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死んだと思ったら魔界で生まれ変わった  作者: 鳥羽こたつ
第四話
68/146

ターニングポイント

フレームアームズガールの映画を観てきました。良い総集編だった…。

「一体どうなってんだ!」

「おれが知るか!」

「いいから早くなんとかしろ!」


魔族達の怒号が飛び交う。それもそのはずだ。今、この城は。


「クソ、なんで火事なんか起きているんだ!」


燃えている。

武具庫の中を滅茶苦茶にし、そこら辺の瓦礫で封鎖したあと、ミズキコウが魔法で火を付けた。

普通だったらこんなことで火事なんて起きないらしい。だからこんなにも魔族どもが慌てているのだろう。それがこんなことになったのは、ミズキコウが武具庫の魔法吸収の装飾を全て破壊したからだった。仕組みはよくわからないが、城内にある数多の装飾がこの城を守っているらしい。


「これでしばらくは時間を稼げます。逆に言うと、それを過ぎると事態は悪化します」

「つまり、後はミロを取り戻して終わらせるってことだな」

「そうですね、終わらせます」


ミズキコウの話によると、この城の一番上に魔王がいるらしい。ということは、後は登り切るだけか。


「駆け抜けましょう。この混乱の中なので、すれ違っても気づかれる可能性が低いはずです。流石に毛皮は被っててくださいね」

「あぁ、わかってる」


階段を駆け上がりたくさんの魔族とすれ違うが、ミズキコウの言う通り、誰一人おれ達の存在に気づかない。よっぽど慌てているんだな、こっちにしては好都合だ。

入口があった階を突破し、そしてまた駆け上がる。時折見える外の景色が全く変わらないことが、感覚を狂わせられているように感じた。


「なぁ、あとどのくらいで魔王がいるんだ」

「正確な階層は覚えてません。ですが、まだ十階以上はあったかと」

「そんなに!?」


質問したのはおれだが、後ろにいたキドが足を止め、少しばかりの休憩をとる。その表情はまるで、余計なことを聞いてしまったとでも言いたげな表情だった。


「結構登ったつもりだったんだけどな」

「この城、無駄に大きいんですよ。たくさんの魔族が全て住んでいる、いわば魔族全員の家ですからね」

「…わかってたはずなんだが、いざ改めて言われると凄いところに来たんだな」


ここには全ての魔族がいる。

もし、ここを落とせばそれで戦いは終わる。

…いや、今は無理だろう。仮に守護隊のメンバー全員を連れてきたところで勝てるかどうかわからないんだ。その為にも、今はミロを連れて帰らなければならない。息が整ってきたキドを立たせて、再び階段を踏みしめた。

その時だった。突然目の前に赤い羽根が落ちてきたかと思うと、その羽根が爆発したのだ。突然のことに対処できなかったおれ達は、受け身も取れず壁へと叩きつけられる。


「な、何だ一体?」

「あの羽根…」


ミズキコウが思考を巡らせるように顎に指を当てた。そして、再びあの赤い羽根が舞い降りる。


「皆さん走って!」


脳がその言葉を理解する前に、勝手に体が駆け出していた。羽根はやがて地面に落ち、爆発する。背中で爆風を感じながら、何とか次の階層までたどり着くことができた。


「なんなんだよ、あれ!」

「見ての通りです。地面や手などに触れると爆発する仕掛けになってるんですよ」


なるほど、だから羽根が落ちる前に走れと言われたのか。


「そして、こんな攻撃をするのは…」

「あぁ、そうだ」


声の主がゆっくりとこちらに歩いてくる。ぱっと見ると、人間とほとんど同じ姿をしていた。上半身だけは。だが下半身は鳥のような姿をしており、その背中には大きな翼が生えている。


「久し振りだな、コウ」

「えぇ。久しぶりですね、ハルピュイアさん」


鳥人間はミズキコウを見て何故だか嬉しそうに笑うと、その後ろにいるおれ達をじっと見た。


「人間を従わせるようになった、そういうわけではなさそうだな」

「ですが手を取り合って戦ってるわけでもありません」

「あの時の覚悟はどうした?人間として生きるというのは」

「なくなりました。だから俺は人間でも魔族でもない、半端者として戦い続ける」

「はっ。決断をし切れなかったの間違いだろう」


なんだなんだ。一体何の話をしているんだ。


「そこの人間ども、私はこいつと戦いたいだけだ。さっさと散れ」

「あ?」

「すみません、皆さん。こいつを倒してすぐ追いかけますから」


よくわからないが、またこいつの過去に関わる話のようだ。ならば、邪魔をするのも無粋だろう。

もうやるべきことは決まっている。だったらあとはおれ達だけで何とかするしかないはずだ。


「あぁ、わかった。魔王へのトドメだけは取っといてやるよ」

「助かります。奴を殺すのは俺ですから」


ギョロリとした目を細め、にっこりと笑うミズキコウを見て、おれ達は長い長い階段へと進んで行く。

ここから先は死闘が始まる。上等だ、今までミズキコウに頼りっきりだったのがおかしかったんだ。待ってろミロ、すぐにお前を取り戻しに行くからな。

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