あゝ、心配です
最近書きやすい時と、書きにくい時が何となくわかってきた気がします。
心配だ…。
既に全く姿が見えないミロさんのことが心配でたまらない。
やはり今からでも追いかけるべきだろうか。いや、すれ違う可能性や帰ってこれるかわからないことを考えると、ここに残った方が良いだろう。それに火から目を離して消してしまったり、逆に火事を起こしてしまった方が大変だ。
ミロさんが無事に帰ってくることを祈りつつ、私はここで待とう。
……。
静かだ。
パチパチという焚き火の音と、木々が風に揺れる音しか聞こえない。こうも静かだと、まるで世界に取り残されてしまったような気持ちになる。魔族との戦いなんてなくて、世界は平和で、みんな幸せで。
そんな妄想に浸っていると、何だか体が急に重くなった。…変な妄想のせいで気が緩んでしまった。いけないいけない。もし火が燃え移ったらどうするんだ。ここは顔でも洗って…。…水がないんだった。疲れているな、これは。
たびたび意識が飛んでいく。その度に頬を叩くのだが、それでも目蓋は重くなる。ダメだ、おきろ、だめだ───。
…。
……。
………暖かい。
…じゃなくてっ!
「あ、おきた」
思わずガバッと飛び起きる。気づけば辺りは真っ暗になっていて、私の上にはたくさんの葉っぱが乗せられていた。そして、目の前ではミロさんが火を見ている。
「えっ、あっ、おかえりなさい」
「おー。ただいま」
ミロさんは笑顔で答えてくれた。よかった、どうやら特に怪我などはないようだ。
「ほら、リコもたべろって」
「え?」
と言ってミロさんが差し出したのは、大きな木の実だった。食べられるものかどうかはわからないが、何だか見たことがあるもののような気もする。しばらく不安そうにその木の実を眺めていると、ミロさんがしゃくしゃくと美味しそうに木の実を食べ始めたので、私も覚悟を決めて大きな木の実を囓ってみた。
「…ん、甘い」
「だろー」
それでいて瑞々しい。しばらく水分を取っていなかった私の喉にとって、この木の実はまるで砂漠のオアシスだった。
喉が潤う、疲れが取れる。手のひら以上もあった大きな木の実は気づいたら私のお腹の中に消えていた。
「ほんとうはさ。にくとかとってきたかったんだけど。うまくいかなくて。ごめんな」
「そんな。食糧を調達してくれただけでもありがたいですよ」
これで明日も頑張れる。全部ミロさんのおかげだ。
「そういえば、火を見てくれてたんですよね。ありがとうございます」
「なんてことないって。たくさんもやしといておいたからさ」
「たくさん燃やして…」
あぁ、そういえば。
何だか火の勢いが強まっている気がする。
「わぁぁーっ!火!火が強すぎですよっ!火事になりますよこんなのっ!?」
「え?あー。ごめんごめん」
全く悪びれる様子のないミロさんを横目に、私は上着を振り回して精一杯火の勢いを弱めるのであった。




