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旧労働公共職業安定所

19 旧労働公共職業安定所



 ハピネスメリーから聞き出したアウラのいる場所はかつて労働公共職業安定所、いわゆるハローワークがあった場所だそうだ。

 しかし、五十年前にここが森に飲み込まれた事でその機能は霊脈樹の中へと移されたらしい。


 ツリーウッズフォレストの森によって、霊脈樹の一部は飲み込まれ、隣接して建てられていた建築物もほぼほぼ消え失せていたが、森の端の方にある建物は形を残しているものも多い。

 中でも職業安定所の建物は頑丈な鉄骨鉄筋コンクリート造りである事も手伝って、窓ガラスや外装を除けばほぼ完全な形を残している。

 前方約百メートル、木々の向こうに見えるコンクリートで出来た四角形、それがその建物だ。


 「結構近かったね」

 ハピネスメリーが居た場所からまだ十分も歩いていない。

 「ここからは慎重に行くぞ」

 そう言って先頭を歩く黒田が歩みを止めた。

 「なにか見えるか?」

 「二階に一人寝ころんでる人がおるなー」

 「それはこいつか?」

 黒田はそう言って千代の方にスマホの画面を見せた。

 画面に表示されているのは疲労感ある表情で写っている金髪男性の姿だ。

 年齢は二十代〜三十代くらいに見える。

 写真には上半身しか写っていないため、正確な所は分からないが、細身で身長も高そうだ。


 千代がスマホ画面に視線を移す。

 「そうやな、あっこにおるんこの人やわ」

 「この人がアウラって人?」

 僕が問いかけると黒田は肯定の意を示す。

 ようやくアウラの元へとたどり着いた。

 互いに目配せしあって、僕たちは再び

建物に向かって歩みだした。


 その瞬間それは起こった。

 閃光と爆音。

 痛みを感じる間もなく、僕の身体は消し飛んだ。

 一瞬途切れる意識。


 その後すぐ、僕が立っていた位置から数歩離れた位置で意識を取り戻す。

 身代わりの術が自動発動したようだ。

 動転する意識のまま前を見ると、抉れた地面と草木の上に他の面々が居た。


 その中に見慣れない人物が居る。

 誰だろうか。地面の上でうつ伏せ状態になり、光の杭と魔法陣で捕らえられている金髪の少女だ。

 その少女を魔術で捕らえているのはラルカさんのようだ。

 黒田は爆心地からやや離れた位置まで後退しており、彼を庇うような形で角が生えた少女おそらくはりゅんりゅんだろうが空手の構えのようなポーズで立っている。

 ラルカさんと金髪の少女の横には角が生えた赤い髪の女性が横たわっており、その 横には………


 横には、千代が横たわっていた。

 腹から脳天までが抉れ、肉塊と化している。

 え………?


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