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【第一章完結】霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~  作者: 犬型大
第二章

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106悪あがき4

「ぴょっ…………?」


 エダモスディの動きが止まり、聞いたこともないような声で鳴いた。


「エダモスディ……いや、お前の本当の名前はなんだ?」


 抵抗が弱くなったエダモスディの頭を、ナイフで引っ張って引き寄せる。

 今こいつはエダモスディだが、おそらく二年前までは本物のエダモスディがいて、どこかで悪魔がすり替わった。


 とすればこの悪魔はエダモスディであるが、エダモスディではない。


「まあいいか。どうせお前は死んでいくんだ。名前を聞くだけ無駄か」


 エダモスディは、自分の体を支えなくなって尻餅をつく。

 脳天にナイフを刺したまま、どこを見ているのか焦点がよく分からない目をしている。


「エリシオ」


「おっ、あんがと、パシェ」


 パシェが俺に剣を投げ渡してくれる。

 体格のいいパシェが持っていると普通に見えるけれど、パシェの剣は体格に合わせて大きめサイズだ。


「……あばよ、ワンコロ」


 パシェの剣を受け取り、銀のオーラを込めていく。

 俺は体をねじって、大きく体を一回転させる。

 

 思い切り勢いをつけてエダモスディの首を後ろから刎ね飛ばす。


「剣、ありがとよ」


 エダモスディの首が転がって、焼却場の壁にぶつかって止まる。

 目はグルリと上を向き、口の横からデロンと舌が出ている。


 俺はパシェに剣を返す。


「ひどい顔」


「顔?」


「血だらけ」


「あっ……そういえば視界も赤いや」


 パシェに指摘されて俺は顔を触る。

 指先には血がべっとりとついていた。


 エダモスディの爪が額に食い込んで、血が顔に垂れていた。

 そんな状態で動き回るものだから、俺の顔は血で染まっていたのだ。


 意識するとなんだか額が痛くなってきた。

 体も傷だらけだし、すごく疲れた気分だ。


「後で話は聞かせてもらうよ?」


 デラがトンと俺の額に指を当てる。

 すると神聖力が流れ込んできて額や体の傷が治っていく。


 デラは訝しげな表情をして俺の目を見ている。

 明らかにただのサポートじゃないことは分かっているのだろう。


「ほっ!」


 デラはエダモスディの頭をメイスで叩き潰す。

 もはや死体も動きはしないが、油断せず復活を防いで死体はバラバラにする。


「さてと、あとはあのジジイだな」


 悪魔は処理した。

 最後はマーデルを教会に突き出して終わりだ。


「……プニマッツさん!」


 壊れた壁から中を覗き込むと壁に寄りかかって座るプニマッツの姿が見えた。

 マーデルの姿はない。


 俺は慌ててプニマッツに駆け寄る。


「す、すまない……油断してしまった……」


 膝をついて状態を確認すると、プニマッツは手で腹を押さえていた。

 手じゃ押さえきれないほどに血が広がっていて、プニマッツは青い顔をしている。


「今治療しますね」


「……ナイフを隠していた。それに、本当に走れたんだな」


 ショックを受けた表情のプニマッツの腹部に手をかざして神聖力を送り込む。

 しばらく血は足りなさそうなぐらいに出血しているが、傷を塞げば死にはしないだろう。


 どうにも油断した隙に刺されたらしい。

 二年も一緒に仕事すれば多少の情が生まれる。


 きっと何かの揺さぶりでもかけられたのだろうな。


「どっちに行った?」


「森の方に」


「分かった」


 怪我の治療を終えて俺は立ち上がる。


「……なあ、あんたは何者なんだ?」


 壁が壊れてしまったので、プニマッツも俺の戦いを目撃していた。

 俺が単体で銀のオーラを出していたことまでは分からないだろうが、悪魔と戦っていことは分かっている。


「俺か? そうだな……悪魔にとって、悪魔みたいな男さ」


 一人で神聖力と魔力を扱える。

 まだまだ成長の伸び代もある。


 悪魔にとって最悪の相手が俺だろう。

 いずれ教皇の首を獲る悪魔祓いとなってやる。


 俺はマーデルを追いかけて森の方に向かうのだった。

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