残響の果てに
闇が四方を包み……
霧が視界を覆う……
…
ビリビリ…
奇妙な映像が突然目の前に浮かぶ……
「ここ……どこ……?」俺が薄目を開ける
…
パシャッ…パシャッ
「こんにちは?」俺はゆっくり周りを見回しながら歩く
「誰かいる!?」
…
パッ!
周囲が一気に明るくなり……
見知らぬ教室……
顔のない影たちが俺を囲む……
「よしみんな、今日は地球の構造を勉強するぞ」
…
「何これ……?」俺が後ずさり、目を見開く
…
「誰か先生に、地球はどんな層でできてるか教えてくれないか?」講壇に立つ影がケーキを持っている
……..
ブツブツ…ブツブツ…
映像が歪み始める……
…
「先生、食べられるの?」遠くの影たちがケーキの方に首を向ける
……..
ブツブツ…ブツブツ…
…
「三層です!!」教室中が一斉に答える
「正解。地球も同じだ」
…
ブツブツ…ブツブツ…
…
「一番外側が……70km……マンティ、そして最後に……」
…
ブツブツ…ブツブツ…
…
「地球の核」
…
「何が……起きてんだよ……?」体が固まり、目が大きく見開かれる
「一体……」
…
ブツブツ…ブツブツ…
…
「先生!!」一つの影が立ち上がる
…
「人間はどうやってこの惑星の構造を知ったんですか?」
……………..
ピカッ!
強烈な光が目の前で炸裂……
「うわっ……」俺が手を顔に当てる
…
突然、巨大な講堂が現れ……
何千もの視線が俺に向けられる……
後ろから一人の影が進み出て……
…
「世紀の天才たちよ……」
「……俺たちがやらなければ誰がやる?」
カチカチ…カチカチ…
講堂中が一斉に立ち上がり、笑みを浮かべる
……
ギラッ!
巨大なテレビ画面が現れる……
「本日、史上初めて、人類は新希少金属化合物を発見しました」
…
ザーザー
「フォロックス合金により……科学の新時代が始まる」
……………..
ボッ!
光が突然消え……
闇がすべてを覆う……
…
ガキィン!!
遠くから巨大な金属音が響き……
火花が四方に散る……
二つの巨大な影が武器を向け合う……
…
「何だよ……あれ……何だ……?」俺が固まり、目を見開く
ガァン…ズガァン…
衝撃波が響き渡る……
…
「うわぁぁぁ!!!!」俺が両手で耳を塞ぎ、目を細める
…
そして武器が止まり……
声が響き始める……
「……攻撃するな……それは……」
「……責任……守る……」
「……他に方法が……」
…
「静かにしてくれ!!」俺が体を低くし、頭を抱える
……
闇が再び覆い……
映像が煙のように消え……
目の前に黒い影が現れる……
…
「運命はいつも俺たちをこの道へ導く……」影が俺に手を差し伸べる
………………………………………………………………………………………………………
「ハル!!」ぼやけた映像が目の前に……
…
「ハル!!」俺が必死に目を開けようとする
…
「ハルゥゥゥゥ!!!!」見慣れた顔が目の前に現れる
…
「ハル、大丈夫!?」汐美が目を大きく見開き、顔を近づける
「何かあったの?」汐美の手が俺の手をギュッと握る
…
うぅ…うぅ…
「俺……」俺が額に手を当て、目を開ける
…
「大丈夫……」
「……ただの悪夢だよ」俺が微笑み、手を下ろす
…
「ここ……どこ……?」俺が周りを見回す
「何が……起きたんだ……?」
…
「もう三日以上気絶してたんだから!!」汐美が顔を近づける
「知ってる?私めっちゃ苦労してここまで運んだんだよ!!」両手がギュッと握られる
…
「俺……ごめん……」俺が顔を伏せる
「迷惑かけちゃって!!」
「いいよ!!」汐美が腰に手を当てる
「だってハルなら私にも同じことするでしょ!!」
「ね!?」汐美が笑顔で目を大きく見開いて俺を見る
……
突然、記憶の片隅で声が響く……
「……もう……敵じゃ……」俺の目が大きく見開き、両手で毛布を握りしめる
…
「聞き間違え……かな……」俺が小さく唇を動かす
…
「ねぇハル、どうしたの?」汐美が首を傾げる
…
「……いや……」俺が毛布を緩め、肩を落とす
「何でもない」
…
「きっと……聞き間違えだ……」俺が心の中で呟く
…………….
「でもさ……」俺が周りを見回す
「レンと石川さんは……」俺が汐美に微笑む
「二人ともどうなったんだ?」
…
ドガンッ!
瓦礫の山と巨大な触手の影が脳裏に浮かぶ……
…
「圭……」俺の目が大きく見開く
…
ハッ!
「圭!!!!」俺が汐美を見る
「妹どこ!?知ってる!?」
「まさか……」
…
そっと…
「安心してハル!!」汐美が俺の手を握り、満面の笑み
…
「あの水怪は俺たちのいたエリア周辺だけ襲ったみたい」
「圭ちゃんは……きっと大丈夫だよ……」
「でもネネちゃんと小林さんは……」汐美が手をギュッ
「わからない……」
…
ぐっ…
「俺は探しに行く!!」両手でベッドを握りしめ、唇を噛む
…
はぁ…
「その状態で歩けるわけないでしょ……」汐美が軽く首を振る
…
「私が手伝う!!」
「手出して!!」汐美が手を差し伸べる
…
「でも……こんな……」俺が顔を逸らす
「いいよ!!だってずっとこうしてたじゃん!!」汐美が笑顔で俺の手を首に回す
………………………………………………………………………………………………………
眩しい光が道を照らし……
昨日まであった街が……
今は瓦礫の山……
レンガが散乱し……
道路に穴が無数に……
…
ガラガラ…
カラカラ…
清掃メカが戦場を片付け……
奇妙な軍服の人間たちが家を捜索……
………
トントン…トントン…
荒れ果てた道を越え……
崩れたビルをくぐり……
…
目の前に現れたのは……
完全に崩壊した瓦礫の山……
生活用品が石の下に挟まり……
歪んだショッピングカート……
地面を覆う真っ赤な色……
…
ヒラヒラ…
赤い紙が俺の足元に飛んでくる……
角に太い文字で名前……
「小林レン……」俺が目を見開き、小さく唇を動かす
…
パッ!
光が一瞬閃く……
…
コツコツ…コツコツ…
近づく足音……
瓦礫の中から血に染まったヘアピン……
いつも友達の頭にあったヘアピン……
「石川さん……」汐美が俺の手を離し、近づく
……………………
ギョッ!
「こんな……」汐美が口元に手を当てる
「ありえない……」俺の手がギュッ
「一体……何が……起きたんだ……?」
「なんで……」
「なんでこんなことに!!!!」俺が瓦礫に向かって叫ぶ
…
「ハル……」汐美が近づき、手を伸ばす
「落ち着いて!!」
…
「どう落ち着けってんだよ!!」俺が両手を振り回し、汐美をまっすぐ見る
「なんで全部こんなことに!!」
…
触手の影が脳裏に浮かぶ……
「あいつ……」
「あいつがいなけりゃこんな目に!!」俺が拳を握りしめる
…
つんっ
「ハル……違うよ!!」汐美が俺の手を掴む
「そんなんじゃない!!」
「あいつら……守ってただけ!!」
「きっと誤解が!!」
…
「お前……今何て……?」俺が汐美を振り向き、目を見開く
「私……そういう意味じゃ……」汐美が手を引っ込める
…
「守る!?」俺の手がギュッ、目が震える
…
「何を守ってんだよ!!」
「何を守って俺たちを襲うんだよ!!」
「どんな守り方だよこれ!!!!」
…
「でも……」汐美が体を縮め、両手を絡める
「でも……彼らが望んで……じゃない……」
「仕方なく……」
…………………………………..
ザクザク…ザクザク…
「あの娘何言ってるの?」男が近づく
「なんで怪物を庇うの?」女が続く
「最近の若者は……危険がわかってないの?」視線が集まる
ザワザワ…ザワザワ…
…
「ごめん……そういう意味じゃ……私ただ……」汐美が顔を伏せ、両手をギュッ
「汐美……俺は……そういう意味じゃ……」俺が汐美に手を伸ばす
「俺……思ってるような……」
…………
ガンッ!
「早とちり病いつ治すんだよ!!」頭を叩かれる
「誰が死んだって!!」
「ったく、俺がそんな簡単に死ぬわけねぇだろ!!」満面の笑み
…
「レン!!」俺が目を見開き、振り向く
「お前……お前……でもどうやって……」
「小林さん……」汐美が顔を上げる
…
「運が良かったのか悪かったのか……」レンが頭を掻く
「でもあの喧嘩のおかげで早めに追い出されてさ!!」
…
ふぅ…
「…」俺が肩を落とし、目を軽く閉じる
「ネネならあっちの集落で手伝ってるよ」レンが遠くのテントを指す
…
「そうか……」俺が汐美を見る
「だから会えなかったんだ……」
「よかった!!」汐美が手を緩める
…
うーん
「まぁここじゃ話しにくいし!!」レンが周りを見回す
…
トコトコ…トコトコ…
「ついて来いよ、ネネのとこまで!!」レンが指の方向へ歩き出す
…
「あそうそう……」レンが振り向く
「圭ちゃんも俺たちと同じエリアにいるぜ!!」
「マジ!?」俺が目を見開く
「嘘ついて何の得がある!!」レンが胸を叩く
…
「さっさと行ってやれよ!!」
「この数日すっげぇ心配してたんだから!!」レンが笑う
「じゃあ急ごう!!」俺が汐美に笑顔
「行こ汐美!!」
「……うん……」汐美がゆっくり手を差し出す
……………………………………………….
コツコツ…コツコツ…
瓦礫を越え……
切れた電線をくぐり……
白いテントが目の前に……
……..
「汐美!!」俺が軽く汐美の肩を触る
「さっきはごめん……」
「きっとお前の言う通りだ……」
「全部……ただの事故だったんだろうな」
「突然の天災みたいなもんだよな!!」俺が汐美に笑顔
…
「言ったじゃん……」汐美が顔を上げて俺を見る
「でもいつも聞かないんだから……」
「その短気いつ治すの!!」汐美が頬を膨らませる
「それで私に怒鳴るし!!」
…
パンッ!
「ごめんって!!」俺が両手を合わせる
「俺が焦りすぎたんだ!!」
「今回だけ許してくれ!!」
…
「どうせまたやるくせに!!」汐美がプイッと横
「お願い!!もうやらない!!」俺が体を寄せる
…
「もうお前ってヤツは!!」汐美が振り向く
「でも答えてよ……」
…
「もし全部……事故じゃなかったら……」汐美が目を見開き、小さく唇を動かす
「……どうする……」
「それは……俺……」顔が固まる
…
ウフフ…
「冗談だよ!!」汐美が満面の笑み
「顔に向かって怒鳴る癖治してよね!!」
…
「確かに……俺が悪い!!」俺が頭を掻く
………………..
「うん……二人とも……」レンが振り向く
「生ロマコメは興味ねぇよ……」
「それに……」レンが前を指す
「あいつもそうだぜ……」
…
ドタドタッ…タッタッタッ…
バッ!
小さな影が俺の胸に飛び込んでくる……
…
ぐすっ…ぐすっ…
「バカ兄ちゃん、どこ行ってたの!?」圭が涙目で俺を見る
「妹がどれだけ心配したか知ってる!?」
「ごめんな……」俺が圭の頭を撫でる
「ちょっと……色々あって……汐美もな?」俺が汐美を見る
…
「圭ちゃんに言わないの!?」汐美が指を口に当て、片目ウインクで笑う
「二人の秘密!!」
…
グルル…グルル…
「このクソ兄ちゃん!!!!」圭が唇を噛み、俺の服をギュッ
「だったらさっさと手伝えよ、ネネお姉ちゃん下で死ぬほど忙しいんだから!!」圭が俺を白いテントへ引きずる
………………………………..
慌ただしい空気の中……
無数の鍋が火の上に煙を上げ……
大勢が料理に没頭……
石川さんが一つ一つの鍋を真剣に見つめ……
…
俺の視線が止まる……
黒い長い髪の女性……
目元に小さな四角……
背筋に走る奇妙な既視感……




