五一話 ~帰宅~
「はぁ……今日は疲れた。ほんっとに疲れた」
あの後、エクス達と少しだけ話をして、今は宿に帰っている途中。……あ、やばい、体がふらつく
このままだと、街中で眠りそうだ。早く宿に戻って、ベッドで眠ろう。
「………………」
このまま、なにも考えず。ただ無心で歩き続ける。……早く寝たい
「あ、リュウトさん。お帰りなさい。随分とお疲れみたいですね」
宿の扉を開けた瞬間、アリスちゃんが出迎えてくれる。‥…この子凄いなー。一日中働いてるのに疲れを感じさせないし
「あぁ…。アリスちゃん、ただいま…。今日は色々あったからね。もう今日は寝かせて貰うよ……」
目を右手で擦りながら、返事をする。……やばいな、視界がぼやけてきた
「レニアちゃんったら、すっごく心配してましたよ?早く戻って安心させてあげてくださいね?」
「……そうするよ」
本日二度目に聞いた台詞を適当に返して、自分の部屋に戻った
ようやく、部屋の前に戻ってきた。……が、そろそろ眠気もピークにさしかかる。ここまで来るまでに何度首がガクッとなったことか……
……まぁいい。あと少しの辛抱だ。もう少しでベッドまで辿りつ…く
まともに思考の出来ない状態で、扉を開くと……
「あ、やっと帰ってきた!遅いよもう!すっご~く心配したんだからね!」
頬を膨らませたレニアが、こちらへ向けて歩いてきた
「……ただいま~」
「大丈夫?凄く疲れてるみたいだけど……」
「あ~、そ~らなぁ……」
正直に言うと、もうそろそろ意識が飛んでもおかしくない気もする。……流石に床で寝るのは嫌だし、……何としてでもベッドに向かいた…いわけだ
……やば…いな。そ…ろそろ…本当に…落ち…そう…だ
「あ……」
「うぁっ!」
何も無い所で躓き、レニアを巻き込みその場で倒れる
「いたた……。……えっ、ちょ……えぇ!?」
「……………」
「だ、ダメ!こんなところで寝ちゃダメ!風邪引いちゃうよ!?というかこのままじゃボクも立てないから!起きて!起~き~て~!」
……ヤラカシタ。睡魔に負けて、床にぶっ倒れた。レニア曰く『いきなり下敷きにされたから、痛かったし凄くビックリした』とのこと
つまり、俺は意図せず女の子を押し倒したということになる。……シニタイ。これが人に知れ渡ってしまえば、変態扱いは免れないだろう
……まぁ、あいつがそんなことするような子じゃないことは分かっているが。……伝えられた時に顔を赤くしてたし、怒ってるよなー……
「…………………」
……だって、全くこっちを向いてくれないのよ、この子。自業自得だから受け入れるけどさ……
「…………………」
気まずい……。静寂が重い……。……こっちに顔を向けてくれないのが一番精神的にくるな……
なんとかして、この空気をリセット出来ないだろうか……。……策なんて浮かばないな。いっそのこと、このままベッドで横になって寝るか?
「リュート」
「お、おう?」
「……今日はお疲れ様。おやすみなさい」
「あ、あぁ…おやすみ……怒ってないのか?お前の上で倒れたこと…」
「別に怒ってないよ?……男の人とあんな体勢でくっついたことが無かったから、ちょっと恥ずかしかっただけだよ」
……いや、どんな体勢で倒れたんだよ!
「……変なところ触ってたりしてないよな?」
「流石にそんなところ触られてたら怒ってるからね!?」
「お、おう」
よかった。取りあえず、この反応を見るに、変なところは触ってないらしい。不幸中の幸いってやつだな
「……疲れてるんだよね?早く寝た方がいいと思うよ?」
「……申し訳なさで眠気が吹っ飛んだ。体は完全に疲れてるし、全く動けないのに眠れる気がしない」
意識は完全にハッキリしている。なんなら指ぐらいなら動かせるが、腕と脚はもう全く動かせない。正直自分でも自覚はなくとも、ここまで消耗してたのかと思い知らされた
「あ、じゃあさ、眠くなるまで何か話そうよ!さっきまでのことは一旦全部忘れてから!」
「……そうだな。何話せばいいかねー……」
「記憶のことは?リュートはそろそろ記憶は戻ってきた?」
「……あー」
……最早完全に頭から抜けていたことを思い出す。……そう言えば、俺はレニアには記憶喪失という設定でいたんだった
「まぁまぁってとこかな。全部ではないけど、友好関係に関してはだいぶ戻ってきたよ」
「じゃあ、それを聞かせて欲しいな!」
「……そうだな。じゃあ先ずは」
そう言って、俺はまた、三人の話を始めたのだった
「ふぁ~…だいぶ喋ったな……そろそろ眠くなってきた」
だいたい一時間が経っただろうか。休みも無く喋り続けていたおかげで、再び睡魔がやってきた
「そ~だね~……。ボクも眠くなって来ちゃった」
それは、レニアも同じだったらしく、自分の座っていたベッドに潜り込んだ
「……おやすみ」
「おやすみなさ~い……」
そして、俺達はようやく眠りについた
何話ぶりのヒロイン登場なんだろう……




