港町なのに新鮮な魚介類がないだと??
港町ポルトゥスに辿り着き、一休みしてから、海鮮料理を食べれるお店の情報を聞きだした一行。
二択だったが「旅人向けの上品なお店」にとりあえず入ってみることにしたが……?
◯登場人物
グラティア(慈愛):エルフ族の女性、256歳。ルミノース国生まれ、ルミノース育ち。精霊魔法を使える。街中で出会った人族のアルドに興味を示し、行動を共にする。
アルド(情熱):人族の男性、16歳。二人暮らしだった父フィデリスは不慮の事故で亡くなる。グラティアに好意を寄せるが……。
ムジカ(音楽):エルフ族の男性、320歳。吟遊詩人。
色々な国や、世界を巡りながら、詩を綴る。グラティアとアルドの二人のことを気に入っている。女たらしだがグラティアのことは口説こうとしない。
ルシーダ・ラジール:人族、18歳。ラグルス・ラジールの娘。母親は亡くなっており、ラグルスの考えでムジカやグラティアとの繋がりを作る意図もあってグラティア達3人に依頼を頼んだ。ルシーダ(明るい)
「いらっしゃいませ。誠に申し訳ないのですが、只今当店自慢の海鮮メニューは新鮮なものではなく、過去にとれた冷凍ものになりますが、よろしいでしょうか?」
な、なんだと……??
「冷凍ものしかないって……最近は獲れてないってこと??」
「そうなのです。あ、魚介類以外のものは通常通りございますが、いかが致しましょう?」
ムジカの問いに店員が答える。というか自慢の料理が切らしているなら、店の入り口に書いておいてほしいものだ。
「まぁとにかくお腹空いてるし、食べましょう」
ルシーダが言い、店員が案内してくれた席につく。
テーブルに置いてあるメニューを見ると、美味そうな料理がイラスト入りで丁寧に描かれていた。マグヌスのラ・メーラの店では文字だけのメニューだったな。
「グラちゃん、どんな料理か絵があるほうがわかりやすいよね〜。魚は冷凍ものって言うし、僕はお肉料理にしようかな」
確かに魚料理に拘らないなら、充分に色々な料理を扱っているのがメニューを見てもわかった。
アルドの言うお肉料理も、ステーキやローストビーフ、煮込みに薄切りにした肉を茹でたヘルシーなものまで多彩だ。
ルシーダが言っていたような、他国からの食材を使った料理というのもある。
「私はお店のオススメのランチセットにしますわ」
「お、ルシーダは意外とそういうところはあまり悩まないのだな? あれもこれもと頼みそうなイメージだったが」
「グラティア、私そんなに欲張りではないですわよ。それにこういうお店のオススメと書かれている料理は、旬の食材を使ったもの、生産者にも店舗にも利があるようなものなので、そういう理由もあります」
そうなのか。管理者目線というやつなのかわからないが、めんどくさいからコレというのではないのだな。
「では、私もそのオススメにしよう」
私とルシーダは横並びに座っており、その向かいにムジカとアルドが座っている。いつもの親子並びのようだ。
「ねぇねぇアルド。僕は冷凍ものでもやっぱ魚食べたいからそれを頼むけど、お肉の料理と半分こしようよ〜」
「ムジカさんいいですね、それ。確か冷凍技術も優れていれば、獲れたての状態に近い保存ができるとも聞きますし。僕はこの肉団子のスープセットにします」
やはり二人で注文を楽しんでいるな。
「ムジカ、さっさと決めてくれないか。こちらはもうすでに決めているぞ」
「まぁまぁグラティア。食後のドリンクとかもあるので先に見ておきましょう」
「そうだよ〜、あまりせっかちなのは大人じゃないよ〜」
ムジカに言われるとなんだか腹が立つな。
「うん、じゃあこのシーフードグラタンと、魚のカルパッチョにしよう。すみませ〜ん!」
店員を呼び、注文をした。
「そういえば、海鮮がないって言うのは、最近海で魚が獲れてないっていうことなのかな?」
アルドが言う。
「それだけど、やはり魔物なんじゃないかな? 数年前と気候自体もそんなに変わっていないはずだし、さっき歩いた街並みを見ても、住んでいる民が少なくなって、漁をする者が減ったというわけでもなさそうだし」
ムジカがそれに答えた。確かに、街の中はそこまで凄く賑わっているとは言えないが、普通に往来はあった。
ちなみにこの港町ポルトゥスは、他種族国家ルミノースの中でも、とりわけ様々な種族が混在しているイメージだ。人族、エルフ族、魔族、獣人族はもちろんだが、船でやってくる異国の民族が、定着してそのまま住んでいるパターンもあるからかもしれない。
「では、腹ごしらえを済ませた後、港の方に言ってみましょうか」
ルシーダがこの後の行動を一言でまとめた。
話している間に、注文した料理が運ばれてきた。
ムジカの頼んだ白身魚のカルパッチョとシーフードグラタン、アルドの肉団子のスープと野菜サラダのセット。
そして、私とルシーダの頼んだ店舗オススメのランチセットは、白身魚のフライに自家製ソーセージとグリルチキン、さらに野菜サラダとスープとライスも付いていた。
私は無言でルシーダに、これにして良かったぞと目で訴えた。
ルシーダは、それに対してにっこりと笑顔で応えた。
海鮮が冷凍ものしかないと聞き、トーンダウンしていたが、意外とちゃんとした料理が食べれそうな感じ。
食後には、最近魚が獲れなくなった理由を探りに、港へ行くことに決める。
◯ルシーダプチ情報
ラジール家の令嬢であるルシーダは、跡取りではないにしても父ラグルスからはめちゃくちゃ可愛がられている。今回も絶対に危険がないようにということでグラティアとムジカに護衛を頼んだが、とても心配はしているようである。




