帰還、準備、叛逆
たまたまブレンパワードという作品を知ってOPを聴いたのですが、あの曲ってアニメのOPだったんですね。
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魔王が用意した魔法陣を潜ると、そこは見覚えのある森の中。川がゆっくり流れていて、木々が静かに揺れている、そんな自然の中に私たちは立っていた。
「戻ってきた、ってわけか」
最後尾にいたディスプさんがそう呟き背負っていたミロさんを地面に降ろすと、やりきれないといった表情で拳を近くの幹に叩きつけた。
「クソッ」
その悔しい気持ちは私と、そしてキードさんも同じだろう。隊長は私たちのためにその身を魔族に捧げた。今後、私たちの手で倒すことになるのかもしれない。そうなったのは全て私たちのせいだ。
だが、今は一度切り替えかければならない。それが隊長の思いでもある。最後に隊長が言っていたことを思い出し、私は拠点のある方へ向かって足を進めた。
「ちょいちょい。どこ行くつもりさリモコちゃん」
「拠点です。そこに隊長が残したものがあると」
「なるほど、そうだね。隊長なら何か残しているに違いない」
「残しています。隊長がそう言っていたから」
「隊長が?」
最後に私が隊長へ抱きついた時、隊長は言っていた。魔族に付くのは一時的なもので、隙を見つけ次第帰ってくると。そして、隊長のパソコンに今後の作戦をまとめたテキストファイルがあると。
私たちはその内容を確かめなければならない。そして、絶対にみんなで生きてこの世界に帰ってくるんだ。
「とりあえず、拠点に戻ってそのファイルを見てみましょう。話はそれからです」
「パスワードかかってんな…」
「そりゃそうでしょ。セキュリティ大事だし」
拠点に戻り、隊長の部屋に入った私たちを待っていたのは、パスワードがかかった隊長のノートパソコンだ。
「なぁリモコ、パスワードについては何か聞いてないのか?」
「聞いてます。誕生日がパスワードらしいですよ」
「ダメでしょそれ。絶対パスワードに使っちゃダメな奴だって」
キードさんが慌てて手を振り回しているが、ノートパソコンのロックは隊長のパスワードで解除された。生年月日そのままだ。ぴったりそのまま、ブラフも何もなかった。
「で、そのファイルってどこにあるんだ?」
「デスクトップ上に置いてるらしいです」
「あーもー、これセキュリティ問題だよ。管理ガバガバすぎるでしょ」
呆れ顔で顔を抑えるキードさんだが、今はそんなゆるゆるセキュリティが有難い。デスクトップ上に置いてある、『これからのこと』というそのままの名前のテキストファイルを開くと、そこには最初にこう書かれていた。
『これが読まれている可能性は2パターンあるはず。
①=おれが死に、偶然誰かがこのテキストファイルを開いた
②=おれからの指示で、生き残った守護隊のメンバーが確認している
それぞれ当てはまる項目へ進め。』
このパターンだと私たちは②のパターンに当てはまるというわけか。画面をスクロールし、②の項目までたどり着くと、そこには様々な作戦や、今後の指揮体制などが書かれていた。
『以上がおれの考える「これから」だ。
もちろん、これより何か良い策があるとは思うし、そもそもこの作戦が実行できるほど人数が揃っていないかもしれない。
その場合は、申し訳ないが残りのメンバーでできる最善の策を実行して欲しい。
最後まで頼りにならなくて、すまない』
そしてテキストファイルの最後はそう締めくくられていた。頼りにならないなんて、そんなことはない。ここまで色々考えてくれていたおかげで、私たちも動きやすくなった。
不確定な要素はいくつかあれど、時間をかければ達成できることもありそうだ。少しずつ、それでいて早く。
「やること、決まりましたね」
「うん」
「あぁ」
高らかに宣言する。
これから行うこと。隊長を救い、魔王を倒し、全てを終わらせる。その作戦名を。
「それではこれから、『最終作戦』を実施します」
「…」
「…んん」
何やらキードさんもディスプさんも間の抜けた顔をしている。何か、変なことを言っただろうか。
「あのさ、最終作戦って作戦の名前?」
「へ?はい。テキストファイルに書かれてました!わかりやすくていい名前ですよね!」
「ださくないか」
「うん…」
そうかなぁ。いい作戦名だと思うんだけどなぁ。




