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創造神と愉快な仲間たち  作者: 川森 朱琳
第三章 新たな創造神
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第四話 格の違い

お読み頂きありがとうございます。


四人は御神殿の前にいた。

イアレスとブルートは目の前の御神木に目を見張り、口をポカンと開けて微動だにせずにいた。



『アンゼス様、どちらの部屋にご案内しますか?』


『ん〜、三の間…かな。』


『畏まりました。』


「三の間」とはアンゼスが実験用に創った部屋で、箱庭の一つである。異空間であるのは勿論の事、他の箱庭より強度があり、完全に外部と遮断されていて滅多な事では壊れない。


仮にも「創造神」と名乗る者を、簡単に信用する事も出来ず、不測の事態に備えての判断である。



『では、こちらへどうぞ。』


イレスはアンゼスの指示通り「三の間」に二人を案内した。


『……っ!!…此処は…』


『どぉ?イアレスとか言ったっけ?気に入った?』


中に入ると、そこは灯りも無く暗いが、小さな白い光が無数に広がり、互いの姿は認識出来る程度の明るさを出している。体内箱庭の中に広がる「宇宙」と酷似していた。


ブルートはキョロキョロと不思議そうに部屋の中を見渡し、イアレスは驚愕の表情で固まる。



『其方が「創造神」なら、この空間には思う事があるんじゃない?』


アンゼスは探る様に問いかける。


『……あぁ。此処は、似ているな。

……だが、あそこはこんなにも光は無かった。』


『……そうだね。あそこはホントに何も無い…真っ暗な世界だったもんね。』


今のアンゼスとイアレスのやり取りで、互いが「創造神」であるとその場に居た全員が確信した。



『で?どうやって此処に来たの?』


『………………それは…』


『それは、イアレスが全神経を集中させて、自分達以外の存在がいないか探したんだ。そしたら「何か」あるって分かって、辿り着いた先に変な亀裂があって、そこから漏れる白い光に触ったら此処にいたって訳。どうゆう仕組みかは分からないけど、それを見つけちゃうコイツ凄くない?』


ブルートは此処に辿り着くまでの経緯を一気に話した。まるで、主を必死で持ち上げるかの様に…。


ブルートはアンゼスとイアレスの「格の違い」に本能的に感じ取り、またそれが自分に絶対的な自信を持つイアレスにとってどう感じるか…それを危惧しての無意識の行動だった。


『…………やめろ、ブルート。』


これまでに聞いた事のない低く重い声で、イアレスはブルートを止めた。


『………イアレス』


『……アンゼスとやら。お前が「創造神」なのは認めよう。この空間を見れば…いや、此処に入った瞬間に確信した。』


『そう?なら良かった。』


『……だが、お前の方が優れているとは認めん。』


『ふぅん。別にどっちでもいいけど。

……優れてるかどうかは知らないけど…イアレス、其方より「経験値」は私の方が上だろうね。』


『…なっ!!』


『だってそうでしょ?……其方は…「壊す」事しかしてこなかったんじゃない?色んなもの創ったんだろうけど、その創ったものは「壊す為のもの」でしょ?


「生み出す為のもの」ではなく「壊す為のもの」…そしてそれは、「結果」しか見ていない…「過程」は見ずに「結果(こわすこと)」だけに満足して終わる…って事だよね?


それが悪いとは言わないけど…見落としたり、気付かなかったりはし易いんじゃないかな?


時に「結果」に至る「過程」の中に新しい「発見」があったりするものだよ。

だから私は「結果」も「過程」も、どちらも大事だと思ってる。


……イアレス、其方はどぉ?』



イアレスは混乱した。そして、何も言えなかった。

最後の方の「結果」も「過程」も大事だなんだという部分は別としても、その前の話は指摘された通りだったからだ。


確かに自分は「壊す為のもの」ばかり創ってきた。

だから「壊さない」という考え自体が無かった。


さっき初めて会って、初めて話した相手に何故それが分かったのか、お前に何が分かる!と言いたくとも、相手も自分と同じ「創造神」で、恐らく同じ「孤独」を経験している。自分の投げやりな気持ちが分からない訳がない…そう理解しているからこそ、反論が出来ないでいた。


イアレスの横でアンゼスの話を聞いていたブルートは、目からウロコ状態で口には出さないが「なるほど」と感心していた。



『……と、まぁ、自論だけどね。

どうして其方の世界と此処が繋がったのか分からないけど、もしかしたら……イアレス、其方。

「変化」を求めてたんじゃない?「変わりたい」ってどこかで思ってたんじゃない?その思いが、何かしらの理由で此処と繋がった……と私は予想してるんだけど、イレスはどう思う?』


『そうですね。イアレス殿がアンゼス様の言う様な過ごし方をされてきたのであれば…という前提で、私もアンゼス様の予想に同意です。


此処は「意思」が強ければ強い程、「変化」し「進化」する「神界」ですからね。』


そう言ってニッコリ笑うイレスは、安定の菩薩スマイルだ。


イアレスはまだ頭が混乱して、アンゼス達の言葉に反応出来ないでいた。


『あ、あ〜、悪いけど、暫く休憩させてもらえるかな?コイツ、ちょっと疲れてるみたいで……』


親指をイアレスに向け、苦笑いするブルート。

その思いやりに、アンゼスはホッコリする。


『じゃあ、とりあえず部屋を用意するから、そこで休んでって。イレス、四の間へ案内してあげて。』


『……はい。』


四の間ってどれ?と首を傾げながら、とりあえず了承の返事をするイレス。


直ぐ様念話で隣りの「二の間」ね♪と言われ、じゃあ普通に二の間って言えばよくない?と思うと、それを察したアンゼスから「何か部屋がいっぱいあるみたいでカッコよくない♪」と念話が送られてきた。

何だそれ…と思いつつ、そんなとこも可愛らしいと笑みを零すイレスであった。



イレスが二人を二の間へ案内している間、アンゼスはイアレスの事を考えていた。


『イアレスが創造神なのは間違いないと思うけど、見た感じ破壊に特化し過ぎてるのが心配だなぁ…。

一緒に此処で過ごせばいいと言ってあげたいけど、気が短そうだし直ぐに破壊行為をしそうで…う〜ん。』



「二の間」に案内された二人。

三人掛けのソファーに座り、イアレスは相変わらずの様子だが、ブルートは部屋の中をキョロキョロと見回し落ち着きが無い。


『喉が渇いていませんか?何か飲み物でもお持ちしましょうか?』


『…喉が渇く?…飲み物?…それはどうゆう意味だ?』


『……そうでした!申し訳ございません。飲食は必要無かったんでしたね。私としたことが、うっかりしておりました。』


『『……?』』


『アンゼス様は勿論、私達も初めは飲食なんてものは知らなかったし必要もなかったのですが、ある時アンゼス様が仰ったんです。食事をしたり飲み物を飲んだりした方が、楽しいし体も丈夫になると。


最初は何を言ってるんだろう?と意味が分かりませんでしたが、アンゼス様が実際にお手本を見せて下さいましてね。これのどこが体に良いのだろうとよく分からなかったんですが、案外楽しくて…ふふ。皆でハマってしまいました。』


『ちょっと待て!全然意味が分からん。そもそも、皆って他にも誰かいるのか?』


『イアレス殿がいた世界はお二人だけ…でしたか?』


『俺とこのブルートの二人だけだ。俺はブルートがいれば他はいらんっ!!』


『おい!…やめろよ、恥ずかしい…』


『ふふふ…お二人を見てると昔を思い出します。』


『どうゆう事だ…』


『私とアンゼス様も初めは二人だけだったんですよ。それが今では、随分と大所帯になりましたが。』


『大所帯?どの位他の奴はいるんだ?』


『そうですねぇ……ブルート殿の様なものですと…私と、あと二人…と一羽と一匹?いえ、レオン殿は大きいから一頭ですね。あぁ、それからクジラ達もいるので、追加で五頭。それ以外は「意思」を与えられ自分達の意思で生まれてきてるので、カウントはしませんがかなりの数になりますかね…。

此処はとっても賑やかになったんです。』


『『……は?』』


イアレスとブルートは、イレスの話の殆どが理解出来なかった。想像もつかなかったのだ。


『後で見学すれば多少はご理解頂けるかと思いますが、外を出歩くにはアンゼス様の許可を頂かないといけませんので、先ずはお休み下さいね。

あちらに寝台が御座いますので、宜しかったらお使い下さい。では、失礼します。』


そう言って部屋を出るイレスを、二人は無言のまま見送る。


『……何なんだ、此処は…』


『……殆ど意味分からんかった…』


各々一言呟き、暫くの間ソファーに座ったまま茫然となり動けなかった。



アンゼスとのご対面から、イアレスとブルートの二人は口が開きっぱなしですね( *´艸`)


これから二人は、アンゼスやイレス、神界の皆と仲良くなれるのでしょうか?

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