女の子だと思って告白した相手が男の子だって知ったらどうなるんだろうね?
「おはよう。良い朝だね明日ちゃん」
「そうだね!この状態でのちゃんずけはあってるかもね!」
現在明日ちゃんの家の前。何故か朝からご機嫌斜めだ。
「どうして?みたいな顔してんじゃね~よ!体が女のままじゃね~か!」
「ああ、そうか。違和感なさ過ぎてわからなかったよ。男物の制服に合ってるし、でもごめん、神様まだ寝てるんだ。多分昼過ぎまで起きない」
いや、起こそうと試みたんだよ?本当だよ?決して明日ちゃんが男に戻ることを嫌がって起こさなかったわけじゃないからね?
「昼過ぎって!学校終わってるじゃね~か!どうするんだよ!これじゃあ学校行けないだろう!」
明日は憤慨した。いや、僕に当たられても困るけどね。
「大丈夫、大丈夫。目覚まし時計は一応、セットしておいたから、そろそろ神様起きると思う」
「じゃぁなんで起こしてこなかったんだよ!この格好が見たかったからって言ったらぶっ殺すぞ?」
「いや、それもあるけど、一番は神様を起こすのが怖いからかなぁ~」
明日にはため息を吐かれたが何となく理解してもらえたようだ。
実はそれほど怖くないけど、やはり機嫌が悪くなるので避けたい行為なのである。なぜかすごくからまれるから。
なんだかんだ、そのあとすぐに神様は起きたようで、学校につく前に明日は男の姿に戻っていた。真に残念な事態である。
そのままその足で体育館に行き、用意されていたパイプ椅子に座る。席は自由だが詰めてほしいということだ。
勿論僕の隣は明日。明日の隣は通路だ。悪い虫が寄り付かないようにの配慮と、終わったらすぐに出やすいようにだ。
「お前は俺の親か!」と言われたので、「いや!彼氏だ!」と大声で言ったら、生徒に注目されて明日にすねをけられた。よって今も明日は恥ずかしそうに縮こまっている。
「気にしない、気にしない。あれだけ公行で言えば悪い虫がつかないってものさ」
「これじゃあ高校でも彼女できないなぁ~」
落ち込んでいる理由があまりにもしょうもない事ようなので放って置くことにした。いくら明日に対することでも呆れることはある。
「だってさ、明日に彼女とか百合だろそれ」
「ぐはっ!」
明日の苦い思い出を抉る。内容はこうだ。
王道のように校舎裏に呼び出された明日。そこで待っていたのは明日には及ばないもののそれなりにかわいい女子。
「私知ってます!先輩がほかの男子に絡まれて困っているって!」
「う、うん。そうだね」
後輩からの呼び出し、明日が相当テンパっている。
それを木陰から気づかれないようにそっと見守るストーカーこと僕。
「せ、先輩 。私あなたのことが好きです!女同士ですが付き合ってください!そうすれば周りの人たちも・・・・ってあれ?」
明日は逃げ出した。女同士というところで一目散に。
「いやぁ~、それにしても女子に女子だと思われて告られるなんて相当女子力の高い証拠だよ。うん」
「ううっ・・・」
あまりの恥ずかしさにパイプ椅子の上で体操座りをして、頭をうずめてしまった。小動物のようで癒される。
「あ、あの子かわいくね?」
「ダメだよ、あいつ彼氏持ち」
「え?でも嫌われてたぜ?自称だろ?」
「なら、チャンスあるかも」
どこからか男子どもの声が聞こえてくる。
今年も明日ちゃんはモテそうだ。彼氏としては鼻が高い。
得意げに鼻を鳴らす僕とは反対に明日ちゃんは深い絶望に包まれた。