潔癖症の時代
ついこの間、テレビ番組で、潔癖症アイドルというのを見た。
たぶん、これを読んでいる誰かも、知っているんじゃないかな。
だから、そのアイドルの名前は書かない。
いやー、なんというか、言葉を失うね。
なにしろ、アイドルなのに、握手会では、手袋をしてファンと握手するんだってさ!
とにかく、他人と触れ合うのが嫌で、自分が「この相手なら、清潔だ!」と確信しないと、指一本、触れられるのも、いやだというんだから、猛烈なもんだ。
あのー、アイドルって、人と触れ合うのが、仕事なんじゃないですか?
で、番組を視聴しているうち、だんだん、怒りがこみあげきた。
たぶん、番組を制作しているスタッフたちの狙、まんまと乗せられたのかもしれないが、きっとこの番組を観た、多数の視聴者がぼくと同じ感想を持ったはずだ。
「てめ~! 何様のつもりだよっ!」
このアイドルに、悲鳴を上げさせるような、企画をつい思いついてしまう。
たとえば……。
ゴミ屋敷の掃除なんて、どうかな?
十年間、一度も掃除をしたことのない部屋に、このアイドルを放り込んで、すべてピカピカに掃除させる。
あるいは……。
ニューギニアや、アマゾン奥地の、先住民の村へ数日、住まわせる。
いや、これは先住民にたいして失礼か!
そうじゃなかったら、自衛隊のレンジャー部隊への体験入学。山岳踏破訓練に同行。
どれもこれも、このアイドルが半狂乱になりそうな、シチュエーションじゃないか。
け~~っけっけっけっけっ……!
バカだね、ぼくも。
できっこないのに。
作家の井沢元彦氏は、こんな言葉を著している。
それによると「衣食足りて礼節を知る」という言葉があるが、日本人は「衣食足りて潔癖を知る」という。
日本人は、世界でも珍しいほど綺麗好きなのだそうが、それがつい、度を越してしまいがちなのだそうだ。その潔癖さが、場合によっては外国人への差別につながりかねないので、注意すべきだという。
それで、こうも考えた。
もし、潔癖症の人が、誰にも顔を合わせず、世の中の汚いもの一切から触れぬよう暮らすにはどうすればいいか。
まず、他人に触れたくないので、仕事は自宅作業。
パソコンとネットがあれば、それは可能だ。
大前提として、収入が見込める、スキルが必要だが。ま、そんなスキルはいろんな種類があるだろう。
たとえばプログラム関連とか、経理とか、グラフィックでもパソコンでできる仕事は沢山、ある。
食料とか衣類、生活必需品はネットでいくらでも通販で手に入るから、これも問題ない。
ただし配送されるさい、配送員と顔を合わせたくないだろうから、これも工夫が必要だ。
役所関連はどうか?
住民票など、ネットで処理できるところもあるらしい。
ああ、肝心なことを忘れていた。
医療関連はどうだろう?
病気になったら、どうしたって、病院へ行かなければならない。
ええい、それなら自宅を病院にしてしまえ!
ほら、ダ・ヴィンチという、遠隔操作医療ロボットというものがある。それを自宅に設置して、ネットを介して医療を受けられるようにするんだ。ついでにMRIなんかも導入だ!
これで病気になっても安心だ!
でも肝心なのは、病気にならないこと。
それには汚い細菌から身を守るため、自宅は感染防止の無菌室にしてしまえ!
あ~あ、またバカなこと、書いてしまった……。




