一度目の正直"不思議な卵"
カーテンの隙間から朝陽がこぼれる部屋。地味に机とベット、クローゼットしかない部屋。その部屋に私は寝ていた。
〈ピピピピピピ…〉
静かな部屋に鳴り響く目覚ましの音。
私は布団の中から這い出て勢い良く止めた。そしてそのまま私は…二度寝に入った。が、弟のけたたましい音に起こされた。
〈ドン!ドン!ゴン!ボコ!〉
弟が私の部屋のドアを叩く。明らかにドアを叩く効果音じゃないのが聞こえてくるがスルーしよう。
「姉ちゃん!朝!」
「うううぅぅ…」
私は呻きながら布団に潜った。なぜ弟がこんなに早く起きれるかがわからない。
〈バンッ!〉
弟はドアを開けて入ってきた。私のベットのそばに来ると勢い良く布団を取り上げた。
「ぎゃーー!」
「朝だって言ってるだろ!?」
私は布団を取り上げられブルブル震えていた。だって今は11月。寒い。
弟はテキパキ私の布団を畳んでいく。
「正輝鬼だ」
「姉ちゃんが寒がりすぎなんだよ」
そうこの鬼弟は野々原正輝。私の鬼だ。弟って言っても"双子"の弟なんだが。成績優秀で運動もできてまぁまぁモテて…羨ましすぎる弟だ。それに比べて私は成績最悪で運動音痴でモテなくて…差がありすぎるでしょ?神様は不公平だ。
あっ、でも正輝に一個だけ勝てる要素がある。
持久力と握力。
悲しくなる。持久力すごくても運動音痴なら意味ないし、握力強い女ってモテないし…最悪な要素だ。
「姉ちゃん、朝ごはんできてるから」
「えっ!?マジ!?」
私は部屋を飛び出してキッチンへと向かった。焼き魚のいい匂いだ。
私たちの両親は仕事で海外にいる。だから私たちは二人で住んでいるのだ。でも私は料理は無理。だからいつも家事全般は正輝がしてくれるのだ。
「いっただっきまーす!」
「いただきます」
私たちは二人でいつも朝ごはんを食べる。
今日は"青空学園"へ転校するのだ。なんで転校するかは…内緒。
身支度を整え私たちは学校へ向かった。
家を出ると冷たい風が頬を撫でる。
「さむっ」
「寒いな…」
私たちはマフラーを巻いて手袋をつけているけどこの寒さ。まだ11月なのに。どうした!?日本!まぁ、寒いのは仕方がないことで。
私たちは転校先の青空学園について色々話していた。できれば正輝と同じクラスがいいなぁ…そう思い歩いているとふとカバンの中がゴソゴソと動いたような気がした。中を覗いてみると見たこともない二つの卵が入っていた。
「はっ?」
突然のことに目が点になるばかり。なぜ卵が…?
「ん?どうした、姉ちゃん?」
正輝がカバンを覗こうとした。
私は慌ててカバンを閉じた。 卵を持ってきたことがバレたら正輝に怒られそうだったから。
私は正輝を誤魔化しつつもなんでか考えていた。
気づかないうちにカバンに卵を入れるなんて流石に馬鹿な私でもこんなに馬鹿な真似はしない。
私は頭の中が?で埋め尽くされながらも正輝の一言で?は一気に吹き飛んだ。
「着いたよ」
そこはまるで夢のように真っ青な青空の学園だった。