ぶっ飛び作戦
ジメジメして来ましたね…梅雨時なのでしょうか。
目の前にあるのはそびえ立つ城。夜のように真っ暗な空に溶け込んでしまいそうな、漆黒の城。魔族の住まいが今、おれ達の目の前にある。
「しかし、まぁ。なんというか」
「悪趣味、ですよね」
やたらと尖った装飾を施している壁、ところどころ埋め込まれている宝石、こちらを嘲笑っているような謎の絵。
まるで城自体が人間を威嚇しているようだった。もしかすると人間が生理的に嫌がるように設計しているのかもしれない。
「それで、どこから侵入する?まさか正面突破するわけじゃないだろ」
「いやいや隊長、冗談でもそんなこと言うのやめてくださいよ。そんなことしたらただの無駄死にですよ、無駄死に!」
いやいやと顔を横に振るキド。わかってるよ、そんな子供みたいな真似すんな。
さて、じゃあ持ってきていた吸盤ハンドを使うとしよう。これを使えば、城壁だろうがなんだろうがペタペタと登ることができる。問題は見た目がダサいことだが、今文句を言う奴なんていないだろ。
「いや、ちょっと待っててください」
と、おれが吸盤ハンドを用意している横でミズキコウは歩き出した。何故だろう、嫌な予感がする。
「正面から行きましょう」
馬鹿だろこいつ。
「いやいやいや、さっきの話聞いてた?無理だし無駄でしょ。百歩譲って一対一ならともかく、数も力も向こうの方が有利なんだよ?」
「はい、そのまま勝負なんて挑みません。変装するんです」
「変装?」
「えぇ、魔族のフリをしましょう」
「おい待てよ」
魔族のフリったって一体どうやって。毛皮でも被ればいいのか?だとしても、それって調達しなきゃならないよな。もしかして。
「それってよ、まさか魔族のガワだけ剥ぎ取るとか、そういうことか」
「はい。任せてください。できるだけそれっぽい奴らを狙いますから」
「この前みたいに鎧だけ着込むんじゃダメなのか?」
「それでも良いですが、鎧を見つけてここまで持ってくるよりも、出てくる魔族を倒した方が早いです」
おい、もうこいつだけ発想が違うぞ。何で狩ること前提なんだよ。
「あーもう。何でもいい。なら剥ぎ取るところまでは頼んだぞ」
二つ返事で引き受けたミズキコウ。そして少し待った後、彼が持ってきたのはいくつかの魔族の死骸だった。
「ちょっと生臭いですが、それは我慢してください。あ、消毒液か何かあります?」
おぉ、もう。なんというか、凄すぎて作戦とか道具とかどうでも良くなってきた。
今はこいつに甘えておこう。楽できるならそれでいい。さっさとミロを連れて帰るとしよう。




