第22話 サバト in the 農業者ギルド
「「「かんぱーい!」」」
エンチョの奮闘を見届けた俺たちはクロノスのお帰りなさいパーティーを開催していた。
テーブルの上には沢山のかぼちゃ料理がずらりと並んでいる。
かぼちゃパイ、かぼちゃグラタン、かぼちゃスープ……そしてデザートにはかぼちゃプリンまで控えている。
うむ。壮観だ。
これらはいずれも俺の力作である。
「ほわ~郷愁を感じる味だね~」
「同意でやんす~」
「ブヒ~」
「それはどういう感想なんだ?」
まぁ皆、故郷はこの辺だしな。
クロノスに至ってはピンポイントでこの土地の生まれである。
まあそんなことはさておき俺も食べよう。
こんなにかぼちゃを贅沢に食べる機会はそうそうやってこない。
かぼちゃパイを頬張るとかぼちゃのもつほっこりとした甘みに心が癒されてゆくのを感じた。
「あ~確かに郷愁を感じるわ~」
◇
かぼちゃが何処から出てきたかというと、旅から戻ったクロノスがお土産として運んできたのだ。
家に横付けされた小さいリアカーには溢れんばかりのかぼちゃが積まれていた。
なんでも土地を癒したお礼に地元住民が持たせてくれたそうだ。
そして話を聞いていくとクロノスの行っていた場所がベジタブルワンダー帝国であったことが判明したのだ。
「そういえば皆、ジャガイモタウンに行くんだったね」
「お嬢も行くでやんすよ」
「えっぼくはいいかな……」
「何ででやんすか~!? 行くでやんすよ~」
地獄丸がクロノスの腕を掴んで揺すっている。
クロノスがぐわんぐわん揺れていて酔いそうだ。
「何か事情があるのか?」
「うーん。ちょっとぼくが出向くと面倒なことになるんだよね」
あっ察したぞ……
こいつ何かやらかしたんだ……
「アムルくん、今失礼なことを考えなかったかい?」
「めっそうもない」
神通力か?
「断じて君が想像しているような理由じゃないからね! ちょうど良い。明日、農業者ギルドに行くんだろ? ぼくも付いていくよ。それでぼくが行きたくない理由がハッキリ分かるはずさ!
「?」
◇
「ようこそお出で下さいましたクロノスさまぁ~」
農業者ギルドを訪れた俺たちの前には衝撃的な光景が展開されていた。
「ここは本当に農業者ギルドなのか!?」
「ぼくが来るとこうなるんだ……」
表に出て確認してみる。
本当だ……ここで間違いない……
俺たちを出迎えたのは、ずらりと並んだ黒装束に黒いフードで顔を隠したイカれた奴らだった。
ギルド内は暗幕により日光が遮られ、等間隔に並んだランタンが実内をぼんやりと照らしていた。
「ああクロノスさまの神聖な御力が室内に溢れてきますぞ~」
黒装束の一番奥にいるやつの言葉だ。
あれがボスかな?
「やばいな。帰ろうか?」
「同意するでやんす」
「ブヒ」
これどう見ても悪魔召喚の儀式とかやってる感じだろ。
「年に一度しか来て下さらないクロノスさまが半年も空けずにここへ~。ふぬ~ん。じゃがいも、貢ぎ物を!」
「承知致しました」
あれ、この声エレナさん!?
エレナさんと思しき人物はバスケットいっぱいの野菜をクロノスに差し出した。
「旬の野菜詰め合わせセットでございます」
……あっ、いいな……
「ごめんね、かぼちゃは昨日いっぱい食べたから暫くはいいかな」
その瞬間、室内が騒めいた。
俺もちょっとだけ傷付いた。
「しっ、失礼しました。この非礼、私の命をもって償わせてもらいます!」
「いや冗談! ぼくはかぼちゃが大好きなんだよね!」
室内が安堵のため息に包まれた。
「ありがとう。今日はアムルくんの用事で来たんだ。じゃがいもの試練に関するものらしいんだけど、担当者は君かい?」
その瞬間、再度室内が騒めいた。
一喜一憂過ぎるだろ。
「はっ!! そうでございます!! ニンジン、椅子とテーブルをお持ちしろ!!」
「御意!」
よくよく見ると、みんな農作物を象ったペンダントをぶら下げていた。
テーブルと椅子をセッティングしている人はニンジン。
エレナさんはじゃがいものペンダントである。
「あれ? 座ってくれても大丈夫だよ」
「いえ、私めには勿体なく存じます」
その瞬間、また室内が騒めく。
「じゃがいも、貴様はクロノスさまのお言葉に逆らうというのか!?」
「あ……失礼致しました!! この非礼は死ん「もちろん冗談だよ! あーぼくは椅子が嫌いなんだよね! 忘れてたよ! 椅子はいいっす! なんちゃってね!」
…………。
「アハハ」「アハハ」「クロノスさまはお上手でらっしゃる!」「アハハ」「アハハ」
◇
帰り道。
「神様も大変なんだな……」
「……うん」
「なんかごめんな……」
クロノスは心に傷を負ってしまったらしい。




