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第1魔:お前はこのパーティーから追放するッ!!

「ブモオオオオオオオオオ」

「うがぁ!? ぐぅ……!?」


 今回の討伐対象であるキングオークの拳による猛攻に、戦士のレックスはさっきから防戦一方。

 体格差も倍近くはあるし、あの様子では、もってあと1分といったところかしら。


「レ、レックス!? クソォ!」


 アーチャーのテッドが弓矢で援護するも、キングオークの強靭な皮膚は、テッドの放った矢をことごとく弾き返した。


「そ、そんな!?」

「私に任せて!」


 今度は僧侶のドロシーが、キングオークに杖を向けた。


咎人(とがびと)は鎖に繋がれ

 その魂を握られる

 鎖は決して(のが)さない

 八つの(しるし)を刻むまでは

 ――拘束魔法【光の鎖(パシャ)】」


 ドロシーの杖から放たれた光の鎖が、キングオークを拘束する。

 ――が。


「ブモオオオオオオオオオ」

「ええええええ!?!?」


 キングオークはその鎖を、いとも簡単に引きちぎってしまったのである。

 ふむ、これはどうやら、私の出番みたいね。

 ――私は右手に持つ杖の先を、キングオークに向ける。


「盲目なる傲慢

 果てのない強欲

 海より深い嫉妬

 慟哭する憤怒」


「っ!? ま、待てセレナ!? やめるんだッ!」


 レックスが青ざめた顔で、私に命令する。

 だが、当然私はそれを無視する。


「溶け出でる色欲

 嗤う暴食

 渇望する怠惰

 七つの罪が頭蓋を焼く

 ――獄炎魔法【断罪の火球(デーヴァダッタ)】」


「うわああああああああああ!!!!」


 私の杖から放たれた特大の火球が、キングオークに直撃した。


「ブモオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

「ぎゃあああああああああああああ!!!!!!」


 火球は瞬く間にキングオークを焼き尽くし、後にはキングオークの魔石だけが残されていた。

 はい、これで一丁上がり。


(あぢ)ぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢぢ!?!?!?」


 キングオークを焼く際の炎が掠ったレックスは、その場でのたうち回った。

 大袈裟ねぇ。

 レックスって絶対包丁で軽く指を切っただけでも、「これ死ぬ! マジこれ死ぬッ!」って喚いて、周りを何とも言えない空気にするタイプだわ。


「レ、レックス!? 動かないで! 今助けるから!」


 ドロシーがレックスに駆け寄り、杖を向ける。


「女神は大樹に水を注ぐ

 数多の蛇が根を齧り

 四頭の牡鹿が若芽を齧る

 それでも女神は水を注ぐ

 ――回復魔法【女神の泉(ウルズ)】」


 ドロシーの杖から放たれた光がレックスを包むと、レックスの火傷はたちどころに治った。


「サ、サンキュー、ドロシー……。助かったぜ」

「うん、どういたしまして」

「私にお礼はないのレックス? キングオークを倒せたのは、私のお陰でしょ?」

「アァンッ!?」


 途端、鬼のような形相で、レックスが私を睨んできた。


「リーダーである俺の命令を無視して、危うく仲間を殺しかけた奴が言うことかそれがッ!?」

「いやいや、むしろあそこで私が【断罪の火球(デーヴァダッタ)】を撃ってなかったら、今頃あなた死んでたわよレックス? それに、私は今回もちゃんとあなたが、ドロシーの魔法で回復できる程度の怪我で収まるように手加減したんだから」

「っ!? だ、だったら、俺が怪我しない程度に、もっと手加減しろよッ!」

「それじゃあ今度はキングオークを倒せないでしょ? キングオークを倒せて、且つあなたが致命傷を負わない程度に火力を調整したのよ。こんな芸当、天才魔法使いである私にしかできないわよ? あなたみたいな凡人(モブ)が、この天才とパーティーを組めていることを、今一度ちゃんと感謝したほうがいいんじゃないかしら? その口は、文句を言うためだけの器官じゃないのよ?」

「グッ……!!」


 一瞬でレックスの顔が真っ赤になった。


「う、うるせえええええええ!!!! もうお前みたいな傲慢な煽りカス女とはやってらんねぇ!! ――お前はこのパーティーから追放するッ!!」

「……!」


 こうして私はあっけなく、パーティーから追放されてしまったのだ。



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― 新着の感想 ―
意外!! まさかの傲慢ヒロインだったwww
味方に被害をだして、威張るのはどうなのだろう? (;^_^A
追放の理由が斬新ですね! セレナいい性格してて楽しい!
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