抑えきれない、この衝動
久しぶりの平日投稿です。あまり話は進んでおりませんが…。
医者が話していたように、その日のうちにキードが目覚めることはなかった。なのでその日は休み、翌日の朝一にキードの様子を見に行くことにしたオレは、医務室でイオマと出会った。
「よう、お前もお見舞いか?」
「えぇ。心配なもんですから」
イオマは話しながらキードの額のタオルを濡らしていた。その表情は浮かないものに見える。まぁ、医務室で嬉しそうにしている人間もそうそう見ないが。
「聞きましたよ。僕たちが交戦した例の竜人って、竜さんじゃなかったんですよね」
あぁ、そういえばオレから直接伝えてはいなかったな。竜のクローンが存在したっていうこと。
「あぁ、そうみたいだ」
「じゃあ今頃本物の竜さんは何をしているんでしょうね」
「それは…」
隊長の言うところによると、魔界で共食いをしているらしい。だけどそれを伝えたところで何になる?結局竜の印象を変えることなんてできやしない。それなら、今ここで伝えなくても良いんじゃないだろうか。
「…待て。それよりお前、どこでその話を聞いたんだ?」
「その話って?」
「竜が本物の竜じゃないってことだよ」
「あぁ。テンドからですよ。彼、道具の開発にも興味があるみたいで、よく話をするんです」
へぇ、そんな繋がりがあったとはな。全然知らなかった。別に部下の全てを知りたいとかは思わないが、好きなことくらい把握しておきたいものだ。
「他に何か聞いてないか?」
「他ですか?えっと、隊長が帰ってきたとか。それにしてはまだお会いしていないんですけどね。僕も挨拶くらいしておきたいんですけど」
「ん、あぁ。それは」
無理だろうな。隊長自体があんな様子だし。
イオマの様子を見ると、隊長の様子は知らないようだ。ならば正式に帰ってくるまで、食人衝動のことは伏せておこう。
「ところで、キードの様子はどうだ?」
「よく眠っているだけ、みたいです。しばらく休めば良いみたいですよ」
なるほど、昨日聞いたまんまみたいだな。それなら安心だ。
「じゃあさ、見ていてやってくれよ。オレはリモコとミロを探しに行こうと思う」
「え、一人でですか?危ないですよ」
「大丈夫だって。火だって上がってたんだ。そこに行くだけさ」
じゃあな。そう別れを告げ、オレは自室に戻り準備を進めた。
隊長が少しでも人間を取り戻すためにも、リモコとミロを、守護隊の仲間を集めたい。そう逸る気持ちを、オレは抑えることができなかった。




