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海と牧童(2)

作者:海神
最新エピソード掲載日:2018/07/23
ある日、この牧場にたどりついた赤い首飾りの雌羊に出会う。
彼女は説明もしていないのに、少年の海へのあこがれを知っていた。
そして自らは瓦礫に囲まれた「中の泉」のほとりに住むようになった。

少年はこの不思議な雌羊に魅かれていった。
なぜわざわざ瓦礫や茨の中ですごすのか。
そして少年に伝えることもなくどこかへ立ち去ってしまい、また帰ってくる。

ある日、雌羊は少年に茨で傷つけた後、純白の花びらを触らせる。
そのとき少年は言葉を通じることなく花の悲しみを「感じる」ことができた。

雌羊は少年が「海」に出会えないのは彼のこころに茨もトゲもないからだと告げる。
やがて少年は眠りにつく前に子羊たちに心の中で語りかけることをやめる。
言葉や観念を介しなくても、「感覚」を通して心を共有することが可能だと気づいたのだ。

そのことを雌羊に伝えようとして、彼女に近づいた少年は、雌羊が眠りにつき夢を見ているところに来た。
どんな夢を見ているのだろう。少年は何げなく彼女のまぶたに手を触れる。
しかし彼女にとって、自分の夢の中の世界は何よりも大切で不可侵な場所であった。
彼女は怒り、少年を許さなかった。

数日後、彼女は羊たちの宴のなかにいた。
少年は羊たちの歌の意味は分からないけれど「感じることができる」。
それは彼女のおかげだ。

彼女は何事もなかったように彼と会話を交わす。
彼女は夢の中の世界こそが自分にとって真実の世界だと告げる。
しかし牧童の心には彼女とまた仲良く一緒に居たり語らったりする喜びしかなかった。

彼女は彼の前からしばらく姿を消す。
そうして再び出会ったとき、彼女は夢の中へ入っていたと告げる。
少年はどんな夢かと聞く。
しかしそれは彼女の大切な世界への侵略だ。
「無神経に耐えられない相手」と言い捨てられてしまう。
海と牧童(2)
2018/07/23 16:44
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