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エルフの少女グラティア〜永遠の命を持つエルフに人族が恋をしたら、こうなってしまう〜  作者: くろくまくん


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9/10

吟遊詩人ムジカに歌を贈ってもらった

丘の上の草原で、アルドはグラティアに指輪を贈られる。


仲良くしている2人のところへ、ある者が声をかけてきた。

「あっ、こんなとこにラブラブのカップルみっけ〜!久しぶりだね〜!」


 能天気な声がしたと思ったら、やはりムジカだった。最近というか、ここ数年この歌うような声は聞いていなかったが、やはり苦手だ。


「おぉ、ムジカではないか。相変わらず寂しそうにしているな。今日はどうした?」


「相変わらずつれないなぁ〜グラティアは。せっかくはるばるインスラー皇国から船に乗って帰ってきたのにさ〜。よっ、アルド!見ない間にすっかり大人になったじゃ〜ないか」


 ムジカは私の横にいるアルドに声をかけた。


「お久しぶりです、ムジカさん。すごく背が伸びたでしょ?もうグラちゃん追い越して、ムジカさんくらいになってるんじゃないですか?」


「うんうん、たぶん僕と一緒くらいだよ。グラティアは小さいからね〜。どう?あれからはみんな元気にしてるかい?」


 アルドは少し目を伏せた。私はすかさずムジカに、アルドの父親のことを耳打ちで告げる。


「あっ、そうだったんだね…それはごめんね。悲しかっただろうに…」


「父が亡くなってしまったのは悲しいですけど、こうやってグラちゃんが一緒にいてくれるので、僕は大丈夫です。ムジカさん気遣ってくれてありがとうございます」


「うん。アルドはホントに素直でいい子だね〜。あっ、そうだ。前に言った約束、覚えてるかな?ここまでくる旅路の途中でちゃんと作ってきたよ」


 ムジカはアルドに言っているが…約束??てなんだ。


「え、ムジカさん、約束ってなんでしたっけ?」


「あはは。まぁ8年も前のことだから、人族のアルドはなかなか覚えてられないよね。僕はこう見えて、約束はきちんと守るタイプなんだよ〜」


「ムジカ、私はエルフだが、お前のした約束なぞまったく覚えておらんぞ」


「まぁ、グラティアは仕方ないよね。アルド、君が大きくなっても、グラティアと一緒にいたら、君に歌をプレゼントしよう、って言ってたんだよ」


「「あっ!!」」


 私とアルドは2人同時に声をあげた。ムジカは肩にかけていたギターを草原に下ろし、ケースの蓋を開けた。ムジカが取り出したギターは、ひょうたんのような形をしていて、本体の真ん中がくびれており、元々私はギターのことは詳しくないが、弦がたくさん張り巡らされていた。ギターの本体には、金属でできた装飾がされており、小さな宝石でも埋め込まれているのか、動かす度にキラキラと光っている。


「いいでしょ〜、これ。ギターラ・ラティーナっていう弦楽器だよ。まぁまぁ高かったけどね、金貨100枚くらいだったかな、忘れたけど」


 ムジカは物にはこだわるタイプらしい。私にしたらまったく価値はわからんが、確かに見るからに高そうではある。


「その楽器自慢はいいから、早く歌を聴かせろ」


「まぁまぁグラちゃん。ムジカさん、僕も歌、楽しみです」


「ちょっと待ってね。少しギターの音だけ合わせるからね。あ、せっかくだから座ってくつろぎながら聴くかい?」


 ムジカが指を鳴らすと、足元の草原から草木がスルスルと生えてきて、腰をかけれる草木で造られた椅子になった。


「わっ、ムジカさん凄い!これも魔法ですか」


 ムジカも同じく草木の椅子に腰をかけ、ギターのチューニングをする。


「この曲はね〜、私の愛しい君へ、という意味の歌だよ。タイトルは『Meaメア Caraカーラ』というよ」


 アルドが少し顔を赤くした。


 ムジカはギターでアルペジオを奏でながら目を閉じる。そして、アルペジオにのせてムジカが歌う。


 Quā cum tu calces, gaudentibus ipsa viā

 spontē surgunt flōres.


 Tē rutilā lampade sol,

 et aura levi modulāta,


 tanta formā victa,

 cursus suōs paulisper sistunt.


 O sī, aeternō tempore vītam trahēns,

 unō tantum cāsū lūcem oculōrum tuōrum 

 contingere possim,   


 illa fortūna ūniversam mihi vītam

 plēnissimam faciat.


 O sī rīsus tuus,

 dum stant sphaerae et mundus ipse manet,   

 perdurēt.


 君がそこを歩くだけで

 その道は喜び花を咲かせる


 君を照らす太陽も

 そよぐ風でさえも


 君の美しさに

 その働きを休めてしまう



 ああどうか悠久ゆうきゅうの時を生きる君の

 一瞬でも君の瞳に触れることがあるならば


 それだけで私の一生は

 満ち足りたものとなるだろう


 ああどうか君の微笑みが

 世界の終わる時まで続きますように




 ムジカの演奏が終わった。普段の話し声は苦手であったが、歌と演奏はなかなかのものだった。


「ムジカさん…めちゃくちゃいい…めちゃくちゃいい歌です…」


 アルドが感動したのか、目が潤んでいる。


「そりゃそうでしょ〜。だってアルドが、グラティアに想いをせるのを想像しながら、作ったんだから。よくできてるでしょ?」


「まぁ…なかなかだな。アルドが喜んでるからよかったと思う」


「ねっ。あ、そういえばアルドも大人になったんなら、ギルドに登録できるようになったんじゃない?もう登録したの?」


 アルドはそれを聞いてうなずく。


「はいっ、ちょうど16歳になった時に、登録はもうしたんです。ただ…まだ仲間は見つけられてないので、依頼を受けるまではしてません」


「あ、そうなんだね。まぁ急ぐことはないけど、僕は次の旅立ちまで一ヶ月くらいはマグヌスに滞在するけど、その間一緒に冒険に付き合ってあげれるよ?」


「出しゃばるなムジカ。私がいるからお前に助力を頼む必要はない。どうせヒマだから暇つぶししたいだけなんだろう」


 苦笑いするムジカ。


「あはは、そんなことないって〜。まぁとりあえず街に戻ろうよ。僕、お腹空いちゃった」


 アルドは冒険者として、活躍することができるのだろうか。

ムジカが再びマグヌスへやってきた。


アルドにしきりに冒険を勧めるがムジカの真意は…?


◯今回ムジカが歌っていた「Mea Cara」はラテン語表記のため、和訳は載せていますが、ラテン語の読み方がわからない、と思われるかもしれません。僕の作品の中の「くろくまくんは詩人になりたい」の中にある、同じタイトルの「Mea Cara」には、ラテン語のカタカナ表記も載せていますので、よかったらご覧ください。この作中ではイメージの都合上カタカナ表記はしていません。ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
何語なのー。Σ(-∀-;)!? 英語!? はい、ラテン語でした。 ゜+(人・∀・*)+。♪ ぱやぱやー♪ アルド、冒険に出るのかな?
ムジカ登場しましたね。飄々として好きなキャラです。 アルドとグラちゃんの邪魔をするかと思いきや『MeaCara』を聴かせてくれるとは! それもアルドの想いを綴った歌なんですね。 アルドがうるうるするわ…
き、金貨100枚のギターだとぉ!アコギ?けど魔法がある世界だとアンプもエフェクターもいらないか?
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