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超妹理論  作者: 揚羽常時
二年生三学期編

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リミットは三学期2


 外は雪景色。


 であるから外出はあまりしたくないのだけど鏡花の問題だというのなら外に出る他ないだろう。


 さて、鏡花の担当病院は少し遠かった。


 車で三時間ほど。


「帰りは遅くなる」


 と華黒には伝えてある。


 である以上華黒が警戒したのも無理はないけど、しょうがないと割り切ってもらうしかない。


 雪景色を見ながら昴先輩が言った。


「本当は真白くんと鏡花を会わせるわけにはいかないのだがね」


 だろうね。


 ほとんど僕が原因だろう。


「でもまぁ」


 と言って一区切り。


「…………」


「…………」


 しばしの沈黙の後、


「真白くんがいなければ先に進まないのも事実だ。」


「そうですか?」


「会いたがってるよ、鏡花は。そして同時に怯えてもいる」


「なんだかなぁ」


 なんで僕は女の子を追い詰めることしかできないんだろう?


「それは私も一緒だよ」


 サラリと心を読まないでもらえます?


「顔に書いてあるよ」


 そう言ってくっくと昴先輩は笑った。


 そんなこんなで病院につく。


 大学病院だ。


 かなり大きい。


 ……当たり前か。


「見舞いの欄には酒奉寺華黒と書いてくれたまえ」


 そっちの方が話がスマートに運ぶ。


 と昴先輩。


 それから鏡花の病室に顔を出す。


 立派な個室だった。


 さすがに酒奉寺の分家ともなればこの程度は軽くやってのけるらしい。


「あ、昴先輩……と……あ……」


 水月の瞳に憂いが宿った。


「元気かな?」


 そんな愚にもつかない挨拶に、


「はい。おかげ様で」


 寂しげに笑って見せる水月。


「鏡花はどうしているんだい?」


 昴先輩の言葉に、


「怯えてますよ」


 苦笑で返す。


 人格同士で意思疎通が出来るって便利ね。


「やっぱり僕が原因?」


「光の当て方にもよりますよ」


 まぁある意味で誰が原因かは人によって変わるだろう。


 僕かもしれないし華黒かもしれない。


 当人かもしれないし巡り合わせた昴先輩かもしれない。


「でもよく面会通りましたね」


 僕の存在が心の負担になっているためある種当然の疑問だ。


「ま、やり方は色々あるさ」


 偽名を使っただけなんだけどね。


「とりあえず見舞いに花を選ばせてもらったけど良かったかい?」


「ありがとうございます昴先輩」


「では花瓶に」


 そう言って花瓶に水を注いで花を挿す。


「僕がいて大丈夫?」


「鏡花にとっては多少負担でしょうけど何とか」


「ごめんね」


「真白先輩が謝ることではありません」


「本当にそう思ってる?」


「まぁ色々と原因はありますし」


 苦笑。


「真白くんと離れた方が鏡花も安定するんだろう?」


「ええ。ですからリミットを設けられました」


「リミット?」


「三学期いっぱいで元の学園に戻ります」


「そうでもしないと鏡花が持たない……か」


 憂う僕とは対照的に、


「なるほどね」


 昴先輩は面白そうに笑っていた。


 何が面白いんだろう?


 今の僕にはわからなかった。


「純情だね」


 と昴先輩。


「ええ、まぁ。華黒先輩はすごく素敵ですし。鏡花も真白先輩を慕っていますし」


 はにかむ水月。


「まだ好きでいてくれてるの?」


「大好き……だそうですよ?」


 鏡花の意思を代弁する水月だった。


「私も好きだぞ真白くん」


「鏡花のストレスに繋がりますから止めてくださいね?」


「むぅ」


「鏡花大丈夫?」


「またちょっと凹みました」


 水月の苦笑。


 だろうね。


「鏡花?」


 僕は水月の背中に隠れている鏡花に声をかけた。


「元気になったらまた戻っておいで。君たちと一緒に遊ぶのは悪くない」


「了解だそうです」


 水月が微笑みながら鏡花の言葉を代弁してくれた。


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