↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/67

三九話 ~脱獄~

十分後、こつ…こつ…と、地面を踏む音が、微かに聞こえてきた

 

 (……来たみたいだな、よし、いつでも行けるように構えておいてくれ。但しバレないようにな。)

  

 (任せておけ、看守が寄ってきた所で捕まえればいいんだよな)

 

 看守が手の届く位置に来た瞬間、モースに手だけで何とか捕らえて貰う。

 

 (あぁそうだ。鍵を持ってたらな。そこは俺が確認する。持ってなかったら次の看守が来るまで待つ)

 

 (了解だ、お前の指示を信じる。一度失敗したら殆ど終わりだしな)

 

 モースはそう言って手に力を込め始める

 

 (俺はアンナと一緒にモースを手伝う。……三人で絞めれば確実に殺れるからな。それでいいか?)

 

 (異論はないわ……。リュウト君はどうするの?)

 

 (俺が背負っていくさ。一応、俺はこいつの先輩みたいなものだからな)

 

 そうだ、龍斗はこっちに来てから初めて会った日本人だ。同郷だからって理由も少なくはない。

 

 (そ、なら、責任持ってしっかりと背負っておきなさい)

 

 (あぁ分かった、……見えてきたな。よし、各自位置に着け。目的を悟られないように)

 

 二人に指示を出し、静かに息を殺し、目を閉じておく。……看守がバカでありますように……

 

 一秒、一秒。小さな時間が重なっていくにつれ、こつ…こつ…と、音が大きくなっていく。

 

 そして、音が聞こえなくなった。その瞬間――

 

 「ハ…ハハ!無様だな、テメエら!いかに強力な冒険者といえど、檻に捕まってしまえば何も出来ないか――」

 

 ……あぁ、よかった。バカそうな奴でよかった。

 

 「――その女を寄越せ、言うことを聞けば全員解放してやらんことも――」

 

 看守の言葉を無視して、鍵を持っていないかを探る。……いや、探すまでもなかった。本当にとことんバカな奴だ

 

 (モース、やれ。鍵はあいつが目に見えるように握りしめてるぞ)

 

 (了解。……最後の確認だが、殺すか?)

 

 (あぁ、やってくれ。目を覚ましたら面倒だ)

 

 無視し続けたことに腹を立てたのか、看守は俺達の牢の至近距離まで近づき、そして――

 

 「テメエら!聞い――!?」 

 

 看守が何かを言い切る前にモースが首を絞めた

 

 「……俺等の都合で悪いが、死んで貰うぞ。お前等だって散々殺してきたんだから覚悟は出来てるだろ?」

 

 「ッッッ!!」

 

 モースの握力に、看守は必死にもがいているが、それもそろそろ時間の問題だろう

 

 「あぁ…安心しろ。せめてもの慈悲だ。一気に止めてやるよ」

 

 その言葉を皮切りに、俺とアンナも看守の首を絞め始める

 

 「ッ~~!ッ~!――――」

 

 そして、声にすらならない断末魔を上げると、グシャッという響くことのない音と共に看守は事切れた

 

 「……やったか、っし!鍵回収だ」

 

 「だな……。はぁ……、人を殺しても何も感じない自分が本当に嫌になる……」

 

 「気に病むことはないわよ、やらなきゃいずれは私達が殺されてたでしょうしね」

 

 亡骸の下半身から漏れ出る悪辣な臭気を無視して、手から鍵を引っ張り出した

 

 「……と、鍵穴はこっからは見えないな、え~っと……ここか!」

 

 牢の扉の裏側に手を回し込み、何とか鍵を差し込むと、かちゃんという小さな音が鳴った

 

 「……開いたな、よし、クルス。リュウトを背負え」

 

 「言われなくてもそうするさ。……先ずは奪われたアイテムを取り返さないとな」

 

 「えぇ、このままじゃ碌に戦うことも出来ないものね」

 

 俺達は、牢を抜けて、慎重にアジトの探索を開始した


 

 

 

 

 

 数分間アジト内を探し回った俺達は、ようやく奪われたアイテムを発見した

 

 途中で何回か盗賊の一員に見つかったが、非戦闘員なら武器がなくとも黙らせられた

 

 「ひい、ふう、みい……。よし、全部揃ってるな」

 

 「あぁ、途中で騎士崩れに出会わないか心配だったが……これで安心だな」

 

 「幸運だったわね。あれに見つからなかったことも、アイテムが使われてなかったことも」

 

 ホッと息を吐きながら、俺達は見つけたアイテムを素早くアイテムボックスの中に入れた

 

 「後はあれを倒せば解決ね」

 

 「いやいや、まだやるべきことがあるだろう」

 

 「捕まった人達を解放しないとな」

 

 あくまでもクエストの内容は盗賊団の壊滅だけだ。捕まった人達の救出は仕事に入らない。だが、それが助けない理由にはならない

  

 たとえ、自分に何の得にもならないとしても、自己満足だとしても俺は助けたいんだ

 

 「……えぇ、そうね」

 

 それは、この二人もきっと同じなのだろう。何の文句も言わずに、手伝ってくれるのだから

 

 「さて、その為にも先ずはアイツを倒そう」

 

 「だな、当初の目的は達成できなくなったが、別に絶対今日やらないといけない訳でもないしな」

 

 「その通りね、リュウト君には悪いけど……。いえ、今は彼にとっては良かったのかもしれないけど、今日は見送りにしましょう。大丈夫、機会はまだあるわ」

 

 アンナの言うとおりだ、当初の目的はいつでも達成できる。何も今絶対やるべきことではないんだ

 

 「あぁ、そろそろアイツを探すか、次は確実に仕留めないとな」

 

 「捕まった人達が人質にされないうちに、速攻でな。厳しいかもしれないが三人で掛かればどうにかなる」

 

 「見せてあげましょう。私達の力を」

 

 三人で小さく円陣を組み、再びアジト内の探索を始めた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。