6、満たされぬ意思と打ち砕く意思
「———っ‼?」
驚愕は一瞬。しかし、瞬時に意識を立て直したのか再び暴食の宇宙を展開する。全てを喰らい尽くさんと暴食の空間を展開してゆく。しかし、無駄だ。
再び、暴食の宇宙は砕け散った。今度こそ、再び暴食が展開される事はない。今度こそ暴食の固有宇宙は跡形もなく崩壊する。それはつまり、ある一つの事実を意味する。
固有宇宙を形成するのは、個人が持つ心の世界観だ。その世界観を文字通り人のカタチをした宇宙へと昇華したのが固有宇宙だ。なら、それを破壊したらどうなるか?
答えは単純………ではない。それは単純に心が砕ける程度の問題ではない。
個人の精神。その根幹を成す世界観が砕け散る。それはつまり、その存在全ての否定だ。
文字通り、その存在全てを否定された者は自己を保つ事が出来ずに消滅する。
………つまり、だ。
「お前の負けだ、カミラ。もう、お前はゆっくり眠れ」
「おお、おおおおお………おおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ‼‼‼」
天地が割れんばかりの絶叫を上げる。それはまさしく、悪魔の断末魔と呼ぶにふさわしいおぞましくも悲痛な絶叫だった。おぞましく、悲痛で、何処までも物悲しい断末魔。
暴食の固有宇宙。それは言い換えれば、全てを喰らおうと満たされない精神性の具現。
つまり、空虚感の具現でもある。
或いは、こいつが純血の悪魔へと至ろうとしたのは其処にこそ空虚感を満たす何かがあったと考えたからかもしれない。そう、考えて………
俺、は………
………… ……… ……




