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76 反論


「あなたたち2人、いじめをしてましたよね?」



 この言葉が俺たちに深く突き刺さった。

これだけは間違いのない事実だ。

たとえいじめをされてた当事者の俺がもう許していると思っていても。



「それは今は関係ないだろ」



 蓮が言う。

この場において、イメージは相当大事だ。

一度そのイメージが付くと、こっちの言い分が聞いてもらえなくなる。



「先生、いじめを行なっていたというのは本当ですか?」



警察が俺たちの担任の先生に問いかける。



「まあ、はい。でもその件に関してはもう解決してあります」


「・・・なるほど」



 今まで警察は浜中を完全に疑ってたけど、

ここにきてフラットな目線を持ち始めたな。

応接室に少しの沈黙が流れる。



「話してもいいですか?」



そう前置きして話し始める。



「橘と梅澤にいじめられてたのは僕なんですよ」



場を混乱させてしまいそうだが、ここは話しておこう。



「元々いじめられてたんですけど、謝ってくれて仲良くなったんですよ。それに僕と橘は今、交際関係にあります。なのでそういういじめのようなことは絶対してません。それはいじめられてた僕が証明します」



「そんなの君の考えだろう?君といじめてた2人が仲良くなって、一緒に僕をいじめてる可能性だってあるじゃないか!」



すぐに浜中が反論してくる。



「そうよ!ちゃんとした証拠を出してちょうだい!口だけなら何とでも言えるわよ!」



浜中のお母さんが喚き散らす。

 

 くそ、まずい。

冷静な話し合いができなくなってる。

これじゃあ感情を込めて話した方の意見が通ってしまう。



「もう一度聞きますけど、本当にストーカーの顔は浜中さんだったんですか?」



警察が聞いてくる。



「はい、絶対にそうです!」


「違う!言いがかりだ!」



 俺も少し感情的になって言うが、

すぐに浜中が食い気味で反論してくる。



「意見が食い違ってますね」



 なんとなく、警察も感情に流されている気がする。

確かによく考えれば悪い見た目の奴らが、真面目そうな生徒に言いがかりをつけているようにも見える。


 少し警察に話すのが早かったか。

確固たる証拠を集めてから話すべきだった。


少し諦めかけていたその時、



「ちょっといいですか」



話し始めたのは今まで黙って聞いていた橘のお父さんだった。



「私は橘京子の父です」



 急に話し始めた橘のお父さんを、

浜中と浜中のお母さんが睨んでいる。



「この動画の全身黒ずくめのフードの男、浜中さんじゃないんですよね?」


「だから何度も違うと言ってるじゃないですか!」



 橘のお父さんの問いかけに、

苛立った様子で浜中が答える。



「違うんですね、わかりました。じゃあこの写真を見てもらえますか?」


 そう言って橘のお父さんが出したのは2枚の写真だった。

1枚は一軒家の写真で、もう1枚はその一軒家のベランダに洗濯物が干されているのをアップにした写真だ。

え、これって!



「この家、浜中さんのご自宅で間違いないですよね?」


「は、はい」



浜中の顔に焦りの色が見える。



「この干されている洗濯物、動画のストーカーが着ている真っ黒な服に似てませんか?」



写真の洗濯物は動画のストーカーの服と酷似していた。



「こんなのこじつけだ!」


「そうです!こんな黒い服なんて誰でも持ってるでしょう!」



浜中と浜中のお母さんが一斉に喚く。



「じゃあこの写真はどうですか?」



 そうして次に出したのは浜中の通学中かなにかの写真だった。

これはどういう写真だ?



「勝手に僕の写真を撮らないでください!」


「それは置いといて、この履いてる靴、ストーカーの履いてる靴と同じじゃないですか?」



 ほんとだ!

全く同じ靴を履いてる!



「こ、これも偶然ですよ!」


「全て偶然で片付けるんですか?これも確かな証拠だとは思いますけど」


「あ、あるでしょう!こういう偶然なんて!」


「そうですね、じゃあこれはどうです?」



 そう言って橘のお父さんが出したのはボイスレコーダーだった。

ボタンを押すと、音声が流れた。

それは浜中と浜中のお母さんの声だった。



「大丈夫よ絶対バレないわ!お母さんに任せて!」


「ごめん、ストーカーがバレそうになったから」



これは決まったな。



「もう逃げられないですね」



 橘のお父さんがそう言うと、

浜中は黙り込んでしまった。



「き、今日はこの辺にしておきましょう!行くわよ!」



浜中のお母さんが無理やり浜中の腕を取って応接室を出て行く。



「ちょっと!」



橘が追いかけようとするのを橘のお父さんが止める。



「お父さん・・・」


「あとは警察に任せよう」



 でもよかった。

これで解決だ。



「いやー!楽しかったね!」



 ・・・ん?楽しかった?

橘のお父さんが言う。



「警察の方もありがとう!茶番に付き合ってくれて!」



ど、どういうことだ?



「ちょっとお父さん、どういうこと?」


「実は元々、警察と関わりがあるんだよ」



 なるほど、最初から橘のお父さんと警察はグルだったってことか。

浜中たちが嘘をついてるって知りながら、それをはるか高くから笑って見てたんだな。



「証拠も揃ってるし確定だったんだけどね。ちょっと遊んで見たくてね」



 最強すぎる。

浜中も狙った相手が悪かったな。



「こんなにお金と権力があると警察すらも味方につけることができるんだよ」



俺も橘もみんな唖然としている。

 


「どうやって音声とか手に入れたんですか?」



盗聴器でも仕掛けたのか?



「たまたま手に入れたんだよ」



 たまたまなわけないでしょ!

まあこのストーカー事件は橘のお父さんの手のひらの上で転がされていたということだった。

無事に解決してよかった。


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