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超妹理論  作者: 揚羽常時
二年生三学期編

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風紀委員とかあったね1


 一月某日。


 曜日は平日。


 北風に凍えながら華黒を連れて僕は登校の途についていた。


 その華黒に水月が引っ付き、後ろではルシールと黛がレズレズしてた。


 寒い気温だけど心は暖まる。


「むむ。ルシールまた胸が大きくなりましたか?」


「………………昨日の……お風呂でも……黛ちゃん……それ言った……」


 何やってんの黛さん。


 まぁルシールとの友情のために拷問かますクレイジーさんであるのは必然なのでルシールスキーなのは間違いないだろうけど。


「えへへぇ。兄さん?」


「ふははぁ、なぁに?」


「今日は夕飯を外でとりましょう?」


「別にいいけどデートのお誘い?」


「ダメですか……?」


 僕からの拒絶を何より恐れる華黒だ。


 だから僕はポンポンと華黒の頭を軽く叩いた。


「嬉しいよ」


 それだけで、


「……っ!」


 パァッと華のような笑顔を見せる華黒だった。


 さっきまでは僕のコートの袖を握っていたのだけど、今度は腕に抱き着いてきた。


「大好きです兄さん」


「ん。ありがと」


 ほどほどに答える。


 調子に乗せると面倒だから愛を紡ぐのは別の時で良い。


「先輩。俺にも愛をください」


「謹んでごめんなさい」


 けんもほろろ。


「兄さん以外は皆々敵だ」


 が華黒のスタンスで、


「ていうか何で兄さん以外の人間って生きているのでしょう?」


 という過激な真白ニズム原理主義者でもある。


 例外は自身とルシールくらいか。


 それを足掛かりに黛とも仲良くなって、溌剌な黛に引っ張られる形で心を許せる友人関係を構築してもらいたいのだけど今は言うまい。


 華黒にしてみれば、


「兄さんの病気を治す方が先決です」


 とのことだから。


 実際正月に白坂さん家でリスカした的夷伝さんとかと仲良くしたら同情してリスカにはまる可能性もある。


 そういうのから遠ざけるために華黒は常に僕に寄り添う。


 人と云う字はよくできている。


 金○先生よきことゆった。


 無論真白スキーであるため、


「兄さんのそばにいたい」


 も嘘や建前ではないのだけども。


 あれこれ考えていると、校門の前に人の壁が出来ていた。


 男子から女子まで色とりどり。


 が、圧倒的に男子が多い。


 制服を見るに瀬野二の生徒だろうけど……。


 一人がメガホンを片手に声を張り上げた。


「百墨真白ー!」


 僕?


「我々は! 乙女救済交渉団の同志たちである! 俺は皆を代表して! 百墨真白を弾劾する!」


 ああ。


 オチが見えちゃったな。


 ていうか校門ギリギリ校内側で結成しているため警察も出張るわけにはいかないのだろう。


 南無。


「華黒さんを篭絡せしめ! ルシールちゃんを独占せしめ! 黛ちゃんをほだしせしめ! 新たなに瀬野二の栄えある生徒となった千夜寺水月ちゃんに手を出す蛮行! 天下国家が許そうと! 我々乙女救済交渉団が許しはしない! 天下万民の今後千年における栄光と安寧のために我々は決起した! せざるをえなかった! 心せよ! 我々の政治的主張は誰にも止められない!」


 学生運動みたいなものだろうか?


「ていうか」


 どないせーっちゅうの?


 校門では僕に敵意をぶつけてくる生徒多数。


 何が恐ろしいって華黒と黛の暴走が一番恐ろしい。


 こと心に魔を飼っている二人だ。


「真白の敵は自分の敵」


 と短絡的な思考に容易く陥るだろう。


 だから僕は、


「待った」


 とマフラーを引っ張った。


 華黒のマフラーは僕のと繋がっている。


 黛のマフラーはルシールのと繋がっている。


 それを引っ張ったのである。


「「ぐえ」」


 と冬眠から叩き起こされたヒキガエルのような声を上げる二人。


「暴走しない」


「でも兄さん……」


「お姉さん……?」


「僕は何も感じていないから」


「兄さんは痛みに鈍感すぎます!」


 だってそうじゃなきゃあの時は華黒を守れなかったし……。


「華黒は僕の痛みに敏感すぎだよ」


「兄さんの鈍感!」


「そのセリフ……スマホの着メロにしていい?」


「私は真面目に……!」


 とさらに糾弾しようと本末転倒なことになりそうな時に、


「……っ!」


 千夜寺さんが顔を真っ青にして倒れた。


 僕が優しく受け止める。


 それが水月ファンには面白くないらしく、乙女救済交渉団の怒りの声が激しくなるが、ウェストミンスターチャイムには逆らえなかった。


 が、こちらはそれどころじゃない。


 僕は水月を担いで保健室に急いだ。


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