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(最終章)オオカミおと校長先生

 あれから何時間経っただろう。私はまだ駆け回っている。行方不明の大切な生徒を探すために。

気づいたら日が暮れかけていた。生徒たちも不安な時間を過ごしているに違いない。


 ・・・!?私の腕から毛が生えてきた。まさか・・・!?そう思い空を見上げると案の定であった。

今日は満月か・・・。私は醜い姿になってしまう。しかしそんなことは関係ない。生徒の命が最優先だ。

月が昇りきり私は完全に変身した。私を見かけた人々は恐怖に怯えている。泣き出す子どももいるくらいだ。

・・・私は考えた。そして田中くんから貰ったストラップを取り出す。私は今オオカミ。

このにおいを辿ればたどり着くかもしれない!そう思い私は嗅覚を集中させた。

まさかこんなところでオオカミ男が役に立つとは。私はにおいを辿りながらまた走り出す。


 ここだ・・・。人の気配がない小屋だった。この中に・・・。私は松本マツモト先生に位置情報を送り、扉をけ破り勢いよく入る。

マスクをした若い青年たちがバットを持って立っている。雇ったタクシー運転手と思わしき人物も一緒だ。

「お前らが・・・私の大切な生徒を・・・」私は怒りに震えながら話す。

「なっ!なんだこいつ!」「ばけもの・・・」大切な生徒たちを攫ったくせに一丁前に怖がっている。

生徒たちを見ると、同じく怖がっている。当然だ。

「校長先生・・・?」田中くんが呟く。私は驚いた。そして「安心しなさい」できるだけ優しく声をかけた。


 そこへ松本先生が勢いよく入ってくる。「おらぁ!覚悟しろぉ!」

メンタルが弱いながらも生徒を守るため勇んで入ってきたらしい。「うわぁ!ばけもの!」

松本先生は腰を抜かし漏らしていた・・・。

「おっ・・俺たちは・・・」若者の一人が震えた声で話し出す。

「俺たちはバイトで・・・あるサイトで雇われただけです・・・」「誰に?」私は聞いた。

「あ・・・『アマノジャク』って人に・・・」私はその瞬間体が動いていた。

「松本先生!生徒をお願いします!」それだけ言い残し学校へ走る。


 オオカミ男の身体能力はすごいものだ。

山を越え、道路を駆け抜け、気づいたら夜明け前には学校についていた。

校長室のフカフカのソファには教頭先生が座っていた。「教頭・・・あなただったのか・・・」

「な!なんだお前は!」私の姿に怯えながらも声を絞り出している。

「ピーマン好き太郎さ・・・天邪鬼!」そう言うと教頭はハッとする。

「校長か・・・?長野にいるはず・・・」

教頭は驚いた様子であった。「なぜこんなことをした?」

教頭は黙る・・・。そして口を開く。「実はある人に指示されたんです・・・」

「ある人?」「はい。これを見てください」そう言うと教頭はパソコンを開いた。

私は近づく。その時背中に激痛が走った。「うっそーん!」後ろから教頭の声。

振り向くと教頭の姿はみるみるうちに変わっていった。

角がメリメリと生え、歯が鋭くなる。体格も変わり、体の色も熱を持ったように赤くなる。

その姿はまるで鬼であった。

「誰にも命令なんてされていませんよ!私の意志で動いていましたさ!」

「ならどうして・・・」「俺はね、若い女の肉が好きなんですよ・・・。だから、ここを支配し俺が伸び伸びと食事をできる環境を作りたかった!その計画にあなたは邪魔だ」

背中の痛みで意識が朦朧とする中、教頭の声だけが響く。

「あなたがオオカミ男だったことには正直驚きましたが、まあ大丈夫でしょう」

そんな教頭の言葉を聞いていると急に体の力が抜けてきた。

私はハッとした。今何時だ?もしや夜明けが・・・?

「その様子ですと、変身が解けかけているのでしょう・・・」そう言い私にとどめを刺そうと近づいてくる。

そうはさせ前と私は最後の力を振り絞り教頭に馬乗りになる。「私の大切な生徒たちは必ず守る!」

そのまま何度も教頭の顔を殴り続ける。何度も、何度も・・・。


 あれから何時間が経っていただろう?気づくと私は気を失っていた。横には顔を腫らした教頭の姿が。

そこへ「校長!」と松本先生が勢いよく入ってくる。安心した私は眠ってしまった。



 校門前

「今日は私の勝ちですね教頭」そう言うと悔しそうな姿の松本先生。


あの後教頭は駆けつけた警察官に捕まり、私は病院に搬送され一命をとりとめた。

警察からの事情聴取を受け状況から私は逮捕されなかった。松本先生は教頭に昇進し、

あの頃の生徒たちは無事に卒業した。川田先生は泣きながら大切な生徒を見送っていた。

聞いたところによると私が一番泣いていたらしい。川田先生には学年主任を任せ、

今でも立派に働いている。

私がオオカミ男であることは松本先生も生徒たちも口外しないでくれていた。

つまり今も秘密なのである・・・。

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