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死んだと思ったら魔界で生まれ変わった  作者: 鳥羽こたつ
最終編
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最終作戦実行

前の話で-----かなかったですね、すみません。修正しました。

前回の話からリモコ目線になります。そして今話からは最終編です。

最終作戦の開始から約半年が経った。

現状、今までと大きく変わったことはない。魔族と戦い、できるだけ被害を抑え、それでいて対抗策として武器や作戦の質を上げる──。そんな日々が続いている。

だが、私がやる業務は一つ増えている。それは。


「ミロさん座って!まだ勉強の途中ですよ!」


ミロさんへの教育、特に語学の勉強だ。語学と言っても、まだ文法やら名詞動詞などの域には達していない。彼女に教えているのは、子供に最初に学ばせるような文字の読み書きだ。

これに関しては今までも教えるスタッフがいたらしいが、効果はあまりなかったらしく、実際半年前までミロさんは隊長以外とあまり話せていなかった。そのため、今はマンツーマンかつ多く見積もって時間を取って教えている。別に私が教える必要はないのだが、やりたくなったのだ。それに、これは隊長の最終作戦に含まれていた内容でもある。


『おれ達の中で、ミロは最も強大な力を持っている。そのミロとの連携を確実なものにするため、ミロには会話や言葉の学習を行って欲しい』


そうテキストファイルには書かれていた。加えて、ミロさんには魔族の遺伝子がある。ということは、魔法を使うことができるかもしれない。もちろん魔法を使える人間はいないので期待はしていないが、言葉の勉強をすることで、使えるようになる可能性はゼロではないと、私は考える。

ともかく、これは最重要なことなのだ。できるだけ手早く、確実に覚えさせたい。それに、やってみると意外と楽しいものだ。事実半年前と比べて、ミロさんは色々なことが話せるようになった。


「えー、やだ。メンドくさい」


ほら、こうやって面倒くさがることが増えた。


「面倒くさいじゃないですよ!ほら、座って座って」

「えー、なんでさ。ヤダよ。あたしもっとあそびたい」

「何でそんな言葉ばっかりすぐに覚えるんですか!」

「なんでだろーね。わからないや、ははっ」


笑いたいのはこっちも同じだ。だが、そうも言ってられない。何とかしてここはやる気を引き出さなければ。


「こほん、ミロさん?そうですねー。今頑張って勉強してくれるのなら、今日の晩御飯はあなたの好きなものを用意してあげましょう」

「きょうはなんでもいいきぶんだし、なんでもいいかな」

「くっ」


ダメか…。ならば次の手だ。


「では、何か欲しいものはありませんか?これから頑張るということを約束してくれるのならば、用意してあげなくも」

「おもいつかないから、ないかなー」

「くっ…」


実に無欲だ。私が子供のときだったら、もっと色んなものを欲しがっていた気がする。

それにしても、子供の頃か。あの時は、まさかこんな日常が待っているなんて想像もつかなかったな。

もちろん、魔族がいることはわかっていた。私ももしかしたら、襲われるかもしれないとも。しかし、どうも私にとっては他人事のようにしか思えなかった。何となく、私の周りは死なない。きっと、みんなでずっと平和に暮らしていけるだろうと、あの頃の私は間違いなくそう考えていた。

そんな簡単な間違いに気づいたのは、スケルトンに町が襲われたあの日だ。間抜けなことに、実際に父と母と、メイドや執事のみんなが死ぬまで気づくことができなかった。

私も死ぬんだ。いや、死なせて欲しい。死んだら、またみんなに会える。そう思っていた。だが、その考えを変えたのは隊長だった。


「お前の父さんは命を懸けてお前を守ったんだろ。お前の命には、その父さんの命の重さが含まれている。そのことを忘れんな。お前を守ってくれた人のことを絶対に忘れんなよ」


その言葉を聞いた時、生きたい、生きなければならない、そう思った。

私には命の重さなんてわからない。だが、お父さんが私を守ってくれたのは事実だ。だったら、私を守ってくれた人の分、精一杯誰かを守るために戦って生きてやる。そう思った。

きっと、それがあの時は何もできなかった私への償いにもなるから。


「リコー?」


そんな思い出から現実に戻ってみると、ミロさんが私の顔の前で手を振っていた。どうやら、そこそこ長い間思い出に浸っていたらしい。情けない、ミロさんのやる気を出すという話はどこへ行ったんだか。


「あの、すみませんミロさん。何ですか?」

「べつに。ただリコがぼーっとしてるから、どうしたのかなって」

「あぁ、いや。何でもないです。心配かけてすみません」

「ふーん、ならいいや」

「それより、何ですかリコって。そんなのまるで」


隊長みたいじゃないですか。


「なんかね。ずっといたひとがリコのことをリコってよんでたから。ねね、なんでリコはリコってよばれてるの?」

「そんなの…」


そう言えば、何でだっけ。前に話してくれたような気もするが、思い出せない。なにせ、隊長は自分のことをあまり話してくれなかったから。


「…わかりません。聞かなきゃいけませんね」

「そうなんだ。へんなの」

「変、ですか?」

「だって、なまえってとくべつなんでしょ?それなのにりゆーがないって、へんだよ」


…確かに、前に名前について説明するとき、特別なことだと教えたような気がする。私もそう思うが、ミロさんの名前の由来って確か…。


「緑色の髪で、黒い格好だったから…」

「え、なに?」

「あ、いやいや。何でもないですよ!ほんとですよ!?」

「へー」


何はともあれ。

ミロさんの教育にはもう少し時間がかかりそうです。隊長。

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