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くたびれた中年男、首木の覚え書き  作者: 翠蓮


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3. 古民家

古い民家を整えて一般公開してるとこあるじゃないですか。市とか県とかの文化財に指定されてて。

そういうのを友達と見に行ったんですよね。


その時私と友達は20代で、仕事の都合上平日に休み取ることが多くて。

平日に出かけると、だいたいどこも空いてて楽なんですよね。


その民家を見に行った時も平日で、場所も地方の古い町だから人もあまりいなくて。

私たち以外の観光客もまばらで、ゆっくりじっくり見てたんです。

説明書きも一つ一つちゃんと見て。

蔵は展示室みたいになってて、何を展示したのかは忘れましたけど、美術館や博物館も好きなので、そこもしっかり見てたはずなんですよね。


その古民家には係の人も何人かいて、結構気さくに声かけて来てたんですよ。

この邸宅を誇りに思ってるんだなーて思ったのは覚えてます。

で、多分1時間以上はたってて、そろそろ帰ろうか、と友達と話して門の方に向かったんです。

そうしたらその職員さんから「もうお帰りですか?」て声かけられたんです。

私たちは曖昧に笑って通り過ぎたけど、「結構長くいたよねぇ?」なんて話しながら、駐車場に向いました。

駐車場の方からやはり職員らしきおじさんが来て、私たちを見て、

「もう帰るんですか?さっき来たとこですよね」

て。

私たちはまた軽く会釈して通り過ぎたんですけど、お互い顔を見合わせました。

「誰かと間違えたのかな?」

首を傾げながら、まぁ、そういうことだろうなってその話は終わったんですけど。


でもね、平日の昼間に、若い女の子二人連れで、周辺は他に見るものもない田舎の邸宅で。

職員さんは明らかに私たちだと認識してたんですよね。

そんなに似た二人組が他にいたのかなぁ?て、なんとなく腑に落ちないんですよね。

ええ、人違いで説明はつくんですけど。

でも、やっぱり納得いかないんですよ。





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