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新星のアイオーン  作者: ネツアッハ=ソフ
世界終末編
47/52

5,次元破断の固有宇宙

 さて、固有宇宙というものについてもう一度考察(こうさつ)してみよう。


 固有宇宙とは、個人が手にした宇宙観(うちゅうかん)だ。簡単に言えば、個人がヒトという形をした宇宙そのものへと進化する特異能力の究極形(きゅうきょくけい)を差すらしい。


 本来、固有宇宙とは全人類が持つ異能(いのう)の類ではなく特定の個人が至った到達点を差す。つまりはごく一部の限界を否定し超えた者のみが到達しうる、究極の特権(とっけん)を差すのである。


 では、現在広く世界に蔓延(まんえん)している固有宇宙は何なのか?


 今、世界に蔓延する固有宇宙と(もと)の固有宇宙は何が(ちが)うのか?


 それ即ち、時代(アイオーン)による覚醒者と自らの意思(じが)で到達した覚醒者の違い。


 今現在、世に広く知られている固有宇宙の全てはシリウスさんが人類という総体(そうたい)を次の時代へと進化させたからだという。なら、それ以前の(・・・・・)覚醒者は?


 果たして、固有宇宙に覚醒する者とそうでない者は一体何が違うというのか?


 それは恐らく、個人が持つ意思の力。要は誰しもが心の内に持ちうる世界(うちゅう)の規模だ。それこそが固有宇宙に覚醒する真の条件なのだろうと思う。


 要するに、だ。固有宇宙に覚醒する者は本当の意味で世界が(ひろ)かったのだと思う。


 限界というものを理解しない。というより、限界という概念(・・)が存在しないんだ。


 それ故に、己の中に一つの宇宙を構築(こうちく)するまでに至った。己という全存在を宇宙という概念の究極にまで昇華し無限のリソースを()み出した訳だ。


 己の中にある限界を否定(ひてい)した。或いは元より存在しなかったからこそ(いた)れた究極の到達点。


 本当の意味で、限界を超えて意思を稼働(かどう)させた結果としてそれを新たなリソースとした。新たな領域として自身という宇宙を新生し転生を()たしたんだろう。


 或いは、第二段階へと至った固有宇宙も同様かもしれない。


 第二段階覚醒者も、ある意味で己の限界を超えた者と言えるだろう。


 さて、それを踏まえて(おれ)の固有宇宙を考察しよう。


 次元貫通の魔弾。次元を引き()いて対象の固有宇宙すら破壊(はかい)してしまう、対世界属性。


 俺の固有宇宙は、俺の世界は元々相手の世界観を破壊する事に特化(とっか)していた。つまり他者を否定する世界観こそが俺の本質(ほんしつ)だった筈だ。けど………


 しかし、俺には大切な人達との(つな)がりが出来た。出来過ぎた。


 俺の固有宇宙は今、別のカタチへと変化(へんか)しようとしている。いや、別のカタチへと進化をしようとしているのだろうと思う。進化………そう、これは進化だ。


 ………


 ………………


 ………………………


 俺の世界が変化する?いや、それも違う。きっと俺の世界は根幹(ねっこ)では何も変わってない。


 俺の宇宙観、俺の世界。その本質は………その根源(こんげん)とは。即ち———


「大切な者との繋がりを(まも)る。その為に、それを壊しうる理不尽(せかい)を破壊する」


 はじまりは、ただ母親との思い出を守る為に。大切な刹那(いっしゅん)を守る為の力だった。


 その為に、あらゆる理不尽を(くだ)きたかったのだろう。それが、俺の()


 それこそが、俺の固有宇宙の本質だったのだろう。なら———


 ならばこそ———


 俺は今、全ての限界を取り払い否定(ひてい)する。目の前にある理不尽(セカイ)を破壊する為に。


 固有宇宙の、第二段階へと自身を昇華(しょうげ)する。


          ・・・・・・・・・


 瞬間、暴食の宇宙は微塵(みじん)にはじけ飛んだ。まるで、硝子細工を砕くように。

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