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成れ果ての不死鳥の成り上がり・苦難の道を歩み最強になるまでの物語  作者: ネクロマンシー
第2章 変わり続ける感情
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第54話 古代兵器《ジャック・オー・ランタン》

 溶岩の中に飛び込むとその中は灼熱の地獄、ではなく別の世界、崩壊した世界だった。ヒビ割れたビルが立ち並び、荒れた地の中で重々しく空気が木霊する。しかも重力なんて知らないとばかりにコンクリートの瓦礫やチリがそこらに宙を浮いている。ここは大昔、戦争で滅びる前は国が栄えていた場所だったのだ。


 空中に不自然に空いている穴、狭間からノアは落ちてきたらしく数秒遅れてドープル達も穴から姿を現した。


「まったく、こいつイカレてんのか?」


「真っ先に突っ込んでいきやしたよ」


 ドープル達はノアをまるで有り得ないものを見るかのような目で見ていた。ノアは首をかしげるだけだったが、普通この中に遺跡があると言われてもそこが熱を放出し続けている溶岩だとすれば躊躇(ためら)ったりその言葉を疑うのが普通だ。そのためドープル達はその後のノアの行動をニヤつきながら見ていたのだが、ノアは何の躊躇(ちゅうちょ)もすることなく真っ先に飛び込んだため驚くしかなかった。しかもそれだけではない。ノアは遺跡の恐ろしさをまるで理解しておらず、そこはやはりCランクのど素人だとドープル達は判断した。

 入り口付近に機械生物がうろついており、入った瞬間に鉢合わせて殺されることは珍しくもないのだ。突如襲われればAランクのドープル達でさえ無残な形で終わらせられるだろう。そんな確認をする様子すら見せなかったノアを見たドープル達はこいつはすぐに死ぬと、心の中で笑って馬鹿にした。ノアからすればこの世界の外からでも安全かどうかは一目瞭然なのだが、側から見れば無謀な馬鹿にしか見えないのも仕方のないことだ。


「まぁここは一度制覇された遺跡だ。大したことはない。古代兵器が居る場所も大体検討はついている」


 ドープルはノアの無能さを理解したうえでニヤつきながらここを安全だと明言する。何故ならこの遺跡はかなり前に1人の男が探索して制覇したと言われているからだ。そのため、ここには既に聖杯は無いのだ。というよりもこの遺跡で聖杯が見つけられたことにより聖杯の存在、聖杯の効果が伝説となり広まったのだ。

 唯一聖杯が見つかった遺跡で、ドープルの実力だと今現在発見されている遺跡の中でもここくらいしか選べないのだという。それを知った時ノアは確かに落胆したのを覚えている。ノアの目的は遺跡巡りなどではなく聖杯を手に入れることだ。だが必ずこの経験は役に立つ。この遺跡は他より比較的、警備機械の数も質も低いらしくここで歯が立たないようじゃまだ未開拓の遺跡で聖杯を見つけるなど夢のまた夢だ。それに、まだ見つかっていない大昔の武器や力を手に入れられるかもしれない。そう言い聞かせてノアはここへ来た。

 奥にはいくつもの高層ビルが立ち並び、その規模は漠然としている。ここは異常なほど静かで、自分達の足音が反響するばかりだ。

 だが機械生物が数体廃墟の陰に隠れており、ノアにはお見通しでドープル達もそれに気づいていた。


「小型、三体」


 部下の1人が声を上げると全員が一斉に動き出し、瞬く間に機械生物を破壊していく。ドープルは1人で機械生物を大きな斧で叩き割っていたほどでやはりドープル達の実力は確かだ。

 それからは何事もなく奥へ奥へと進んで行き、ドープル達は立ち並ぶ廃墟を一つ一つ調べて回っていた。


「やった!お宝があるぞ」


 1人が廃墟の中、隠し部屋のような場所で歓喜の声を上げ、それに皆反応するように群がり始める。どうやらまだ見つかっていなかった財宝が見つかったようで、この喜びのためにハンターをしている者も多いため大人達は子供のようにはしゃいでいた。しかしノアはそれには興味が湧かず、目も向けなかった。実際ノアが手を伸ばしてもドープル達が分けてくれるとは思えなかったし、ノアには聖杯以外にもやるべきことがあるのは忘れてはならなかった。それはユグドラとの約束で、ユグドラを繋いでいる鎖を断ち切れる剣が遺跡の何処かにあると言うのだ。ユグドラが言うには見ればわかるらしく、今のところそのようなものはないため、適当にぶらついておく。一見ただの風化した地で、案外生温い場所だと肩をすくめながら適当に視線を泳がしていた。すると今まで気づかなかった物がそこにはあった。


「ん?…なんだあれ」


 それは謎の巨大な球体だった。


「おいガキ、これ荷物につめ…ろ……」


 ドープルはノアに宝を運ばせるために呼ぼうとするも、ノアが不思議そうに見ていた球体をみて目を見開いた。驚きのあまり持っていた宝を地面にばら撒いたほどだ。


「なっ!なんで…ここ、こいつがここに!?」


 地面にばら撒かれた財宝が、転がっていく宝石が、盛大に音をたてながら建物の奥まで響かせていく。その反応を見てノアは何事かとドープルと球体を交互に見ようとした。しかしできなかった。何故なら先ほどまであったはずの場所にはその球体はなかったからだ。


「え、どこに」


 ノアは眼を使って球体を探すが完全に見失い、幻だったのかと思えたほどだ。だがドープル達は両手いっぱいに持てるだけの財宝を抱えて走りだしす。


「こんなところに居るはずが、確かに相当進んだがここらはまだ入り口付近なはずだ!!」


 ドープル達は皆、大慌てで外へ向かい始めた。大量の汗を流しながら心臓は跳ねるようにうるさく鳴らしていた。ノアも、大慌てで走り出したドープル達に急いでついていこうとするがドープル達はいきなり急停止した。ノアもその理由を尋ねる間もなく、目の前にあるその光景で理解する。

 今さっき見失った巨大な球体が、いつのまにかドープル達の前に立ちはだかっていたのだ。


「なんで、ここに…『ジャック・オー・ランタン』が!」



 その球体には、裂けるように笑っているような大きな口模様が刻まれている。そして球体から次々と4本の甲鉄の脚が生え、地面を抉って突き刺すように立ち上がり終いには二本の腕らしきものも生えてきた。その腕の先には銃火器と呼ばれる、まるで未知の雰囲気を漂わせるものを装着している。

 球体から二つの穴がここにいる全員を睨んでいるかのように光りだし、何かの機械音を回して標準を定めている。その姿はまさに兵器そのものだ。


 ノアがそのあまりの迫力に固まっていると後ろから蹴られ、古代兵器の前に出てしまった。後ろを見るとドープルが引きつった笑みで脚を上げており、ノアは何かを言う暇もなく目の前の古代兵器から強烈な弾丸をお見舞いされた。


「今のうちだ!行くぞー!」


 ドープルは古代兵器がノアを夢中で攻撃している間に急いで外へと走りだした。


「あぁーはっはっは。あのガキが役に立った!アレと戦うのは俺もゴメンだからな」


 古代兵器にも種類があり、先ほどのは古代兵器の中でもかなり危険な分類に入るのだ。ドープルは後ろで未だにノアの体に弾丸を撃ち続けている兵器を見て大いに笑った。


 (今回は運がいい! 余るほどの財宝も手に入れて、予想外の事態は起きたがちゃんと囮を用意していた。 それに予定通りあのガキも始末できた。 これも自分の日頃の行いからだ。)


 ドープルは息を荒らげながら笑みをこぼし、すぐ目の前にある出口の狭間に飛び込もうとした。

 しかし、それを拒む影が一つあった。機械生物でも、古代兵器でもない。だが確かに、Aランクのドープル達に気づかれないまま近く影がそこにあった。


『ダメだよ。おじさん達は逃げちゃダメ』


 本当に一瞬だった。わけもわからず、理解するにも出来ないひととき。


 可愛いらしくもあり恐ろしくもある。そんな声が後ろから聞こえたと思った時にはドープル達は全員身体を赤い槍に貫かれていた。


「…な…に……」

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