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創造神と愉快な仲間たち  作者: 川森 朱琳
第三章 新たな創造神
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第三話 二人目の創造神③


イアレスとブルートが白金色の光に包まれ姿が消えた時、二人はこれまで感じた事の無い、ふわふわと柔らかいものに包まれる感覚がした。


それはとても心地好く、何時までも包まれていたいと思う程で、目を閉じて真っ暗な筈なのに一人だった時の様な「孤独」を感じなかった。

真っ暗…と言うより、真っ黒に極々淡い白が混ざる…

そう。それはまるで、ぐっと強く閉じていた目を開く寸前に見える色に似ている。


心地好い感覚が突然消え、体が落下する感覚に変わると同時にドサッと尻もちを着く。


『『…ったぁ!!』』


『……大丈夫かブルート…』


『あぁ…お前も無事か、イアレス?』


『…あぁ、大丈夫だ。』


『……此処は…』


『……見た事ない場所だな。』


『何がどうなったんだ?』


『…分からん。』


『……一先ず、見て回るか?』


『そうだな。ブルート、何があるか分からんから警戒しろよ。』


『あぁ。お前もな、イアレス。』


そこはマグマの池とでも言えよう光景で、目の前には赤にオレンジ色を混ぜた、見るからに熱そうなマグマが、コポ、コポと音を立て沸いている。


それ以外は、マグマから発せられる熱気と辺りを囲う土壁のみ。普通ならその熱気で燃えてしまってもおかしくない程の暑さだが、創造神のイアレスは当然、その分身とも言えるブルートにも、熱気の影響は無い。

ただ、暑いと感じる程度だ。



『此処は暑いから外に出よう。』


『そうだな…一先ず出れるとこがないか探すか。』


二人は汗を拭いながら、マグマの池を一周した。が、何処にも道らしきものや穴すらも見当たらない。


イアレスはふぅと息を吐き、上を見る。


『……あそこしかなさそうだな…。』


ブルートもその視線の先を見て呟く。


『……マジか…』


二人の視線の先に小さな光が見える。

その光が小さく見える程、二人のいる位置は深い場所だった。

登るにしても高過ぎるし、落下した時の事を考えるとかなり危険だ。イアレスは何とかなるにしても、神では無いブルートは無傷ではいられないし、場合によっては消滅の危機に陥る。



『……やるか…』


『何を?』


『ブルート、こっちに来い。』


『……何だよ。』


イアレスはブルートの頭に手を置き、目を閉じる。

すると、ブルートの体を黒い光の粒子が覆う。程なくしてその光の粒子は消え、イアレスは目を開ける。


『……何したんだ?』


『お前の体全体に保護膜を張った。これで万が一落ちても何とかなるだろう。』


『……ほぉ?それは有難いが、要するに登るって事だよな?』


『そうだ。それしかないだろ?』


そう言って、今度はイアレス自身に黒い光の粒子が覆う。それは消える事無く覆われたままで、イアレスの体がキラキラしている。


徐ろにイアレスはしゃがみこみ、背中に乗れと言った。


『……は?登るんじゃないのかよ!』


『お前を背負って俺が登る。』


『……バカかお前?何言ってんだよ!』


『俺は創造神だ。どうとでもなる。今、体全体を肉体強化したから、お前を背負っても支障はない。

だが、お前は違う。だから、つべこべ言わずに背中に乗れ。』


『……何言って……クソっ!!』


イアレスの言う事は最もで、自分が一人で登っても何処までやれるか分からない為、足でまといになる可能性の方が高い。

反論出来ない事、自分の力の無さ、守りたいのに守られる悔しさ…納得等したくはないが、せざるを得ない状況に言葉が出ない。


『いいから、早くしろ。』


『……分かったよ。』


ブルートは歯を食いしばり、イアレスの肩に手を置き背に乗る。


『行くぞ!』


それからイアレスは、額から汗を流しながら着々と登っていく。途中、汗が目に入り視界がボヤけ頭を振った事でバランスを崩し、危うく滑り落ちる事もあったが、最後まで登りきった。


ブルートはイアレスの背中から汗を拭ってやる事しか出来ず、自身の不甲斐なさに涙を流す。


イアレスはそれに気付いていたが、何も言わず黙々と登り続けたのだ。


この時、二人は気付いていなかったが、二人から金色の光の粒子がキラキラと溢れ出ていた。

二人の絆が深まった証である。



漸く登りきったそこは、青い空と白い雲、遠くにキラキラ輝く海、眼下には小さな白い花が黒い岩肌を敷き詰める様に広がり、その花の上を色とりどりの蝶が舞う……見た事のない「絶景」が広がっていた。



『『………………』』


二人はその絶景に言葉が出ず、暫く黙って眺めていた。



『こんな場所があるなんて…』


『……此処は…誰かが創った…のか?』



二人が呆然とその「絶景」を眺めていると、背後から声がした。



『綺麗でしょ、此処は。』


『『…誰だっ!!』』


直ぐ様振り返り警戒体勢になるイアレスとブルート。


『ごめんね、驚かしちゃった?其方達はだぁれ?』


そこにいたのは、キラキラ輝く白金色の長い髪を靡かせ、ニコニコと愛想の良い笑みを浮かべるアンゼスだった。


『……お前は誰だ。』


『ん?私?……私はアンゼスだよ。』


『……アンゼス?何者だ!』


『何者だって言われても…アンゼスって名前で……

あ!そうそう、私はアンゼスって名前の「創造神」なんだよ!ヨロシクね♪』


『……アンゼス?創造神?……バカな…』


『……ホントにいた…』


『っ!ちょっと!今、私の事バカって言った?

初対面で酷くない?失礼しちゃう!!』


イアレスもブルートも、自分達以外の存在を見るのも初めてな上、まさかの「創造神」を名乗るものがいる事に驚きを隠せず、黙ったまま動けなかった。


『ねぇねぇ、其方達…大丈夫?』


イアレス達の目の前で掌をブンブン振って、心配そうに覗き込むアンゼス。


いち早く我に返ったイアレスはアンゼスに向かって怒鳴りつける。


『何が創造神だ!俺こそが創造神だ!嘘つくな!!』


『嘘じゃないよ。どうしたら信じてくれる?』


『なら、何か創ってみろ!』


『何かって言われてもなぁ…。

そうだ!この「神界」を創ったの私なんだけど、それじゃ証明にならない?』


『『……は?』』


『やだ、二人は息ピッタリで、仲良しさんだね。

私とイレスみた〜い♪……ふふふ』


『……う、うるさいっ!!それより「神界」って何だ!!此処は何処だ!!』


『え〜、質問多いなぁ…。

「神界」ってのは此処。此処は私が…神が創造した世界、つまり「神界」って言うんだ。』


『…此処を創っただと…神界…』


『なぁなぁ、アンタ…アンゼスだっけ?アンタ、ホントに此処創ったの?これ全部?』


『そうだよ。正確に言うと、私が創ったものに「意思」を持たせて、各々が独自に進化した結果…とでも言うのかな?まぁ、私は「きっかけ」を作った感じかな?』


『……信じられん…』


『え〜、まだ信じてくれないのぉ〜。

じゃあ、これならどぉ?』


そう言ってアンゼスは背中から翼を出して、空に飛び上がる。空中で一回転して、ゆっくり下りてくる。


『どぉ?これで信じてくれた?』


『『…………嘘だろ…』』


『だから、嘘じゃないってば!

もう、どうすればいいのさ〜!

あっ!そうだ、イレスに説明してもらおう!

うん。それがいいな♪ちょっと待っててね〜』


アンゼスは瞬間移動した。


突然目の前から消えたアンゼスに、イアレスとブルートは驚き何処に行ったのかと辺りをキョロキョロ見回すが、何処にも姿が見えない。


『アイツ、何処に行った!!』


『イアレス…あのアンゼスとかいう奴…ホントに創造神なんじゃないか?じゃなきゃ、こんな…』


『お待たせ♪』


そう言ってまた突然目の前に現れたアンゼス…と、イレス。説明も無いまま連れてこられたイレスは、目の前の二人に気付くと「おや?」と首を傾げアンゼスを見る。


『アンゼス様、こちらのお二人は?』


『…あぁ、そうだ!まだ名前聞いてなかったね!

で、其方達はだぁれ?』


『……俺はブルート。こっちはイアレス…創造神だ。』


『『…………創造神っ?!』』


『そうだ!俺がホントの創造神だっ!!』


『嘘でしょ!本当に其方、創造神なの?え?ホントに?私だけじゃなかったの?ホントにホント?

イレス聞いた?創造神だって!!』


『アンゼス様、落ち着いて下さい。

しかし、私も驚きました。貴方も創造神とは…』


『フンッ!!さっきからそう言ってるだろ!!』


『……詳しくお話しを聞きたいので、アンゼス様。お二人を御神殿にお連れしてはどうでしょう?』


『そうだね!そうしよう!!』


『……それと、お召し物もご用意させて頂きますね。』


そうなのだ。イアレスとブルートは全裸だった。


アンゼスとイレスも初めこそ全裸だったが、イネスとイデスを創った時、せめて布でも…とイレスの発案で白い大判の布の纏う事にしたのだ。


その当時の事を思い出し、イレスは彼等が創造神と言うのは本当だろうと予想していた。






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