9話 私のターンだ
夜はいつも私とアイスとテンローだ、そして二人が御者をして私が後方確認だ
「今日は良い事教えてもらったなぁ、でも今までの動きのはコピーの部位変えられなかったのは痛いなぁ」
そう今日の昼に私の能力は進化を遂げた
体全体の動きをコピーする事から体の一部分の動きをコピーして技を出すことが出来た、でも今まで覚えた技の変更が出来なかった、一度記憶したらその動きでしか能力は発動しない事がわかって私は落胆した
「でもこれから一杯覚えてやるんだから、しかも私が技と認識して記憶すればなんでもコピー出来るのはわかった、ただなぁ、コピーしても私の体格が変わらないからラヴォーの推測は当たらないと思うんだよなぁ私多分魔物の動きしてもモンスターの姿にはならないと思うんだけど、後有機物は出せないのよね」
そう無機物の石とかは出せるけど料理の動きをコピーをしても食材は出ない
色々制約のある能力だとわかっただけでも昔より進展した
なによりここでなら皆の前で普通に能力を使うことが出来る
今私は始まったんだ
奴隷だけど・・・
「なんか奴隷っぽくないし大丈夫」
そんなことを考えて居ると何か森からこちらに向けて視線というか気配がした
馬車の後ろには前に異変を知らせるための紐がついていてそれを引っ張ると前についてる木板がノックされる仕組みになってる、それに気づいたようでアイスが馬車の布をめくりこちらを見て
「気づいている」とか「わかった」とかの意味を含ませた頷きを見せて馬車を止めた
私は馬車が泊まったのを確認して外に出て周囲を探る、気配のした場所以外からもうっすら視線を感じる気がするが場所の特定までは出来なかった
「アイス、テンローどう?私はあっちの方に気配がするのとどこかわからないけど他からも狙われてる気がするわ」
「そうだなあれが囮か本命かわからないが他にも5箇所くらいから気配を感じる」
アイスは冷静に判断していた、そうこの世界の人間は大抵気配が探れる、魔力を感じると言ってもいいし、勘が鋭いとも言える、私もこの世界で生まれてから生きるために必要だから覚えたんだ
「いつもながら森は恐ろしいな」
テンローは気配の箇所に訂正が無いようで頷きながら言っている
「じゃあ私は一箇所しかちゃんとはわかってないから、テンローとアイスで他の気配に気をつけてね」
私は馬車から見て5時方向を見つめていた、そこが一番気配が強い、他にも居るかもしれないので一点だけを見ることは出来ないが視線を外すことも出来ない、例えばガーズリーだったりしたら視線を外した一瞬でやられる可能性がある
「わかった、気をつけろよ、その気配が本命だった時一番危ないのはナジャだからな」
道幅は3m位で私の立ってる所から1mないところはもう鬱蒼としていてただでさえ何も見えない夜の森をさらに見えなくしている
「わかってるわよ、テンローも気をつけて」
夜の森も昼の森も関係ないくらい暗い森なのだが当たり前だが夜は真っ暗だ、いつもの事とは言えこの襲撃はいつも緊張する
「出るなら出てきなさい」
自分を奮い立たせる為に声を少し出した、本当に少しすぐ隣の相手に話す程度の声で、でもその声に応えるかのようにそれは出てきた、そう自分の能力をバラしたし、能力を思う存分使えるのと昼に覚えたランドの突きを使う為の敵のはずだった
だが出て来たのはなんか予想と違っていた、例えるならバニーガールだった
「テンロー助けて、なんか出てきたけどこれ魔物?」
慌ててテンローに助けを求めた
「ナジャ大丈夫か何があった」
テンローはその後が続かなかった、反対からアイスが来て声を掛けてきた
「そいつはまずい、こっちから手を出すなよ絶対にだ」
「何か知ってるの?」
「あれはジービットだ、魔物はザーから人型の魔物を指すんだ、ジービットはその二番目だ、知能が高いのが人型の特徴だが俺らが敵対しても絶対に勝てない」
アイスがかなり真剣にしかも顔から汗が吹き出すほどに緊張しているようだ、因みに魔物はガー、ギー、グー、ゲー、ゴーと言う順番で種族単位で魔物の名前がある、今知ったがザー、ジーと言った感じでザ行になると人型のようだ、無事生き残ったらアイスに色々聞いてみたい
「でどうするの?このままなの?」
そう、危険なのはわかったけどこの緊張感には長時間は耐えられない
「わからん、出会ったら手を出すなしれが騎士時代に習った事で出会ったらどうしろということは聞かなかった」
そりゃあ出会うまで人間ってのは真剣にならないものだ、今みたいに出会って初めて後悔するんだよね
「私の声に反応して出てきたかもしれないから、警戒しつつ声を掛けてみるわ、知能が高いなら何か反応すると思うわ」
「気をつけろよ、止めはしないがそれがいいのかはわからんから、馬車の皆も起こしたいのに後ろ向いたらやられそうな予感しかしない」
テンローは逃げ出したいけど逃げると死ぬ予感が強くて愚痴ってる、私も嫌な予感しかしないから行動したいんだ
私は一歩前に足を出して声を掛けた
「貴女と敵対しないわ、私たちはこのまま馬車を進めたいのけれどいいかしら?」
その返事があるのかすらわからないが、少し待っていると予想外のところから声が聞こえた
「さっきから五月蝿いぞ、何があったんだ?」
こんなに森も静まり返っていて、私たちも物音を立てないようにしているのに、あの男は五月蠅いってどういう耳してるのよバカラヴォー、自分の主を心の中でとは言えバカと言ってしまったがナジャは気にしない
私は小声で「五月蝿くなんてしてないわ」と言うと
「いや、さっきから「お前の魔力はなんだ、答えよ」って言われてるんだけど」
私にはなんの話かわからなかったが思わず、バニーガールっぽい存在を見る、確信したそれはラヴォーを見ていた
「きっとあなたに用があるのね、私たちの主でしょ何とかしなさいよ」
もう私は自棄っぱちな感じだった、アイスもテンローもなんも言えない感じになっていた
「俺に用があるのか、魔力って言われても、俺にもわからないんだ、俺の魔力は変なのか?」
少し間があり、またラヴォーが話し出す
「見たことがないって言われてもなぁ、俺の特異体質みたいなんだ、魔物を倒すとその魔力が体に流れ込んでくるんだよ」
何か会話がされてるんだろうか私にはジービットの声が聞こえないのでわからないけど会話してるのはわかる、ラヴォーはなんで会話出来るんだろ?
「俺にはわからないんだ、実際見てみて何かわかったのか」
一人で話しているように見えないからとても困るのは間に居る私たちだ、動いていいのかもわからないからラヴォーの話を聞くことしか出来ない
「観察か、コソコソされるのも嫌だから、俺らと一緒に行こうか」
何故か目の前の魔物と一緒に行くことになってる???
心の中での呼び名はバカラヴォーに決定
もう、なんだこいつ魔物を会話して一緒に行こうかって
私が能力を使って活躍って話じゃないの?
もう嫌、私、一応ラノベとかゲームとかにありそうな主人公キャラでしょ前世の記憶があって転生してるのよ~
目の前にいる魔物は、その言葉を聞いてラヴォーに近づいていってそのままラヴォーと一緒に馬車に入っていった
「なんなのよ」
「ああいうのは気にしたら負けだ」
テンローが溜め息を吐きながら言って来た
「ともかく馬車を進めよう他の気配はむしろジービットのおかげで消えたみたいだ」
アイスがそう言って御者台に向かった
「テンロー私が御者やるから場所変わってよ」
「やだよナジャ昼ならまだしも夜目きかない」
そう私はテンローほど夜目はきかない咄嗟に止めたり進めたり避けたりできないかもしれない、でもラヴォーの一人しゃべり聞いてしかも魔物がいるのに無理すぎるよ
「うっ、でも~ね、お願い」
「諦めろ」
テンローはそのまま御者台に行ってしまった
私は諦めて馬車に乗り込んだ
最近寒いですが皆様体調にお気を付けください
毛の長さ1mmの自分には冬の寒空は地獄のようです
読んでいただき有難うございます