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19.新収穫魔法

今年も作物の生育が早い。

異常に早い。

母ちゃんのお腹は普段と変わらない。

今年は新しい家族は増えないのか…。

根菜類収穫魔法の“むりむり”は変更なし。

でも出て来た根菜類の回収は芋植えの反対だから“とぽとぽ”で良いや。

麦の収穫は風の魔法で竜巻みたいに実の所をき取り、実だけを風の中に集めて他の葉とか殻を外に飛ばす。

そして一か所に集める。

竜巻…うーん“のもひ…”やっぱ“とるねーど“にしよう。

トマトなんかは潰れちゃいやだから手作業でお願いします。


そして前期収穫日。

先ずは芋ね。

「むりむり」

枝豆を鞘から押し出した感じで、土から前回よりも太った芋が吐き出された。

・・・あれ?

今回はモグラやミミズが出てこない。

モグラは地中の結界から侵入できなかったので今回は出てこなかった。

ミミズは保護・補強をやめたので巨大化しなかった為に吐き出されなかったみたいだ。

そして作物の気分次第の水分・栄養等の自動調整作用が良かったのか芋が丸々と太っている。

そして

「とぽとぽ」

芋が空中に浮きこちらへやって来る。

そして目の前には芋の山。

体動かさなくても収穫出来ちゃった。

でも纏めたり、倉庫にしまうのは人力なのよね。

それでもあっという間に終わった。

ニンジンやダイコンの畑でも同じように丸々と太った根菜類。

むりむり土から出て来て風魔法でこちらに並んでやって来る。

ニンジンやセクシーな大根が並んでこちらへやって来て、目の前で纏まって寝転がる。

次回は種を10日ほどずらして蒔くみたいだ。

最後に麦畑へやって来た。

そして麦刈りしている皆を呼び寄せる。

僕の周りに集まって来た34家族。

そして作業を中止されてイライラを募らせる皆。

僕はニコリとほほ笑んで、

「魔法で集めるね」

と言ったら

「「「んなこと出来るわけないだろ!」」」

と大ブーイング。

「見てて」

サラッと無視して、誰もいなくなった麦畑に両手を向けて

「とるねーど」

掌から出た風がどんどん強くなってきた。

「「「うわー!麦ガー!」」」

皆悲鳴を上げ絶叫する。

そしてつむじ風みたいに渦を巻き麦の穂を鋤き取る。

葉や殻は周囲に飛び散る。

竜巻の中央部には麦の実だけが集まって空中をグルグル回ている。

麦畑全体をくまなく回った竜巻は大量の麦の実を透明なサイロに入れたみたいな感じで円柱状にまとまりながらこちらにやって来る。

そして僕たちの目の前で実だけの山が出来上がった。

悲鳴を上げムンクの叫びのような格好の人たちは、そのままの表情で麦の山を見つめていた。

「よしよし、うまくいった。」

という僕の声で意識を取り戻した皆。

「いや…何か…何て言うか…ありがとさん。」

黙々と麦の実を纏める皆さん。

最後に風魔法で実の収穫が終わった麦の根元を一気に刈り取り、“とるねーど”で散らばっていた葉や殻なども纏めて反対側にというかいつもの場所に山にするのであった。

収穫量は前回より1.5倍多くなっていた。

という事は昔の収穫量の4.5倍。

年2回だと9倍…アホちゃうか。

今回は麦を狙ってくる鳥たちや虫たちが皆無だったため、食害ゼロ。

麦の状況確認をしていたが害虫たちが来ないとなると、毎日の見回りがいらなくなるよね、太るよね人間が。


次の日朝から畑起こしに精を出す。

魔法だけど。

昼前には余裕で全部終わったよ。

やはり夏の畑起こしは魔力がごっそりと持って行かれるな。

ダイコンとニンジンは10日ほどずらして種を蒔くみたいだから、今日の分以外の種まきは手伝わないよ。


午後というか昼食中、隣のタルタン村から救援要請を伝える人が3人で来た。

そこの隣村であるモーラスト村から援助要請が来たようで、それも併せて伝えに来たそうだ。

『やっぱこうなるわなー』

「えっ来年じゃないの?春だけじゃなかったの?」

とぼけてみた。

僕の魔法で耕した畑はどこも同じ生育速度みたいだ。

現在収穫を行っているが、畑起こしと種まきが間に合わないそうだ。

僕が行かなければ、たぶん来年までただの土畑になってしまうということだ。

仕方がないので直ぐにポムに乗せてもらい、縛り付けてもらい、アレックと一緒にタルタン村へ行く。

7日ほどかけて歩いて来ていたタルタン村の人は同じくらいの日数をかけて戻るみたいだ。

あれ?7日?ってことは10分くらいで走ってしまうポムって時速400km超えているの?

え?そんなに出ている様に感じなかったけれど…。

ヤバイ…僕もスピード狂?

そういえば人とすれ違ったりしていた記憶が無いな。

早すぎて僕たちが認識できなかったのかも…。

別に事故っていないし、まぁ良いか。


前回同様、村長宅へ行く。

麦刈りは終わっているが収穫量が前年の3倍だそうだ。

このまま秋に収穫出来れば年間6倍の収穫量になる。

という事は、更に隣村でも同じだと思うので、ここら3村で通年の6.8倍の収穫量だ。

『どうしましょうか?領主様♡。』

とりあえず

「もりもり」

か~ら~の~

「パラパラ」

で畑起こしと種まきを同時に行った。

アラスタ村の倍の面積を持つタルタン村。

魔力枯渇の魔の6番が来ましたよ。

ちょっとだけだけどね‥ほんと少し頭痛がしてちょっと汗ばむくらいだけど。

そして直ぐにポムに縛り付けられ、モーラスト村へ向かう。

やはり10分足らずで着いてしまった。

こちらでも前回同様、村長宅へ行く。

やはり同様に麦刈りは終わっていて、こちらも収穫量が前年の3倍だそうだ。

そして刈り終わった麦畑へ連行される僕。

もう仕方がないので

「もりもり」

か~ら~の~

「パラパラ」

で畑起こしと種まきをこちらでも同時に行った。

アラスタ村より狭い畑だが、ぐんぐん魔力が吸い取られる。

頭痛い。吐き気する。めまいもする。冷や汗が出る。

…まだ吸われる…。

アラスタ村より吸われている感じがする。

冷や汗が噴き出してきて、ようやく魔法は終わった。

倒れそうになっている僕を見る村人たち。

気まずそうに僕を見る村長とアレック。

ここで残り少ないと思われる魔力を使って、マッチポンプとも思われる魔法

「きれいきれい♡」

僕の体が光り服や体がきれいになったが、魔力の回復は無かった。

そして更に冷汗が噴き出す。

次に、もう意識が無くなって倒れてもいいやと思い

「えぇーゆだなぁー」

と唱える。

すると一瞬気を失いかけたが、僕の体全体が光り輝き出して周囲からキラキラした光の粒が僕のところに集まって来た。

そしてあのセーラにかけてもらった“キレイキレイ♡”の感覚が訪れた。

5分ほどで光が収まったら…

まぁなんという事でしょう!頭スッキリしゃっきりになっているではありませんか。

何コレ!自家発電永久機関みたい!

もしかしたら、超極大魔法を発動しながら“えぇーゆだなぁー“で魔力回復の臨界突破できんじゃね?

魔力枯渇にビビる必要無くなくない?

何か未来が明るくなった気がする。

体調というか魔調が良くなったので

「何か良くなったよ。」

と僕は血色の良くなった笑顔でアレックに言った…冷や汗でベチョベチョだけど。

「今回の麦の件領主様に相談しなければならないな。」

とアレック。

『僕の心配じゃないんかーい!』


村長は既に使いを領主様宛に出していたが、絶対にポムの方が早く着く。

直ぐにポムに乗せてもらい、縛り付けてもらい、アレックが乗って、ポムが立ち上がり、僕が“えぇーゆだなぁー”をポムに()()()

そして領主邸のあるソールトの街まで()()()ポム。

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