CASE 03 伊折飛々樹 epilogue
コージの予言は的確だった。
ボクが駒を選定し、コージとガシンの作戦に沿っていくらか調整したところで、凶人から戦の申し込みがあった。
凶人の主、紅蓮からだった。
ボクらは万全の状態で戦に挑んだ。
遥か、戦場の向こうにずらりと並んだ凶人の軍を目の当たりにして、ボクは全身が震えた。
武者震いだった。
「飛々樹、今日だけは俺の指示に従え。いいな」
鋼皇の瞿曇が言う。
「いいぜ」
鋼皇の斉天大聖は答える。
何しろボクは駒だから、主の言葉に絶対服従。
「でも――」
何しろボクはコージの親友だから、
「負けそうになった時は、ボクはお前の配下じゃなくなるからな」
コージの言葉には従わない。
それを聞いたコージは唇の端をあげた。その感情は、俺が負けるわけないだろう、もしくは、相変わらず扱いづらい駒だ、それとも――
「いい加減にしろ、飛々樹。今回は、お前が抜けた穴を埋めるのに駒を割いている余裕はないのだからな」
ガシンの言葉は無視。
だって、ボクが此処にいるのは、ボクが望んだからだ。
ボクはなにも求めない。人を殺したいわけでも、戦に勝ちたいわけでも、強くなりたいわけでもない。
それでも此処に留まっているのは、コージが此処にいるから。
ただそれだけ。
――鬨の声が、あがる。
ここで伊折飛々樹編終了です。
3人の主人公が戦場で出会い、どのような結末を導くのか。
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