二十話 ~殺しに慣れる~
修助さんに連れてきて貰ったのは森だった。うん、森なの。ここってどう見ても昨日目が覚めた森なの。
「あの・・・クルスさん?特訓って言うのはやっぱり・・・」
「あぁ回数を積み重ねるだけだ。だが安心しろ、ヤバイと判断したら助けてやる」
・・・やっぱり慣れなんだな。でも一応ゼティス様に暗示は掛けて貰ったし最初よりは大分マシにはなっているとは思うが・・・
「本当にそれしかないんですね・・・分かりました、ギリギリまで頑張ってみます!」
「リュート、絶対無茶しちゃ駄目だよ?」
・・・無茶しないと特訓にはならない気がするが。というかこれはもう特訓でよりぶっつけ本番な気がする。
「前向きに検討しておく。・・・それでクルスさん?俺としては襲ってこない奴らは殺したくないんですが・・・」
これについては罪悪感以前に良心の問題だ。
「安心しろ。殆どのモンスターはこっちを認識すると直ぐに襲い掛かってくるからな」
・・・おかしいな、普通なら安心出来ないのに、凄く安心した。
「そうですか、少し気が楽になりました」
「そりゃよかった。じゃあそろそろ行くぞ」
「了解です!」
森を進むとモンスターの群れに遭遇した
「ちょうどいいのが集まってるな、あそこに行ってこい」
「流石に多くないですかねぇ!?」
というかよく見たらあのモンスターって俺を最初に襲ってきたのと同じじゃねえか!しかも今回のは昨日より大分多いんだけど!?
「大丈夫だ、あれぐらいの雑魚は俺が余裕で倒せる。初心者が挑むと少しキツいぐらいだ、安心しろヤバくなったら俺が蹴散らす」
・・・一匹で少しでもキツいならアレに囲まれたら死ぬんじゃね?昨日はだいたい15匹ぐらいだった気がするけど、今日はざっと見ただけで30匹以上いるし。
「それと、モンスターのステータスを見る方法があるが知りたいか?」
「当然ですよ!教えて下さい!」
「簡単だ。対象をしっかりと視認して魔物情報強制閲覧って念じるだけだ」
・・・どうしてこの世界のステータス確認方法はこんなに簡単なのだろうか?いや難しかったら個人的に困るから助かるけどさぁ。
「覚えたな、やってみろ!」
「分かりました」
えっと、対象をしっかりと視認して・・・
(魔物情報強制閲覧)
よし!成功したな。
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ヒューマンキラー
レベル6
生命力 30/30
魔力 0/0
攻撃力17
防御力10
人間を標的に狙う種族。魔力を持たない。主食は人間、主な遊びは人間を惨殺すること。知能が低いので力の違いが分からない。力の加減も分からない。討伐経験値は100
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怖い!種族名がヒューマンキラーって!直訳すると人間殺しじゃねえか!
というかレベルは6ねぇ・・・思ってたより低いな。そんで経験値が100なら加護持ちの俺にとっては130ってことだ。
「出来たか?」
「出来ました。・・・レベルは6って表示されてましたけど、モンスターでこれは高いんですか?初心者は少しキツいって言ってましたけど」
「いや、低いぞ。ただ初心者には少しキツいってのはだいたいの初心者は1から4レベルくらいのモンスターしか相手しないからな」
「さっきから初心者って言ってますけど・・・どこまでが初心者なんですか?」
「だいたいレベル5までだな」
・・・じゃあ俺はギリギリで初心者か。
「ありがとうございます・・・そろそろ行ってきますね。ちゃんと助けに来て下さいよ!」
「リュート!頑張ってね!絶対死んじゃ駄目だよ!」
「おう!行ってくる!」
さっきはギルドに行く前に俺の側から離れるなと言ったが・・・今俺の近くに来たら絶対危険だからな。道中修助さんに頼んでおいてよかった
「うがああああああああああああ!!!」
大声を出して奴らにこっちを認識させる。こちらを認識すると同時に奴らは襲ってきた
・・・やっぱり自分から言っといてだが怖い。だがこれを乗り越えなければ俺はこの世界で生きていくなんて無理だろう。
俺は自分の中の勇気を手繰り寄せモンスターを切り裂いた。
あぁ、気持ち悪い、最高に気持ち悪い。
死骸から漂う死臭、死の瞬間の断末魔、飛び散る血や内臓。そして罪悪感
嗅覚、聴覚、視覚から読み取れる情報が自分の精神にダメージを与える。
だが、しっかり暗示は効いているので罪悪感が与えるダメージは最も少ない。
罪悪感を感じづらくなったお陰か、それともいつの間にか少しは慣れていたのか、昨日のように手が動かなくなることはなかった
まだまだ吐き気は襲う、この感覚に流されていれば命に関わってくるだろう。
俺は死にたくない、死にたくないからモンスターを殺す。
「・・・うっぷ」
まずい、吐き気が抑えられなくなってきた。
だがここで耐えられずに崩れ落ちれば待っているのは死だろう。
無理矢理押し殺してただひたすらにモンスターを斬る、斬る、斬る。
心を空にして、ただ殺す
それをずっと繰り返しているうちに全てに慣れた。罪悪感だって一切感じない。生きるためなら仕方ないから。
「そこまでだ!龍斗!」
何故か修助さんに呼び止められた。
「・・・クルスさん、どうしたんですか?」
「いや、もう大分慣れたみたいだからな。それにモンスターもこの辺にはもういないしな。だから止めた。・・・それよりもだ!」
・・・大分どころかもうなにも感じないぐらいにはなったが
「お前途中から自分がどんな表情してたか分かるか?」
「え?すいません、自分の表情なんて見えないですし分からないです」
まぁ見えないだけで実際はどんな風かはだいたい分かるけど、多分無表情で淡々としていたのだろう
「いいか?よく聞いておけ、お前がどんな表情をしていたか教えてやる。お前は途中から」
次の言葉に俺は自分の耳を疑った、何故かって?
「楽しそうに笑っていたんだぞ」
こんな言葉を聞いたらねぇ・・・




