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静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
残響の果てに

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23/35

静かな夜に響く叫び

[少し時間を巻き戻して]

………………………………………………………………………………………………………………..

まだ夜に沈む人波の中、ろうそくの灯りがわずかに揺れるばかり

二人の人間は……残りの群衆とは逆方向へ進んでいた……

………

バタバタッ…バタバタッ…

「ねぇ…おっちゃん…ちょっと遅くしてくれない?」レンが足をよろめかせながら必死に追いかける

「何言ってるんだ?もう躊躇ってる時間なんてない!」男はレンの手首をぎゅっと握りしめる

「時間がないって……でもそれって何のために……」

「説明してる暇はない、俺について来い!早く!」男は突然レンの手を離して走り出す

ダダダッ…ダダダッ…

「なんであの人……酔っ払ってるくせに……俺が……負けるなんて……」レンが息を切らして後を追う

……………

しばらく夜の闇の中を走り続けた後、二人は巨大な倉庫の前で足を止めた

周囲には誰もおらず、一筋の灯りも見えない場所

ハァッ…ハァッ…

「おっちゃん……」レンは両手を膝について背中を丸める

「俺たち……ここで何を……探してるんだ……?」顔を上げて男を見る

「なんで……そんなに急いで……」

シッ!

男の体は彫像のように固まり、唇をわずかに動かした

「静かにしろ、ガキ!と囁く

「なんで?」レンが男の方に目を向ける

「急に動くな!」男の唇が小さく動く

「ここは何かおかしい!」男は周囲に目を走らせる

「よく聞けガキ!」男はゆっくりとレンに向き直る

「俺の合図で……あっちの雲が月を隠したら……」

「倉庫の扉に向かって一直線に走れ、わかったな?」

「すぐわかったよおっちゃん!でもなんでそんなことしなきゃいけないの?」レンは姿勢を崩さない

「俺を信じろ!準備はいいか?」男は空を見上げる

「もちろんできてないよ!ていうか何の準備だよ?」

「3… 2… 1…」

そして薄い雲が月を隠した瞬間

「今だ!」男は一気に扉へ飛び出す

「ちょっとおっちゃん!」レンもすぐさま後を追う

ダダダッ…ダダダッ…

……

「ガンッ」

薄い雲はすぐに流れ去り……月明かりが再び道を照らす……

さっきまで照らされていた二つの背中は、今や倉庫の影の下でぴったりと寄り添っていた

「心の準備をしろガキ!」男は燃えるような目でレンを見る

「準備?でも何の?」レンが顔を近づける

「さっきから何が起きてるのかさっぱりわかんないんだけど!?」レンが両手をばたばた振る

「なんでここにいるの?なんで急いでるの?」

「なんで泥棒みたいにこそこそしなきゃいけないの?」

「奴らがここにいる……」男は鉄の扉に耳を当てる

「奴ら……って誰よ……?」レンは目を大きく見開いて男を見る

「敵だ……」男は軽くドアノブに触れる

「どういうこと?」レンは固まり、目を大きく見開く

「敵がここにいる!だから急がなきゃ、でないと……」

「ガラガラッ」

「……全てが……遅すぎる……」倉庫の扉が引き上げられ、二人はその闇を見つめる

…………………………………..

パチンッ…パチンッ…

空中で絶え間なく火花が飛び散り、

闇に呑まれた倉庫の中で光の粒が弾ける

ポタ…ポタ…

闇の奥から滴る音が響くが、何も見えない

「まずい!」男は拳を握りしめる

「まずいって……何が……」レンがゆっくり振り返る

「俺たちは……もう遅かった……」

…….

コツ…コツ…コツ…コツ…

「お前はあっちのスイッチを探せ、俺はこの辺だ」男はすぐ壁沿いに進む

「でもどこにあるかわかんないよ!?」レンは両手を顔の横に広げる

「壁を伝っていけば見つかる!」男の姿は闇に溶けていく

「わかった……」レンは反対側の壁へゆっくり進むレン

コッ…コッ…

「おっちゃんがあんなに慌てることって何?」レンは手を壁に這わせ続ける

「ったく、ただの倉庫なのに……」

ヌチャ…

「……普通の……」足が急に重くなる

ズチャ…ズチャ…

「何これ気持ち悪い!」靴底に冷たい感触がじわじわ伝わってくる

「どこだよもう……」レンは前へ前へと手を振り回す

「あ!やっと見つけた!」レンはにやりと笑い、スイッチをゆっくり上げる

………

「カチッ」

光が倉庫全体を包み込み、瞬間、レンの目が凍りついた

「ぎゃっ!」

レンはゆっくり後ずさり、まぶたが震える

視線が自分の足元へ……そこは真っ赤に染まっていた……

片手で服を掴み、もう片手で壁を叩き続ける

「ありえない……ありえないよ……」

「何これ!」

………

ザッザッ…ザッザッ…

「ガキ、何だ!?」男が急いで戻ってくる

「動くな!今行く!」

レンの震える指が前方を指し、唇も震え続ける……

体は石のように固まり、目は見開かれたまま……

「やっぱり……俺たちは遅すぎたか……」男は目を閉じて顔を背ける

………

巨大な機体は完全に破壊され……関節は粉々に砕け、フレームは崩れ……

エネルギー槽には無数の穴……引き裂かれた装甲から電線がはみ出し……

装甲には赤い跡が長く伸び……

操縦席の中では人々が頭を垂れ……絶え間なく滴が流れ落ち……

そして何人もの人間が……電線で縛られ空中に吊るされ……

目は白目を剥き、口は大きく開き、肌は青白く……

体には無数の刺し傷が……

「おっちゃん……何が起きたんだ……一体誰がこんなことを……」レンの拳がぎゅっと握られる

「人類共通の敵……魚族だ……」男はレンの視線を避ける

「でもおっちゃん前言ってたじゃん……俺たち昔は一緒に暮らしてたって……」レンは唇を噛む

「ああ……言ったな……」男は小さく頷く

「じゃあなんで……」レンが一歩近づく

「ギュッ」

「なんであいつらがこんなことするの!?」レンは男の襟首を掴む

「なんで俺たちはあいつら滅ぼさないの!?」

「なんであんな野蛮な連中と一緒に生きなきゃいけないんだよ!?」

「クッ」

「落ち着けガキ、俺もパニックだ……」男はレンの肩を強く掴む

「俺にももうわからん……」

「これは魚族のやり方じゃない……少なくとも俺が知ってる連中は……」男は周りを見回す

「ギュッ」

「でも今はそんな話をしてる場合じゃない……」男はレンの袖を強く握る

「奴らがここにいるってことは……」男は夜に沈む街の方を見る

「……もう俺たちを皆殺しにする覚悟ができてるってことだ」

「だから……ガキ……」男はレンを見つめる

「今、お前の力が要る」

「力?俺に何ができるって?」

「メックに乗れ!この前戦った時みたいに!」

「パシッ」

「おっちゃん酔っ払いすぎて目が見えてないの!?」レンは男の手を払い、顔をしかめる

「もう動く機体なんて残ってないじゃん!」レンは壊れた機体を指さす

「俺たち……もう何もできない……」

「まだ一台だけ……奴らが壊してない機体がある……」男はまっすぐレンを見る

「まだ……ってどういうこと……そんなはずない……」レンは目を大きく見開く

「ついて来い!」男は歩き出す

……………………….

ギギギッ…ギギギッ…

壊れた巨大機体の奥……

倉庫の小さな扉が開かれ、色あせた黄色い塗装に埃がびっしり……

「入れ!」男が扉を指す

コツ…コツ…

「これって……」レンは立ち尽くし、目が離せない

「驚くのも無理はない。こいつは滅多に使わないからここにしまってあったんだ!」男はゆっくり近づく

「でもおかげで奴らに見つからなかった!」

今、二人の前に現れたのは……紫の照明の下に収まる巨大な機体……

長い両腕……細い両脚……厚くて平べったい黒い装甲が全身を覆い……

手足には長い鉤爪が生え……

頭部は豹を模した形状で……口の両脇に長い金属の牙が伸びている……

「紹介しよう……」男は腰に手を当てる

「パンサー……市街地と山岳戦闘専用の設計モデルだ」

「こいつ……」レンは口を開けたまま見上げる

「この腕じゃ俺は操縦できない……」男はギプスを巻いた腕を見る

「だからガキ……」

「ギュッ…」

「俺に力を貸してくれ!」男は頭を下げ、レンの手を握りしめる

「嫌だ……嫌だよ……」

「もう……失いたくない……」

「……大切な人たちを……二度と……」涙が床にぽたぽたと落ちる

……………………..

静かな夜の中……まだ眠り続ける人波……

月明かりが路地を照らす……

「ガギャァン!!」

壁が吹き飛び、鉄骨が飛び散り……

煙塵の中、赤い目が街路を疾走する……

………………………………………………………………………………………………………………

灯りの消えた家並み……川沿いの小さなろうそくの灯り……

一軒だけ明かりが灯り、扉が開いたままの家……

カチ…カチ…カチ…

時計はまもなく深夜0時を指そうとしていた

「どうしてみんなまだ帰ってこないの?」ネネは両手を握りしめ、道を見つめる

「もう遅いってわかってる?」

コツ…コツ…

「まだ立って待ってるの、石川さん?」三日月さんが杖をついて近づく

「早く休みなさいよ、私に任せて」

「そんなわけにはいきません!」ネネが振り返る

「だってあの人たち、私の友達なんですから、私が待つべきなんです」

「それに、もう十分ご迷惑かけてるのに、これ以上頼めませんよ」ネネは微笑む

「いいのよ……」三日月さんは優しく笑って玄関へ向かう

「私、待つことには慣れてるから……」

「もう少し待ったって、平気よ……」

「たとえ……」三日月さんの頬に涙が伝う

「……その人が二度と戻らないとしても……」女は月を見上げる

「そんなのダメです、三日月さん!」ネネが顔を近づける

「これ以上ご好意に甘えられません!」

「それに……」

「私が直接待ってなきゃ、帰ってきたら遅いみんなをガツンと怒れないじゃないですか!」ネネは拳を握る

ククッ…

「だったら私も一緒に怒らせてくれない?」三日月さんが口元に手を当てる

「それくらいなら……いいですよね……」ネネは扉の方へ向き直る

………………..

コツ…コツ…

「言ってるそばから……」ネネは笑って街の方を指さす

「ほら、ようやく帰ってきたよ!」ネネは腰に手を当てる

「一体何してたのこんな時間まで!?」

「レンはもう言うまでもないけど……」

「篠美さんも十神さんも一緒ってどういうこと!?」

トコ…トコ…

「ねえ、急にどうしてみんな黙ってるの?」ネネの顔が曇り、足が後ずさる

「何か言ってよ!何でも許すから……

トコ…トコ…

「みんなのこと心配してるだけだよ、黙って近づかないで!」ネネは腰を落とし、近づく黒い影を見据える

ガチャッ…ガチャッ…

黒い影が急に加速し、家に向かって突進してくる

どんどん、どんどん……近づくほどに巨大になっていく……

「バッ」

「石川さん!早く逃げて!」三日月さんがネネの肩を掴み、ドアをバタンと閉める

バンッ!... ドンッ!

激しい叩きつけ音が続き、ドアが押し戻され続ける

ギィッ…

「絶対に入らせない!」ネネが急いで椅子を引きずってドアを塞ぐ

「これも使って!」三日月さんが軽い物を投げてくる

「パチッ」

部屋の灯りが消え、全ての家具がドアの前に積み上げられる

バンッ!... ドンッ!

ドンッ!

………

ハァッ…ハァッ…

「もう……行ったかな……」ネネはドアを凝視する

「そうだと……」三日月さんは杖を握りしめる

トコ…トコ…

背後から小さな足音がして、二人は一瞬で振り返る

「お母さん!どうしたの?」翔也が目をこする

「ネネちゃん……何してるの……お兄ちゃんは……?」圭がクマのぬいぐるみを抱きしめる

「何でもないのよ、ちょっとお母さんがうっかり片付けちゃっただけ」三日月さんが子供たちに近づく

「そ、そうだよ……何でも……ない……」ネネの唇が震える

「お母さんがまた寝かしつけるね」

………………

コンコン…

コンコン…コンコン…

玄関が激しく揺れ、ひび割れが走る

「お母さん、あれ何?」翔也がドアを指さす

「ネネちゃん……怖い……」圭がぬいぐるみをぎゅっと抱く

ガシャァン!

木片が飛び散り、家具が粉々に砕け散る

そして巨大な槍が……彼らの前に迫る

ひゃっ…ひゃっ…

キャーッ!

子供たちはすぐ三日月さんの背後に隠れ、震える手で服を掴む

「お前たちは何者だ……何が目的だ……」ネネはゆっくり後退り、目を大きく目を見開く

「下がれ……下がれ!」ネネは両手を振り続ける

「下がれって言ってるだろーが!!」

ヴゥゥゥ…

巨大な装甲が武器を向け、青い光が眩しく輝く

「俺たちを恨むな……

「お前たちが恨むべきは……俺たちをここまで追い込んだ奴らだ……」

……

「お母さんごめんなさい!ごめんなさい!」三日月さんが振り返り、子供たちを抱きしめる

…………………………….

ガシャァン!

青い光が突然消え、装甲が武器を下ろす……

そしてその背中から……水が滴り落ち……

……鋭い爪が胸を貫き……

入り口から赤い光が爆発的に広がる……

「俺の家族に近づくな!!」赤い光の中から轟く声


みなさん、こんにちは!

今日はちょっと急なんですけど、小さなお知らせがあります。

今、過去に書いた章を大きめに改稿中です。

ざっくり言うと、最初の8章を中心にガッツリ手を入れてます。

改稿した章は、毎週土曜日の11時ごろにアップしていきます。

で、ちょっとだけ我慢してもらえると助かります。

今この本編を書きながら、前日譚も同時にやってて、

さらに古い章の修正もあって、仕事も試験勉強もあって……

本当に、一人で全部やってると体力ヤバいんですよ……

でも! rewriteはちゃんと全部終わらせるし、2作品とも進行は止めません。

もし時間あったら、ぜひ覗きに来て読んでみてくださいね!


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