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二四話 ~ようやく出発~

俺達はレニアを追いかけて走った訳だが本人はギルドの入口の真横にいたもんだからギャグマンガのように盛大に顔から転がり滑った。


 「「……痛ってぇ」」

 

 「……二人ともごめんね」

 

 今回は俺に非はないと思う。

 

 「流石に今回は文句言うぞ。思いっきり目的地に向かって走る感じだったよな?なんでギルドの入口の真横にいたんだよ!」

 

 「さっき暴言を言っちゃったを謝ろうと思って。……さっきはうるさいなんて言っちゃってごめんね?」

 

 あれから確実に二分も経ってないけど……確かに理不尽ではあったが、うっさいっていうのは暴言ではない気がする。俺も痛いところつかれたらうるさい黙れってよく言うしな。

 

 「それはたいして気にしてないから大丈夫だ。それとうるさいっていうのは暴言ではないと思うぞ。多分同じ状況になったら俺も同じ事を言うと思うしな」

 

 「それでもだよ。ボクが二人に向かって理不尽なこと言っちゃったって事は変わらないから……ごめん」

 

 「お前は何回謝れば気が済むんだよ……もういいってちゃんと謝ってくれたんだし、そうですよねクルスさん」


 「まぁそうだな。一回謝ったんだからいいじゃねぇか。それに今回も龍斗が悪いわけだしな。まぁ俺もだが」

 

 「!?」

 

 ちょっと待ってくれ。俺は何もしてないぞ!『も』ってなんだよ!

 

 「待って下さい待って下さい!俺が何か悪いことしましたか!?」

 

 正直全く身に覚えがないのに俺が悪いって言われるのは納得がいかない

 

 「これに関しては自分で考えろ。じゃなきゃ意味がない」

 

 自分で考えろって……そう言われても本当に思い当たることがないから全然分からない。

 

 「クルスさん?リュートには非はないよ?今回のことは完全にボクが悪いんだから……」

 

 「はぁ……嬢ちゃんがいいなら俺はもういいが。……それにしても顔が痛てぇ、なぁ龍斗、回復魔法使ってくれ。全適正あるんだから出来るだろ?」

 

 「……そうですね、俺も同意です。少し自分の顔触ってみたら凄く擦りむいてる感じですし」

 

 回復魔法の名前と言えばやはりヒールが王道だろう。そしてイメージとしては緑色の光に包まれた部分の傷が消える感じでいいだろう。

 

 「――ヒール」

 

 魔法を使った瞬間に痛みは収まり、擦りむいたところも完全に治った。……正直今更思ったけど全適正もってる時点で俺は魔法についてだけならかなりのチートじゃね?威力は分からんけど。

  

 「……結構綺麗に治るもんだな。そのまま俺にも頼む」

 

 「了解です。――ヒール!」

 

 ヒールを唱えると修助さんの顔をイメージした通り緑色の光が覆った。なるほど第三者から見るとこんな感じになってたのか。

 

 「おぉ…痛みも消えて、完全に元に戻った。……おい龍斗、お前の魔法って冷静に考えるとおかしいぞ」

 

 「………」

 

 修助さんの発言に俺は思わず押し黙った。

 

 「あの…具体的には何処が……?」 

 

 「先ずお前が初めて魔法を使ったのはいつだ?」

 

 いつって……今日使ったのが初めてだけど……

 

 「帰り血を洗い流した時です」

 

 「イメージトレーニングはしたのか?」

 

 「イメージはしました。でもトレーニングはしてないです。ぶっつけ本番でした」

 

 だってゼティス様も魔法はイメージが重要って言ってたしな。

 

 「……良く聞いておけ、魔法っていうのは余程のイメージがなけりゃぶっつけ本番で発動なんて出来ないんだ」

 

 ……いや多分俺の隠しステータスのイメージが50だからじゃないかな

 

 「それについてはちょっと耳を貸して下さい」

 

 「なんだ?」

 

 俺がそうお願いすると修助さんは疑問に思いつつもしっかり耳を傾けてくれた

 

『修助さんは隠しステータスっていうものはご存知ですか?』

 

『聞いたことはあるが……』

 

 俺は隠しステータスについて簡単に説明してからイメージのことも話した

 

『……確かにそれぐらいのイメージがあるなら不思議ではないが、なんでそんなにあるんだ?』

 

『多分ですけど、日本にいた時にラノベとかマンガとか読みまくったからじゃないかと思います。俺って結構なレベルのオタクですし』 

 

『……そこまでイメージ力つくとかホントに何してたんだよ』

 

『アニメの一期分を夜更かしして全話じっくり見るとかよくやってましたね。当然ラノベやマンガでも同じことしてました』

 

『……確かにそんなんしてたらイメージ力つくよなぁ……というかお前のオタク度高いな』

 

 そりゃそうだ。だって日本にいたときの俺にとって二次元は心の拠り所だった訳で。と言ってもやっぱり一番は友達との関わりだったんだけどな。

 

『確かにそこそこ高いとは思います。……まぁそれが理由で友達との約束の時間を完全に忘れて約束の時間を過ぎてもまだ寝てたことありますし。お陰で目的の場所に行くまでの間ずっと説教でした』

 

『どれぐらい寝坊したんだ?』

 

『……あまりにも待たせすぎて直接起こしに来るぐらいには。あと少しでぶん殴られるところでしたよ』

 

『……一発殴られた方がよかったと思うぞ』

 

『……食らったら確実に即死しますので。……というか話が完全に脱線してきたので戻しましょうか』

 

 このままだとずっとこそこそ話すことになるだろう。そうするとどうなる?レニアの機嫌が再び悪くなるかもしれない。

 

『そうだな、つまりお前がぶっつけで魔法を使えるのはイメージが高いからってことだよな?』

 

『そういうことですね。……今から思うとなんだかインチキな気がしてきましたけど……』

 

『インチキも何もないだろ。そのイメージ力は日本にいた頃からの正真正銘のお前の能力だよ。ただその能力がこっちの世界での強みになった、それだけの話だ』

 

 ……そういうものなのか

 

『つまり日本の枠組みで言ったら趣味でやっていたことが最終的に人生で役に立つようになったってことですかね?』

 

『そういうことでいいと思うぞ。貰った力ではないんだし、お前自身の力なんだから後ろめたく思う必要はないんだ』

 

『……それもそうですね。それなら思う存分魔法を使うことにします! 』

 

 なんとなく思った迷いでもそれが原因で大惨事になることだってあるかもしれないし、どんなに下らないことでも迷いは早いうちに潰さないとな

 

 「ねぇ、二人とも?話はまだ終わらないの?」

 

 ずっとこそこそ喋っていた俺達二人に耐えかねたレニアが話かけてきた。

 

 「タイミングがいいな。丁度今終わった所だ。放置してて悪かったな」

 

 「大丈夫、放置されてたことは少ししか気にしてないから。……リュートに放置されるのはもう慣れたし」

 

 ……少しは気にしてるのか。それは大丈夫とは言わないと思う。というか…慣れちゃったかぁ

 

 「うん…なんて言うか…ホントに悪い…」

 

 「しょうがないので許してあげよう!でも次からは拗ねるからね?」

 

 ……レニアはどんな感じで拗ねるのか見てみたい気はするけど…面倒くさくなりそうだから出来るだけ放置しないように気をつけよう 

 

 「拗ねる宣言されたなら仕方ないな。次から本格的に気をつける」

 

 「ありがとう。……ここでずっと立ち止まってるのもどうかと思うし、早く目的地に行こうよ」 

 

 そういえば話に夢中になっていたせいでさっきから一歩たりとも足が動いてなかったな

 

 「それもそうだな、ギルドの前で立ち止まってたら迷惑きわまりないしな。時間もなくなりそうだし、とっとと向かおうか。道が分からないから案内はよろしくな」

 

 「任せて、ボクは既に何回もこの採取クエストをこなしているのだ。だから道に迷うことは絶対にないよ」

 

 「それは頼りになるな。……ところでクルスさんは……?」

 

 「俺か?……モンスター討伐の方がやっぱり報酬もいいし採取クエストは先ず受けないな……嬢ちゃんの方が詳しいと思うぞ」

 

 まぁそりゃあモンスター討伐の方が危険な分報酬も高いよな。モンスターを倒せるようになったら採取クエストを受ける奴なんて滅多にいないわけだ

 

 「そうですか。……レニア、改めてお願いしたい。採取クエストことを教えてくれ」

 

 「いいよ。じゃあ先ずは目的地に向かうからしっかりついてきてね」

 

 「了解、でも走らないでくれよ?絶対に追いつけないから」

 

 「……少しでも体力作ったほうが良いと思うんだけど」

 

 ……それで見失って場所が何処か分からなくなったら意味がないだろうに

 

 「今は道案内だろ?ならゆっくり歩いた方が確実な気がするんだよ」

 

 「……確かにそうだね。あくまでも案内なんだしついて来れなくなったら本末転倒だね」

 

 ……この子はひょっとしたらバカなのかもしれないぞ。

 

 「だろ? ゆっくり行った方が話の出来る時間もとれるしな」

 

 「確かに!本当にどうしてボクは気付かなかったんだろう」

 

 「レニア……お前実は結構バカだろ」

 

 「流石にバカ呼ばわりは傷つくよ!?」

 

 「正直言うと俺も嬢ちゃんのおつむが残念な気がしてきた」

 

 「クルスさんまで!?」

 

 こんな風に三人で話をしながら俺達はようやく目的の場所に着いたのだった

 

 

 

皆様のおかげで10000PV突破&総合評価70突破!ありがとうございます!これからもどうかよろしくお願いします!

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