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【書籍&コミック4巻発売中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
四章

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85/112

17 切り替えが上手いです

「失礼します……って、hikariさん?」


 案の定、入って来た若い女性スタッフさんは、hayateの楽屋にいる俺に目を丸くした。

 俺が上手い言い訳をする前に、即座に会長がhayateモードでフォローを入れる。


「ああ、hikariさんは挨拶に来てくれていてね。僕の方がモデルとしては後輩なんだけど、可愛い上に礼儀正しい女性で感服してしまったよ」

「あっ、そうだったんですね! おふたりが並んでいると目の保養です……!」

「ははっ、ありがとう。今はモデルのなんたるかを説いてもらっていたところだったんだ」

「そんな貴重なお時間を邪魔してすみません……」

「いやいや、いいよ。貴重な時間はスタッフである君も同じだろう。いつも快適な撮影をありがとう」

「はわっ……!」


 甘いとろけるようなhayateの微笑みに、本当にスタッフさんがデロデロにとろけている。

 真夏に放置していたチョコレート状態だ。


 会長は俺よりもスイッチの切り替えが早く、hayateモードでのスマートな言動には一切の隙がない。

 どっかの店のナンバーワンホストにだってなれるよ、それか詐欺師。


「それで、用件を聞いても?」

「は、はいっ!」


 スタッフさんと入り口でやり取りをする会長。

 所在なくソワソワする俺に気付いてか、会長は口パクで「ちょっと待っていてね」と言って、華麗なるウィンクを決めた。


 俺にファンサされましても。

 星が散ってましたけども。


 やり取りは五分程度で終わり、スタッフさんは慌ただしく去っていった。

 会長は「さて」と無駄に洗練された仕草で、その眩い金髪をかき上げる。そして有無を言わさぬ圧を待って、くるりと俺の方を振り向いた。


「それじゃあ、各自着替えてスタジオ入り口前で集合しましょう。私の護衛兼マネージャーのクリスティーナには話をつけておくから、どこか庶民的なところで話し合いたいわ」

「庶民的なところって……」


 会長がお嬢様でもあることをまざまざと思い出させられる。護衛がいるってのもフィクションの世界だ。


 俺と同じ庶民派代表の雨宮さんが聞いたら、「映画みたいだね……!」と興奮しそうである。可愛い。



「……今、雨宮ちゃんのこと考えていたでしょう?」

「な、なんでわかるんですか!?」


 ズバリと言い当てられて、盛大に狼狽する。

 会長には「hikariの顔面が崩れそうなほどデレデレしていたもの」と指摘され、俺はペタペタと頬を触った。


 俺は会長より、モードの切り替えが下手なのかもしれない。地味にショックだ……。


 兎にも角にも、会長には高圧的な雲雀とは別の意味で逆らえないので、この後の約束を一方的に取り付けられた。


 俺は自分の楽屋に戻り、完全な光輝へと戻る。

 そうして、会長を待たせたらなんとなく怖いので、集合場所に指定されたスタジオ入り口前まで急いだ。


「あら、遅かったわね」


 ……しかし、残念ながら会長の方が早かった。

 ガラスドアの近くの柱に隠れるよう、ひっそりと立っている。


 そんな彼女に、私を待たせるなんて……と、無言の微笑みを向けられた。



 その姿は絶世の美男子・hayateから一転、完璧な淑女であった。

 

hayateは疾風なんで、会長は一応『風』関係の名前です。

書籍2巻も発売中です、よろしくお願いします!

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GCN文庫様より、2025年1/20に第3巻発売決定、詳細は活動報告に☘
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書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
― 新着の感想 ―
[一言] 面白いです、良い物語をありがとうございます。
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