が晴れると残った白い装甲が互いに寄りかかり……

体が硬直し、武器を握ったまま……

煙の向こうから現れる燃える赤い目と漆黒の巨体

ゴォォォォンッ!

炎の下に広がる真っ赤な地面……

.........

ギリ…ッ

「……すまねぇ……」男が小さく呟き、操縦桿を握りしめる

「だが他に方法がねぇ……」

「おっちゃん、今何か?」レンが振り向く

「いや……早く迎えに行こう!!」男がネネたちを置いた場所を見る

……

操縦席の二人が同時に凍りつき、目を見開く

目の前に……

必死に立ち上がろうとする少女……二人の子供を後ろに引く手……

そして立てない女性……

そしてその胸元に突きつけられた槍……

ギュッ…

「頼む……」男が操縦桿を握りしめ、唇を噛む

「やめろ!!」

「止めてくれ!!」

...

ズバァァッ!!

「もう俺の代わりに罰を受けさせるな!!」機体が一直線に突進

………………………………………………………………………………………………………………

ヒュッ…ヒュウッ…

体中に切り傷……

血で顔が完全に隠れる……

「なんで……こうなったの……」ネネが必死に目を開けようとする

「ねぇ……やめてよ……なんでそんな……」

クッ…フッ…

「てめぇらにそんなこと言われる筋合いねぇ!!」白い装甲が槍を握りしめる

「てめぇらが俺たちにしたことはいいけど、俺たちがしたらダメかよ!?」

「私たち……あなたたちに何したっていうの……?」ネネが子供たちをぎゅっと抱く

フフッ…

「知らないのか……知りたくないだけか……」白い装甲がネネをまっすぐ見る

「それとも……知らないふりか……」

「どっちでもいい!!」白い装甲が三日月さんを見て槍を振り上げる

「思い出させてやるよ!!」

「お母さん!!」翔也が手を伸ばす

「ごめんね!」三日月さんが微笑み、涙を浮かべる

「元気に生きてね!」

「てめぇらもそうしてればよかったのによ!!」白い装甲が槍を振り下ろす

ネネが子供たちの目を手で覆い、自分も顔を逸らす

三日月さんが翔也をまっすぐ見て目を開く

ゴウン…ゴウン…

近づいてくる音……

……

「でも……てめぇらはしなかった……」槍が振り下ろされる

ドシン…ドシン…ドシン…

獣型が全力疾走、地面に亀裂が走る

ガッシャァンッ!!

全員の視線が槍の持ち主へ

宙に浮くスープの滴……

潰れたラーメン屋の屋台……

飛び散る箸とスプーン……

そして「Ramen」の文字……

ガリッ…ガリガリッ…!

「何だ……」白い装甲が槍を地面に突き刺し身を低くする

そして月明かりの下、散らばった器とスープが道を濡らす

長い引きずり跡……

そこに立つのは……赤い短髪の長身の少女……

「ギリギリ間に合った!!」少女が腰に手を当て、もう片方で額の汗を拭う

「ツメ子……ちゃん……」ネネが固まって目を見開く

「何してんだよここで……」

「それ!?」ツメ子が笑顔でネネを見る

「当たり前だろ!みんなを迎えに来たに決まってんだろ!!」ツメ子が胸をドン!

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