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【書籍&コミック4巻発売中】世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。  作者: 編乃肌
三章

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46/112

3 雲雀さんはお疲れ?

「どうして俺のことを知っているのか、という顔をされていますね」

「わ、わかるのか……?」

「顔に丸出しです」


 やれやれと、雲雀はサラサラの長い黒髪を揺らして溜息をつく。


 近くで見ると本当に美少女だなあ、毒舌は怖いけど。

 雷架のような健康的な『美』でもなく、雨宮さんの自然体な『美』でもない、もっとまさしく精巧な人形っぽい『美』。



 まあ、一番可愛いのは雨宮さんだが。

 二番目は俺だが。



「それで結局、なんで俺の名前を?」

「あなた、ご自分が悪い意味で有名なことを知らないんですか? あの四大美少女とかいう不躾な名称のメンバーに入った、雨宮雫先輩と『なぜか』仲のいいモブということで、雨宮先輩と同様に晴間先輩も有名人になっていますよ」



 『なぜか』、をめちゃくちゃ強調された。


 そうか、雨宮さん人気に伴い、雨宮さんと『一番仲良し』(対抗して強調してみる)な俺まで名前が嫌な感じで広まってしまったのか……。



「本来なら私も、誰が有名だ人気だなどと一笑に伏すところですが……生徒会の仕事の一貫として、雨宮先輩にくだらないインタビューをして、くだらない記事を書かなくてはいけません。だから必然と、雨宮先輩と一緒にいるあなたの情報も頭に入りました。本当にくだらない」


 くだらない三回言った。


 そういえば雲雀は、一年なのに三年の生徒会長が気に入って、無理やり生徒会に引き入れられた生徒会書記だったな。


 インタビューやら記事やらは、毎月生徒会が発行している広報のことだろう。


 広報といっても堅苦しいものではなく、校内の旬なニュースや最近の注目人物などをピックアップしてお届けしている、一種の学校新聞……というより、学校ゴシップのようなものだ。



 それの『今月の注目人物』に、おそらく雨宮さんが選ばれたらしい。

 さすが雨宮さん。

 彼女の可愛いさがとうとう紙面を飾るのか。



「その記事を雲雀が書くのか?」

「生徒会長いわく、歴代書記の仕事だそうです。そのために、雨宮先輩を呼び出すための手紙から私が書かされて……」

「手紙?」

「会長の悪ふざけで、ラブレター風にしろなどと言われて呼び出しの旨を書きました」


 雨宮さんが受け取った手紙、しかもラブレター風なんて、俺の知る限りだがひとつしかない。  



「あの男らしいヘタクソな字のやつか!」

「…………下手で悪かったですね」



 雨宮さん宛のラブレターが、まさかの雲雀からだとわかって俺はやたらとホッとしたが、そのままな感想を伝えたせいで雲雀がムッスリとした顔になった。


 ヤバい、フォローを入れなくては。


「ち、違うぞ! なんか雲雀が、ああいう男らしい字を書くことが意外だったというか、イメージと違ってびっくりしたというか!」

「イメージってなんですか? ……さっきの方も、パッと見の外側だけで私のことを『可愛い』などと言って。それも勝手なイメージからの感想でしょう。あまつさえ、私の中身まで勝手に期待するようなこと、おっしゃられても困ります」



 そう訥々と吐き出した雲雀は、毒を飛ばしたというよりは、本気でそういう他者からのイメージの押し付けに疲れているようだった。


 これは……俺が悪いな。


 俺だってある程度仕方ないとはいえ、hikari人気が上がったときは、ファンの人たちからの『hikariちゃんはこうあるべき!』という固定概念の詰まったコメントに、多少なりとも参らされたものだ。



「すまん、雲雀のことなにも知らないのに、勝手なこと言ったな。不愉快な思いをさせて悪かった」

「っ!」



 俺が素直に頭を下げれば、雲雀は若干驚いたようにツリ目がちな瞳を見開き、「べ……別に、気にしていませんから」と小声で呟く。



「……やっぱり、晴間先輩はおかしな人ですね。雨宮先輩が慕う相手というだけで情報を入れていましたが、実のことを言うと私、雨宮先輩よりあなたの方が少し気になっていたんです」

「き、気になる?」

「ええ。昔からなんとなく、隠し事をしている人って直感でわかるんですが、あなたには大きな『秘密』がある気がして……」



 ギクリ、と思わず体が強張る。


 その秘密とやらは、確実にhikariのことだからだ。 


 だって俺にあと大きな秘密なんてない。最近ついに雨宮さんに感化されて、真のどら焼き好きに目覚めてしまったことくらいしかない。



 だけど露骨な反応をしてしまった俺に、雲雀は苦笑するだけで特に追及はしてこなかった。   



「人の秘密をわざわざ暴くなんて暇なこと、よほどのことがない限りしませんよ。私にも知られたくない秘密はありますし……そこまでの興味もあなたにはありません」

「あ、ああ、そう」

「……でも、さっき謝ってくれたのは、ちょっとだけ嬉しかったです」



 雲雀は最後だけ、心なしか柔らかな声で告げて、「それでは失礼致します」とロングヘアーを翻して去っていった。



 暗雲姫もいろいろ大変らしい。




 ーーこのとき。

 雲雀との関わりは、これっきりだと思っていたんだがな……。





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GCN文庫様より、2025年1/20に第3巻発売決定、詳細は活動報告に☘
コミカライズも連載中☘

書き下ろしシーンも盛り沢山!なによりイラストが素晴らしい(◍>◡<◍)
なにとぞよろしくお願い致します!
― 新着の感想 ―
[良い点] やっぱり晴間君がいいアジ出してますねーww 雲雀は前話でドライでツンツンしてるって言われてたけど、早速デレの兆候が見えたかな?(うん。良い。) [一言] 更新お疲れ様です(*`・ω・*)ゞ…
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