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底辺虫系JKの異世界冒険譚  作者: 怠惰な脳筋
人魔大戦本戦
75/88

第74話 VS結界守護英雄①

「ふむ、なるほど…よく分かった。ヴァイシアと相談だな。私一人では無理だ。」


 アリシアは結界の解析を終えた。

 アルティメット級固有能力である『悪竜之五感』と言うスキルの権能の一つ「悪竜眼」は見ただけであらゆる情報を収拾最適化する事が出来る。

 そして得た情報からこの結界を破る方法が分かったので配下兼友達のヴァイシアに報告することとした。

 

 軽く下にいる人間を吹き飛ばしながら。


 



 私が強者狩りの為に飛行しているとアリシアから連絡があった。

 どうやら結界の解除方法がかなりめんどくさいらしく手伝って欲しいとの事である。

 私はアリシアの元へ向かった。


「んで?結界の解除方法が分かったって本当か?」

「うむ、だがかなり特殊でな。」


 アリシアの説明によるとこの結界は100枚の結界で構成されている。

 そして100枚の結界を発生させている結界のエネルギー源は地下にあるものの結界をどうにかしないと干渉が出来ない。

 私とアリシアなら素でぶち破り侵入可能だが他の者はそうとはいかない。

 そもそもLv上げも兼ねているからね、この戦争。

 そして肝心の結界解除方法…それは…。

 十二の発生源、つまり結晶陣フィールドクリスタルを十二個同時に破壊する事である。

 同時にと言うのが肝であるらしく、なんと同時でなければ再生する事が出来るらしい。


 そして十二のクリスタルは特定の強者に埋め込まれているらしい。

 そう!

 勇者級の奴等となんか強い奴等である!!

 そいつ等の体内に埋め込れているらしいのでとりあえず見つけなければならない。

 しかし、ここまで簡単な事だとは思わなかった。

 だって要は纏めて十二人倒せばいいんでしょ?

 楽勝楽勝!


「なら私とアリシア、私の部下達と魔王メルシアさんとお姉ちゃん達で足りるね。」


「うむ、だがお前の部下は勝てそうか?」


「大丈夫じゃない?勇者級に関してはお姉ちゃん達がもうラリアナさんの空間内で相手してるし残ってる勇者を私とアリシアで相手すれば良いわけだから。」


 そう、お姉ちゃん達がラリアナさんの結界ないで戦っている勇者達も結界の源である。


「結界の源は約1分で再生するらしい。」


「つまり、一分以内に強者全員殺せば結界は壊れるね。」


「そういう事だ。ラリアナに言って強者共を異空間に拉致しその中で戦闘をしてもらう。構わんか?」


「了解。んじゃ部下に連絡するね。」

「うむ、死ぬなよヴァイシア!」

「まかセロリ」


 アリシアはラリアナさんにこの事を伝えるべく一旦離脱した。

 そして

(お前等、個人個人に大仕事を任せたい!丁度暴れたりなかったろ?存分に暴れ倒せ!!)


(了解しましたお嬢様。)

(承知いたした元帥)

(了解しました元帥)

(了解した、ヴァイシア殿!)

(分かりましたお母、元帥。)


 さて、私の部下には報告完了。

 お次は、


(カカオン!シュン!!出番だがいけるか?)


(お?待ってたぜ!)

(いよいよ、Lvもだいぶ上がったし)


 二人ともLv上げしまくってたっぽいね。


(ブランクやれそう?)


 ブランクは答えないけど静かに頷いた気がした。


 さて、参加メンバーはこのぐらいかな。

 メルシアさんが臨時で魔王軍の総司令もやってくれるらしいので文句なしの采配である。

 うちの軍団長の腹心が代理で指揮を取る事にしているが全力ダウンが半端じゃな――

(おい、俺は?)

…マジすか?

 このタイミングで動いてくれんのはありがたすぎじゃね?!

(スレイア!起きてたの?!)

(うるせぇ、てか起きてるわチビ助。)

間違いなく寝てたな!

声が寝起きだもん!

(んで?戦局維持すりゃ良いんだろ?俺が引き受けてやるよ。)

(いや、ありがたいけど…スレイア今異禍群イカムラでしょ?どうやって戦局を…)

(俺には弓があっから問題ねぇよ。場所だけ言え、そしたらぶち抜く。)


 ま、マジすか!?

 この距離で当てると?!


(んじゃ試しに…B-68・D−896)

(はいよ。)


 丁度魔王軍が誰もおらず人間が沢山いる場所の座標を言う。

 すると

『超音速でコチラに接近する物体があります。残り5秒で到達します。』


 ッドゴン!!!!


 土煙は発生しなかった。

 ただ大気摩擦によって生じた熱によって着火し粉塵爆発が発生し半径60m以内を焼き尽くす。

 しかも着弾と同時に地面を抉り飛ばした為、着弾地点付近の人間は跡形もなく消し飛んだ。

 爆煙が晴れるとそこに立つは鉄の柱。 

 スレイアが放つ矢である。


(どうだ〜。場所ぴったりだろ?)

(凄ッ。)

(だろ?)


 けど問題は戦場を見通し尚且つ座標を的確に言うだけの知能を持った奴がいないと目標地点が分からないと言うことだ。

 さて、どうしたものか。

 あ、知型

 アイツ知能あるわ。

 めっちゃ!


「という訳でよろしく頼むぞエヴォーカー!」

『承知しましたヴァイシア様。』


 とりあえずエヴォーカーとスレイアは思念伝達で繋げておいたのでエヴォーカーの指示にて精密範囲攻撃が可能となった。


 そしてラリアナさんからの準備が整ったと合図が来たので、さっさと十二の門番を倒していきますかね。





−−−−結界守護十二英雄―第一英雄−−−−


 

 魔王ラリアナが現在生成している亜空間十二のうちの一つに引き込まれたのはブランクであった。

 ヴァイシアによって初めて名付けられ【名持ネームド】に至った最初の大鬼オーガである。

 精神生命体スピリチュアルクリーチャーは干渉すら不可能な謎の"力"を持っており本来なら精神生命体スピリチュアルクリーチャーであるラリアナは干渉出来ない筈だがブランク本人の意思によって干渉する事が出来た為、亜空間に入ることが出来た。


 そして対するは帝国内No.3の実力者

 【神槍剣騎士】ガルディア・ローナン・エコムス


 赤褐色の髪を獰猛になびかせ深紅の瞳が目の前の大鬼オーガを見据えている。

 彼女は槍兵ながらも覚醒勇者級の実力を持ち存在値は人族の中でも稀にみる脅威の500万を超える。

 装備品は最高品質の【究極級アルティメット】であり鎧は赤褐色であり印象的なのは竜の角の様な肩の装甲であった。


 それはかつてガルディア本人が討伐したS級もしくは魔王・勇者級の戦闘能力を誇る炎帝竜ヘルロード・ドラゴンの頭両角でありこの全身鎧フルプレートたる【炎帝竜鎧ヘル・ドラゴアーマー】に聖銀属ミスリルと共に素材として使われたのである。

 手には刀身約75cm、柄の部分だけでも1.8mという巨大な【竜穿槍グングドラゴ】が握られている。

 【炎帝竜鎧ヘル・ドラゴアーマー】と竜穿槍グングドラゴ】を身に付けた彼女の存在値は脅威の2500万を超えていた。

 刀身だけでも並の剣より遥かに巨大であるが故に"槍剣"と呼ばれるようになった。


「ハッ!この私相手に大鬼オーガだと?随分とまぁ舐められたものだな〜私も!」


 ガルディアは槍を握る手に力を込め姿勢を低くし両の足に力を込める。

 ガルディアは考えるのをやめ目の前の的を最速で撃破する事だけを考えていた。


 異空間に閉じ込められた事は理解している。

 しかし自分の相手をするのならばSランク相当の魔人でやっと戦いの土俵に立つ資格があると考えていた故に"可能性"に気付いてなどいなかった。


 大鬼オーガとは鬼族きぞくの中で種族階級が中堅程度であり存在値もB級程度である為、ガルディアにとってはもはや敵ですらない存在である。

 種族階級とは別の階級も存在している。故に強さに差が出るがそれは歴戦の証であり歴戦個体は戦闘を数多くこなしているのだ。

 ならば必然的に種族階級も高くなる。

 目の前の白目の大鬼オーガは体格こそ通常の大鬼オーガよりもガッシリしており高いが、それだけである。

 自分の敵ではない。

 故に忘れていた可能性それはガルディアを倒す事がこの亜空間にガルディアを引きずりこんだ理由であるという点である。

 倒す事が目的であるならば必然的にそれはガルディアに匹敵もしくは圧倒する存在を戦わせるだろう。

 しかしそれにガルディアが気付いた時、いや。

 

 ―その前から―

 

「お前も相手が悪かったとしか言いようがないな!白眼の大鬼オーガ!死ね!」


 それはまさしくドラゴンを葬り去るに相応しい力であった。

 地は砕け音を置き去りにし目の前の敵をただの一突きにて穿つ!

 本気ではないにしてもそれは一撃でA級を倒す事が出来る程の力で―――


 ガルディアは相手が死んだ事を確信し目を瞑り槍の血を一振りにて弾き落とす。

 しかし倒れる音が一切しない。

 ガルディアは振り返る。

 しかしそこには何も無い。

 肉も骨も内臓も血の一滴すらそこには無かった。

 槍にも鎧にも一切の返り血はついてなどいなかった。


 そして前を見て驚愕する。

 目の前で倒した筈の大鬼オーガが微動だにせずコチラを見つめていたからだ。

 いや、そもそも倒せてなどいない。

 自分はまだ動いてすらいなかった。

 いや、動けない。

 それは恐怖ではない。

 

 ガルディアはその時初めて理解する。自分の足の骨が折れていることに、「痛覚大耐性Lv9」を持っていたせいで反応が遅れたのだろうか?

 膝から崩れたのはいつぶりだろう?

 そう考えつつ回復魔法を発動させる為に腕を動か、動か―――

 動かなかった。

 いや動かせなかった。

 何故私の身体が動かない?ガルディアは疑問に思う。

 

 大鬼オーガが一歩前に出た。


 するとどういう事だろう。

 ガルディアの持つ全ての耐性が一斉に効力を失ったのだ。

 そして数年振りの激痛を感じガルディアは悲鳴を上げる。

 足だけではなかった。

 脊椎板と呼ばれる背骨と背骨の間にある軟骨と背骨の複数個が潰れていたのだ。

 

 目の前の大鬼オーガは一歩また一歩と近づいてくる。

 その足取りはゆったりとしていた。

 たかだか15mの両者の距離が近づく中ガルディアは思考を巡らせる。

 自分の持つスキルが次々と使えなくなっていく様な感覚がする。

 まるで世界から切り離され、二度と戻って来られなくなっているような不安に襲われる。


 恐怖。

 

 それと同時にある仮説が脳裏に浮かんだ。

 実に馬鹿げている。そんな力があるならそれは…。


「貴様、もしかして…能力封止アンチスキル持ちか?!」


 能力封止アンチスキルのスキルは確認されている物でも少なくとも10のスキルまでしか封じる事が出来ず、特有能力ユニークスキルは封じる事が出来ない。

 しかしもし仮に今まで確認されていた【能力封止アンチスキル】よりも高位のスキルならば…。


 しかしガルディアはその力の本質を見抜く事など出来なかった。

 いや、むしろ理解する事など到底叶う筈もない。


 その"力"はそもそも世界基盤システム内のあらゆるスキル、超常の存在に対しての特攻とも呼べるものであったのだから。


 その"力"を言葉とするならば"真なる解呪"である。


 あらゆるスキルの一切を消し去り精神生命体スピリチュアルクリーチャーは存在出来なくなり魔法すら根本たる魔力が操作出来なくなるため扱えなくなる。

 そして極めつけはステータスの崩壊である。巨人や竜などの超常生命は"普通"は存在出来ない。


 巨体で生きるならば取り込む酸素が足りず、そもそもその身体を支える骨格が必要である。

 しかしそういった超常生命はステータスのあるこの世界では通常の生物と同じように生きる事が出来る。

 しかしブランクの前ではステータスが存在ごと抹消される事で、結果そういった超常生命は自らの肉体の欠点を自らで支えきれずに自壊するのである。

 

 ある意味で言えばガルディアは幸運だっただろう。

 その"力"の本質を理解する事が出来なかったのだから。

  その"力"は

―――下手をすれば、この世の全ての強者をただの肉塊にするだけの力ある存在である、と―――



 ブランクが手に持つ石のこん棒を振り上げる。

 ブランクにもステータスはないが、筋肉、骨密度共に高い為なんの問題もない。

 

 こん棒がガルディアの頭めがけて振り下ろされた。

 

 一切の抵抗もなくガルディアの頭が砕け散る。


 ブランクはさも平然としている。

 ブランクの感じとる世界にはガルディアは、ただ自分の持てない程の重さの装備を身に着け、案の定背骨と足を折ってしまった二十代の人間にしか感じとっていないのだから。

  


 

 

 


ブランクとガルディアが戦闘を開始するのと同時刻。


「よぉし、シュンどっちが早く倒せるか勝負しようぜ〜。」

「えぇ、別に勝負なんて…とりあえず負けた方は日向の魔法1時間耐久でどうよ?」


「ハッハ、乗り気じゃん、罰ゲームエグいし。」


 二人の転移者は軽口を叩きつつ目の前の二名の敵を見つめていた。

 糸目の聖女風の女とThe・騎士風の男であった。


「ふむ、どうやら異空間に囚われたようですね、エクスタ殿。」

「そのようですね、レオンハルト様。」

「貴女は下がっていて下さい。あの二人は私が相手を致します。」

「分かりました。支援はお任せを」

 堂々たる宣言であった。

 しかし、

「ほーん?アイツ俺等二人纏めて相手するってよ。」


「マジか〜。んじゃここはあえて後ろの聖女風の奴を先に倒して守れなかったを感じさせるか。」


「なにそれ、歯茎出るな!よしやろう!」


「ならカカオはレオンハムトとか言う騎士の相手をしてくれ。僕はあっちの聖女殺るから。」


「りょうか~い。んじゃま、いきます―ッか!!」

  

 カカオの言葉を合図に全員が動いた。

 レオンハルトは後ろのエクスタを狙ってシュンが動くと考え瞬時にカカオを制圧しシュンを倒そうと考えた。


 しかしカカオはそれ以上の速度で移動し横腹を蹴り装備合わせて約200kgは超えるレオンハルトを踏み込んでいないにしても50m程吹き飛した。


「やろうぜ、騎士野郎!」

「ッチ、。」


「レオンハルト様!!」

「おっと〜?戦闘初心者かよそ見は良くないぞ?」 

 

 いつの間にやら接近していたシュンが錫杖で支援魔法をかけようと手を伸ばしたエクスタの腕を叩き落とし即座に蹴り飛ばす。

(いっし!

 とりあえずコイツのLvが高いからフィジカル面でも警戒してたんだけど、動きが初心者だな。

 典型的な魔法・遠距離タイプ!)


「貴方、もしかして異世界出身の…」

「?そうだけど、どした?今関係なくね?」


(なんだコイツ。今俺が転移者だって事関係なくね?)


「なんなのですか貴方達は!!

 何故貴方達はいつものいつものその様に野蛮で!悍ましく!!人々の平穏を脅かすのですか!!

 何故、何故!魔族に与するのですか!!」


(いきなり発狂し始めた、ヒステリックか?)


「そうねぇ。

 そもそもテメェ等の勝手で攻撃されて核まで落とされちゃったら宣戦布告もいいところでしょ?」


「なにを言うかと思えば…貴、いいえ。

 もう結構です。

 やはり貴方達の様な異世界の者は我々が管理しなければなりません。

 我々の平穏の為に…。」


 エクスタは霊子を操り始める。


「人を管理ねぇ。傲慢も良いところだわ。

 反逆喰らって被害出んのがオチだぞ〜ソレ。」


 何かを始めたと判断したシュンは姿勢を低くし攻撃体勢になる。


「死に悔い改めなさい!!

 闇の人よ、かの者の光を奪え! 目隠闇ダークアイ

 神よ、偉大なる御身の力で敵を捉え賜え!

大重力アースクエイク!!!

 地獄の亡者よ、今こそ己が罪を生者に知らしめよ! 獄炎球ヘルファイア!!

 氷雪たる吹雪よ、敵に纏いて凍らせよ!氷吹雪ブリザード!!

 吹き付ける風よ!今こそ刃となれ! 風斬撃ウィンドブレード!!」



 目隠闇ダークアイは文字通り目が視えなくなるものでありシンプルながらも視覚に頼るような魔物には絶大な効果を発揮する。

 大重力縛アースクエイクは文字通り100倍の重力をかけ束縛する神聖魔法である。

 しかし効果範囲内にいなければ当たることはなくエクスタ程の神聖魔法の使い手でも効果範囲は約15m前後であり骨を砕く。

 再生能力ごと相手を焼き尽くす地獄の炎球、獄炎球ヘルファイアが目の前の敵を焼き尽くし、氷吹雪ブレードが焼き崩れた肉体を凍らせ、風斬撃ウィンドブレードが凍った敵を砕く。


 まさしくそれは完成された一対一の魔法師の戦法でこの連撃が決まることは確殺を意味しておりエクスタは相手が死んだ事を確信していた。

 目の前に転がる砕けた氷となった異世界人を一瞥もせずにエクスタはレオンハルトの元へ急ぐ。

 軽蔑、それ以外に異世界の者への感情などないのだから。

 

 エクスタが駆け出すと同時に錫杖がエクスタの左腕を叩き斬った。

 ありえない!いかなる再生能力を持っていたとしても存在値が高くとも、この連撃魔法より生還するすべなどないという自負を持つエクスタは目の前の事実にただ驚愕した。

 シュンが再生していたのである。

 胴体の残った部位から再生し既に左足以外の部位は完治していた。

 

「痛って〜〜〜なコレ。」


 軽く笑いつつシュンは言う。


「は?貴方は死んだ筈でしょ…何故…。」


 ありえない現象につい口から疑問が溢れ落ちた。


「ん?あぁ、確かに死んだって言えば死んだね僕。

 けど、倒せてはいなかったってだけ。

 僕のスキルで倒す条件が難易度鬼になっててさぁ〜ただ殺すってだけだと即復活しちゃうんだよね。笑

 あ、でも普通に激痛だったよ?」


 倒す条件を自ら定められる能力だと?

 そんなもの条件を見つけなければダメージ無しと何も変わらないではないか!

 冗談ではない。完成された究極の魔法連撃だったのだから。

 だが、ならば肉体ごと消し去ってしまえば良いだけの話でしかない。 

 既に斬り落とされた腕は部位回復フルヒールで回復済みである。


「そうですか。では現世に別れを告げなさい。」


 そう言うと今度は無詠唱で先程と同じ魔法を同じ回数、同じ順序で発動した。

 そして今回は肉体ごと完全に消し去る事を目的にした魔法を使用する。

 

「とどめですね。神の裁きを受けなさい。神罰鐘ジャッジメント。」


 それは選ばれた者しか扱う事の出来ない神祝子というエネルギーを素体とした神聖魔法である。

 範囲は決して広くはないが、完全なる1人を確実に葬り去る魔法である。

 物質は愚か、魂もこの世の全ての概念すら範囲内であれば消滅させる事が出来る。

 天より白金光の光がシュンに降り注ぐ。

 まさしくそれは"光"であり対象への到達時間は、秒速30万kmでありまさに光速の攻撃であった。

 

 欠点としては、神祝子はエネルギーは感知や操作にとてつもない体力を消耗する事だろう。

 エクスタであれど一日に一度のみ。

 しかし事実としてシュンは文字通り跡形もなく消滅していた。

 

「ハァハァハァ―。流石にコレは…堪えますね。ですが、一つの悪は、滅ぼせました。」


「危ッなかったわ〜。

 アレはヤバい。小細工してて良かった良かった。

 僕が相手してなかったらカカオ負けてたかも…危ね。」


 ありえない。

 流石にいくら条件を高く設定していたとしても存在そのものを消し去る魔法を受けてまだ生存しているなど…。

 

「流石に何発も撃てるもんでもなさそうだけど、もう良いわ!普通に痛いし、死んでくれ。」


 そう言うとシュンの錫杖は振り向いたエクスタの脳天を貫きそのまま地面に突きさった。


「ふぅ。全身痛ェ!」


 シュンのユニークスキル「輪廻王」の権能である心脳不滅は心臓と脳がどちらかが無事なら死ぬ事なく再生するという規格外の性能である。

 そしてエクスタとの戦闘での最初の魔法連撃は心臓に多重結界を張っていた為に復活する事が出来た。

 そして二度目に関しては耐性もある為、問題ないと判断したにも関わらずヤバそうな攻撃がくると直感し咄嗟に心臓を抜き取り上に投げ飛ばしていたのだ。

 投げられた心臓は弧を描きエクスタの後方へ落ち、直後に肉体が崩壊したことで心臓から完全再生したのである


「さて、僕のエレファントが丸出しだ〜。

 …服ないかな?」


 そう言っているとシュンの目の前に服が落ちてきた。


「馬鹿な事言ってないでさっさとソレを着るのさ!あとアンタのナニは毛虫ぐらいしかないのさ!」


 ラリアナである。


「服、ありがとうございます。でも観ないでくれません?そんなに観たいんですか?僕の裸。」


「んな理由あるか!」


 そうした雑談を交えカカオの様子見をしようと歩き出したシュン。

 しかし先程から戦闘音が一切しない。

 負けたか?と思いつつまぁラリアナさんの結界内だとそもそも自由に生死を決められると日向ヴァイシアから聞いていたので別に気にしない。

 まぁ、だからと言って復活するまでの間、僕が騎士の相手をしないといけないわけだが―。


「大変そうだな、シュン。」

「…。」

「よっ!罰ゲーム決定な!」

「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「うぉビックリした。」

「え?なに終わてたん?僕より早く?!」

「おん、終わった見てたけど?」

「一撃惨殺キラーの名は伊達じゃねぇな。」

「ヴァイシアから武器支給されたからな!普段粗悪な奴しか使ってねぇから物が良いと一撃なんだわ。」


 そう言うカカオの手には禍々しい赤黒い日本刀が握られていた。


「それなんだっけ?」

「ヴァイシアから空間転移で送られてきた武器らしい。

 所有者の望む形状に変形するっぽくて西洋の両刃剣だったのが日本刀になったんだよね。」


神器級ゴッズってマジ?」

神器級ゴッズ?」


 神器級ゴッズ武器とは、存在値1億オーバーが当たり前の超武器であり所有者の成長と合わせて無限に成長する事が可能の武器である。

 その希少性と性能から所有者は一国一城の主よりも高い地位を手に入れられるとされる。


 神器級ゴッズ:【竜滅剣】は所有対象の残虐性と技能に併せて自らの形状、存在値を変幻自在に変化させる事が出来る。

 更に権能として【破壊不可】【絶対切断】更には【熱壊斬崩】という究極能力アルティメットスキル級の権能が多数存在する。

 しかし前保有者にして主人公ヴァイシアに秒殺された際の性能は特有級ユニーク程度であった為【竜滅剣】が神器級ゴッズだと当人を含め誰も知らなかったのである。

 

「カカオがめっちゃ強くなったんだけど…。」

「ま、剣は斬るものだし性能とか関係なくね?俺は何の剣でも斬れんだしさ!」



 そう、カカオは元の世界でのフルダイブ型VRゲームでは、とんでもない強さで幻想種以外なら海外勢すら圧倒する程のランカーであり海外勢からは【斬虐非道】の二つ名で恐れられた怪物であった。

 例えハンデとして刃毀れの酷い刀、半分で折れた西洋剣であっても相手が十数秒間生きていた事例がない程の剣豪であった。


 そんなカカオはスキル【夜空彗羅ステラ】という固有スキルを持っており地表のみならず空気中すらも地面として蹴り飛ばす事で全方位から斬り込む事が出来た。

 

 そして今、異世界では更に有能な【夜空彗羅ステラ】がある。

 それ故に、約15秒でレオンハルトが自らの覚悟を喋っている最中に縦一刀にて切り捨てたのである。

 




 カカオはレオンハルトが能力を使う前に斬り殺しました。

 そもそも相手を待つ理由がないですからね。

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