第57話 魔王達の世間話?
「だぁかぁらぁ〜。
ワタシ言ってるよねぇ?
アリシアは頑張り過ぎてるの!不眠不休で領との治安維持とか頭大丈夫?
君の部下の子達から相談されたんだからね!もうしばらくここにいなさい!」
薄暗い空間にて金髪に赤が混じる様な髪色の女性の声が響いた。"お説教"である。
「それで?ラリアナ?この俺の領土でやる理由が分からんのだが?何故この王たる俺の元で?」
黄金の鎧に身を包んだ目つきの悪い長身の男がそう高圧的に問いかけている。
「サタンさぁ〜ワタシの能力だとアリシアと戦闘成り立たないので〜やむなくここにしたって訳よ。」
「お前マジで殴りたいんだが?」
「ひどくな〜い?」
やれやれといった感じの煽り口調でそう答える金赤髪の女性。
男の方は青筋が切れそうである。
ヤバいと察知したのかコレ以上の煽りを停止する女性。
「漫才してないでさっさと帰してくんない?」
今まで黙っていた黒髪ショートの額に山羊の角の様なものが一本生えた少女がそう言いつつ地面を蹴飛ばし秒速10km程度まで加速すると
「させるか!無限周階部屋!!」
空間そのものが変化し少女はもといた位置に戻って来ていた。空間…世界系の能力なのだろう。
「…俺いるか?お前の能力で耐久すればいいだろ?」
「だぁかぁラ〜♪ワタシの能力だと〜。接近されたら〜為す術が〜、ない!」
「あそう」
九滅魔王のうちの三柱がこの地に存在しているのである。
基本的に彼ら魔王は、それぞれが世界樹の護衛を行っているので本来なら緊急事態、それこそ"異世界"から侵入して来た者がいたり魔王が死んだり交代しない限りは集まる事がないのである。
そもそもラリアナとアリシア自体がかなり仲が良い為、頻繁に会っているようだがそれでも今回の場合は拘束である。
アリシアの住む"竜魔大陸"は超広範囲の領土であり巨人族の生息する"巨岩大陸"とほぼ遜色ない程度の面積なのだ。
その半分程度がアリシアの領土でありそれを単独でしかも不眠不休で治安維持を行っているとくれば部下から強制的に休みを与えられる罠を送り込まれるというものである。
「そもそも、精神攻撃無効があるのだから。
精神面で疲労は感じないだろうし再生能力的にも肉体的疲労はないのだろう?
ならそいつのしたい様にやらせれば良いだろう。
死んだら死んだで別の奴が魔王として君臨するんだから。」
「たしかにそうだけどサタンの場合なんというか〜、心がないよね。もう少し同僚に手心を加えようという情はないの?」
「あったら"最古最悪王"などという称号はついておらんが?」
「それもそうねー。」
ラリアナはサタンとの会話を諦めたのか速攻で視線を逸らしてアリシアを椅子に座らせる。
アリシアも諦めたのか大人しく椅子に座った。
「おい、それは俺の所有物なんだが?」
なんか口煩いのが騒いでいるがソレは無視される。
そんな時、一人の悪魔族がラリアナとアリシアのすぐ横に現れた。
「ラリアナ様、アリシア様つまらないものですがどうぞ。」
「お♪気が利くねぇ。ありがとね〜パイモンちゃん!」
「ありがと」
「いえいえ。お気になさらず」
悪魔が持って来たのはお茶と菓子でありとても高級感溢れる品であった。
種族 悪魔族 種族階級 悪魔女皇 爵位 王
存在値1億以上
見た目 薄青の髪と青みがかった肌のメイド姿の女性。
「うん、美味しいね。流石パイモンちゃんだわ!」
「お口に合ったようで何よりです。」
見た目だけでなく味も良いらしく気がたっていたアリシアも無言で食べていた。
「人の領土に居座るな。あとパイモン茶菓子を出すな。」
「我が君も食されますか?」
「あとで食う。凍らせておけ。」
「承知しました。」
パイモンは命令を受け即座に"氷膜"と呼ばれる完全凍結魔法にて茶菓子を凍結させる。
"氷膜"とは文字通り氷の膜の半球体状の様な外見であり半球体の膜内の茶菓子は腐る事なく6ヶ月は保存出来るのである。
その後もアリシアとラリアナは雑談を続けていたのだが…
………………………………
「ところでなんだが…俺の家臣が"竜魔大陸"の魔蟲族用の結界が破られているのを確認したんだが大丈夫か?」
サタンが不意にそんな事を言うと
「え?そうなの!!」
「あぁ、それ?ワタシのとこの土の精霊達からの報告でコッチも確認済みだよ。」
どうやらアリシアは知らなかったらしいがラリアナがかなり前から拘束していた為知る術がなかったのだ更に本人が部下を使う事を嫌っているというのもあるのだが…。
ラリアナに関しては、精霊達からの報告で大体の世界の事を把握可能なので当然把握済みなのだろう。
「あ?知らなかったのか?自分の領土の事ぐらい確認しておけよ?」
「ラリアナやっぱり私帰るわ!」
「まぁまぁまぁ、
落ち着きなさいなアリシア。
一応確認してたけど魔蟲族の四系統は人竜族の里で永住権を得て
更にアリシアの幹部三人のうちの二人とも対話して対立は避けたようだよ?
かなり被害は少ないしなんなら新たにアリシアの配下に加わってくれるかもね。」
「ほぅ?魔蟲族は元より四系統であろう?わざわざ四系統という必要などないだろうに。」
「世代交代したからね〜。
トンボ型が甲虫型に殺されてたし〜?
なんなら割と最近に新系統の子が誕生したって世界基盤内報告で流れていたでしょ?
なんか新系統の子かなぁり強くてねぇ。
なんと私の部下の子の解析によれば!!
特有能力の大罪系を保有しているんだよ!
しかも希有能力にはLvMAXで大罪系能力があるし保有資格を満たせば大罪系能力二つ持ちの魔物が爆誕するね。
アリシアに続けて二人目だよ〜二つ持ち〜。」
「そんなに凄い事なの?大罪系能力を二つ持っている事って?」
「は?」
「え?」
アリシアの不意な問いにラリアナとサタンは声が裏返ってしまった。
「当然だろ?
俺の様に生まれながらにして大罪の称号を持つ者と能力として大罪を行使可能な者とでは天地の差はあるが。
本来、能力として保有可能な大罪は一つのみだ。
希有能力の状態ですら並みの特有能力すら凌駕しかねない代物だからな。
そんな存在が同時に2人現れるのは異常だ。」
生まれながらに罪を持つ者はその"力"を行使する事が可能とされており
「ち・な・み・に〜。サタンは憤怒と傲慢の称号を生まれながらに所有しているよ!」
「うるさい。黙れ!」
空手チョップがラリアナの頭にクリーンヒットすると悶絶しだすラリアナ。
"耐性貫通"の能力を所有していなければ"無効"クラスの耐性持ちにはダメージが入らないものの持ってさえいればダメージが入るのである。
逆を言えば"耐性貫通"を保有していなければ勝負にすらならないのである。
「ウァアアアアアアア!!!!!痛ったいなぁ!!」
しかし即座に再生しきったようである。
「か弱い美女になんて事をするのさ!」
「何がか弱い美女だ。
能力以前に素手で惑星すら破壊する馬鹿力が何を言う?」
「それでも〜?
ワタシの腕力は九滅魔王の中では下から三番目なんですが〜?
魔王の中ではか弱いんですが〜?
それなのに、腕力一位争いの怪物に殴られたら痛いに決まってるくない?
ねぇ〜アリシア?」
「私も腕力だと三位だしなぁ。頑張らないと…。」
「お〜い?ここには馬鹿力しかいないのかなぁ?」
アリシアとサタンを交互に見つめるラリアナ
「まぁ良いではないか!
お前の本領は能力の運用だろう?
総合闘力なら三位に入るのだ問題なかろう。」
呆れた様な目でラリアナを見つめるサタンだったが不意に魔法連絡を受けたようで席を外した。
あんなのでも一応は悪魔族の最強最古格なのであり個性の塊しかいない魔王九人をまとめる副リーダーもしているのだ。
何気に他の"大罪の称号持ち"にも手伝う様に要請していたのだが…即答で断られてしまったらしい。
当然力で支配しようと戦闘したようだが、決着付かずであり今も交渉している様である。
ラリアナは、面倒くさい事してんなぁ馬鹿じゃねぇの?と思っているが現役の魔王達と互角に張り合える怪物が5体野放し状態であるのは色々問題があるのだろうがそんな事は知ったことではないと言うのがラリアナの本音である。
ちなみにアリシアはというと心配らしくワタシが精霊の目を通して把握している事を聞き出そうにしていたので空間映像で観せる事にした。
なんかアレばワタシも行ってあげるんだから心配しなくてもいいのにねぇ。
やはりこう言う心配性な所は子供である。
しかし
「しっかしホントに強そうだね。魔蟲族の四系統の子達…。
毒はかなり活発に活動していたけど他のも活動開始かぁ〜。
新系統の子に関しては流石は大罪能力持ちだね〜。
もう上限かぁ〜。」
世界基盤内で魔王・勇者階級の一億つまり最上位に到達するのには条件が存在する。
一つが、新種族であること
もう一つが、種族の頂点が魔王・勇者階級以上の存在であること
一つ目の理由としては、全ての生物にはその種族の起源つまり支配者階級が存在している。
支配者階級よりも強い個体は生まれる事が出来ないのだ。というか生まれた試しがない。
もう一つの理由は、支配者階級が強ければ引っ張られより配下や眷属が強靭となる点だ。
前列としては狼族と巨人族だろう。
支配者階級の個体よりは弱いが最上位クラスがゴロゴロと存在しているのだ。
まぁそれはそれとして…。
「何帰ろうとしているのかなぁ〜?アリシア?」
「いや〜。私の部下が危険だし?せめて私の目で友好関係を築くにたる存在か見極めたいの!」
…反論の余地なくね?
いや〜、確かに今の映像を見た感じ?部下の子達がとりあえずで不可侵って事にしていたし?
なんなら同盟を組もうとしていたけどさぁ、本来なら魔王の許可が確かに必要だからね。
危険な相手なら排除して、友好的な相手なら取り込む、コレが常識ってものだしねぇ〜。
けど問題が一つ…。本音で言う仕方ないけど…やむなしか。
ワタシはアリシアの両肩を掴み真っすぐ見つめる。
「ワタシけっこう暇なんだよぉぉぉおおおお!!!
もう暇で!暇で!死んじゃうのぉ!!!
帰らないでよぉおお!!!!」
その様に情けない願望剥き出しの叫びを上げながらアリシアを抱き寄せる。
お互い胸が小さいのでゴッと骨が当たった地味に痛い。主に精神面で…。
そう暇なのだ。ワタシはとぉっても暇である。
確かに日々の世界樹の防衛やら?
息抜きで世界中の精霊達からの情報共有で退屈をしないでいるがそれでもワタシ自身は情報を共有されているだけ…。
ワタシ自身が動く事が少ないのだ。
そしてワタシの暇つぶしの相手など、ワタシの幹部である五大精霊達とアリシア含めた三人の魔王のみ…。
そう関わりが!他者との関わりが!!少ない!!
ワタシはもっとお喋りしたり〜甘やかしたり〜甘やかされたりしたいのだ!
断じて!退屈で一人じゃんけんする日々が送りたい訳ではない!!
アリシアは憐れみの目でワタシを見下ろしてくる。
ワタシがけっこう体重かけているせいでワタシの目線が低くなっているのだ。
「それじゃあ。あと2日だけね?あと2日で帰してよ?」
「分かったぁ〜。」
「てかそんなに暇ならワタシの領土で暮らす?
ラリアナの能力なら空間イジれば行き来できるでしょ?」
………何故ワタシはそんな簡単な事をしなかったのだろうか?
いや、確かに仲は良いけどさぁ。一応節度を持って接している訳よ?そんな気軽に一緒に住もうとかいえなくない?
まぁ本人が良いと言ってる訳だし?コレは住まねば無作法というもの。
「よろしくお願いします!!とりあえず1週間後ぐらいに正式にそっちの領土とワタシの領土の空間繋げる!」
「はいは〜い。」
こうして主人公のいる大陸に魔王が二人程襲来することとなった事を主人公はまだ、知らない。
………………………………………………………………
登場した魔王達の大まかな概要
称号 最悪王 憤怒之大罪者 傲慢之大罪者
名前 サタン 存在値 1億以上
種族 悪魔族 種族階級 不明 爵位 皇帝
見た目 黄金の鎧に身を包んだ目つきの悪い長身の金髪男、赤い瞳。
称号 調停の大妖精 空間女帝
名前 ラリアナ・メルシャン 存在値1億以上
種族 精霊・妖精族 種族階級 不明 特殊階級 不明
見た目 金髪の長髪に赤髪が混じった様な髪色。スタイルは良さげな女性。赤金の瞳
称号 暴怒滅尽 若き魔王
名前 アリシア 存在値1億以上
種族 悪龍人 種族階級 無し 特殊階級 不明
見た目 黒髪ショート、額に山羊の角の様な角が一本生えた少女。目は金に縦の瞳孔。




