十三話 ~二人と別れる~
受付から戻ってくると二人とも驚いていた
「・・・ひょっとして適正の話聞いてた?」
レニアは無言で首を縦に振った。修助さんは後で話がしたいと言いたそうにこっちを見ている
少しの間だけ静寂が響いていたがそれをかき消したのはレニアだった
「凄い・・・凄いよリュート!」
化け物扱いされるのも少しだけ覚悟していたけど。・・・やっぱりレニアはいい子だなぁ
「そ、そうか?」
「あれ?なんだか全然驚いてないけど・・・どうして?」
「い、いやそんなことないぞ!わー驚いたなー」
正直知ってたから一ミリも驚いてないんだけど・・・
「ところでレニア、これならモンスター退治にも文句はないよな?」
「それとこれとは話は別だよ?絶対に無茶しちゃだめだからね!」
「分かってる、死にたくないから無茶はしない」
「うん、よろしい」
「いちゃつくのはその辺にしとけよお前ら」
いきなり何を言い出すんだこの人は
「クルスさん!何言ってるんですか!別にいちゃついてないですし俺とレニアは付き合ってません!」
そうだよな!と言ってレニアの方を見てみると顔を赤くして俯かせていた
「な、な、なにを言ってるのかナ。ボクは別にリュートと付き合ってる訳じゃないし。もし・・とにそ・・・たらはず・・くて・・じゃうよ・・・」
後半ぶつぶつ言ってて聞き取れなかったぞ。・・・あれ?修助さんが震えてる?なんで?
「よし!龍斗!お前はもう問答無用で連行だ!」
「なんでですか!?」
ヤバイ担がれた!今回こそなにかされる気がする!レニア助けて!・・・あれ?ちょっと待って、また気絶してらっしゃる!?
「あの、すみません!レニアが気絶してるんですけど!」
「そりゃあまずいな、回収するか」
そう言って修助さんはレニアを回収した、
「待って下さい待って下さい!ホントに俺は何されるんですか!」
「なに、ちょっとお話があるだけだ、今回こそ期待通り拳でな!」
「いやああああああああ誰か助けてええええええええ」
俺の悲痛の叫びは誰にも届かずに無慈悲にもギルドの扉は閉まった
そして俺はまたギルドの裏に連れられた
「ひいいいいいい!ごめんなさい!ごめんなさい!理由は分からないけどなんかごめんなさい!殴らないでえええええええ」
「そう情けない声を出すな!拳で語るってのは冗談だ!」
「・・・・ホントですか?」
「あぁ、ホントだ。流石にマジでそれをやると大人げないってレベルじゃない」
よかった、本当に冗談らしい。でもこれが冗談なら話って何だろう?
「話っていうのは・・・そうだなお前の適正についてだ」
あぁやっぱりか
「実はですね・・・」
俺は修助さんに可能性の種のことを話した
「まあこんな感じのスキルです」
「あぁ、それで全ての属性に適正を持ってるんだな納得した。でもなんでそんなスキルを持ってるんだ?」
「説明すると長いんですが・・・」
俺の死因や異世界に来るまでの経緯を話した
「・・・まぁそういう事情なんですよ。」
あれ?修助さんの様子が
「ふざけんな!」
「ひぃ!」
なんかいきなりキレられた。怖い!
「悪い・・・お前にキレた訳じゃない。ただお前が死んだ理由に納得がいかないだけだ」
ひょっとして俺の為に怒ってくれたのか?
「なんだ?神様の娯楽で殺された?ふざけるんじゃねぇ!もし俺がそんなふざけた理由で殺されたんならその神を全力で憎むぞ!」
「そうですよね。・・・正直未だにこの理由を思い出すとむかむかします」
「で?なんだっけ?最上神のゼティス様だっけ?お前を殺した奴はその人に地獄行きにされたんだっけ?」
「はい。完全にではないですけどそれを知って正直少しだけスカッとしましたよ」
「そりゃそうだろうな。俺も少しスカッとした」
やっぱり、この人は本当にいい人だな
「それでお前はこの世界で変わりたいんだったな。・・・いいぜ、そういうことなら全力で手伝ってやろうじゃねえか!」
「ありがとうございます!」
この人に出会えて本当に良かった
「う、う~ん」
話が終わってから丁度レニアが目を覚ました
「あれ?ここは?」
「ようやく目が覚めたかレニア。ここはギルドの裏だ。それで丁度今クルスさんと話が終わった所だ」
「そうなんだ。・・・あ」
理由は分からないけどレニアの顔がまた赤くなってきた
「クルスさん!別にボクはリュートと付き合ってないからね!だってリュートとは今日会ったばかりだもん!」
・・・そこかぁ、そういえばレニアはその話をしてから気絶したな。・・・なんでだろう?
「はいはい分かった分かった、お前ら二人は付き合ってない」
・・・この人絶対信じてないな
「でも今日会ったばかりってのは関係ないだろ、多分嬢ちゃんがチョロいだけだ」
「さっきから本当に失礼だよクルスさん!というかアリスにも言われたけど、ボクはチョロくないから!そうだよね!リュート」
いや割とチョロい気がするんだけど
「ウン、ソウダネ」
「どうして棒読みなの!?」
「・・・なんでだろうな」
でもレニアはチョロいというよりも初心って言った方が正しい気がするけど
「まぁ別にいいじゃねぇか」
「よくないよ!さっきから二人とも本当に失礼だよ!」
「「正直スマンかった」」
「謝る気ないよね!?絶対反省してないよね!?これ以上チョロいって言うと泣くよ!結構本気で泣いちゃうよ!」
それは困るな。レニアを泣かせたくはない
「悪かった!許してくれ!」
「いいよ!許す!」
・・・やっぱりチョロいな
「そうしてクルスさんと別れた俺達二人は話をしながら教会に向かったのだった、マル」
「ねぇリュート、一人で何言ってるの?」
「いや・・・暇だったから」
「暇!?今暇って言ったよね!?ボクと話してたのに暇!?」
暇って何回言うんだよ・・・でも実際友達と話をしてて暇って言われると結構傷つくなぁ
「・・・悪かった」
「ホントにそう思ってるならいいけど」
・・・ホントにチョロくて心配になるんだけど
「なぁレニア。もっと根気強く怒った方がいいぞ?そんなんだからチョロいって言われるんだぞ?」
「また!またチョロいって言った!」
「いや、違うぞ!?俺が言いたいのはそういう失礼なことをした奴を直ぐに許すんじゃなくてもう少し怒れってことだ!」
「失礼な!ボクはちゃんと怒ってるよ!」
「でも相手が謝ったら直ぐ許すだろ?」
「それは当然!だって相手はしっかり反省してるんだから許してあげようよ」
この子は本当に優しいな!
「そうじゃなくてなぁ!ずっと同じように簡単に許してると相手は調子にのるんだよ!それで最終的にあいつは適当に謝っておけば許してくれるってなるんだよ!」
「え?そうなの?」
「お前はもっと人のことを疑うことを覚えろぉ!じゃなけりゃ俺が不安になる!」
「うっ、分かったよ。これからはもっと疑うようにするよ。・・・じゃあさっきボクが泣くって言ったときに謝ったのは嘘?」
・・・そこを疑われたかぁ
「いや、あれは本当だ。最上神に誓う」
「む~、じゃあリュートは反省してるじゃん!」
なんで俺は反省してるということを怒られているのだろうか?
「・・・俺が口だけって可能性は考えなかったか?」
「全然」
駄目だ、この子は本当に人を疑うというモノが大量に欠けてるな。・・・やっぱり俺がこの子を守らないと
「はぁ・・・もういい」
「あれ?なんか呆れてる?どうして?」
「・・・なんでもない」
そういえば・・・レニアの家ってどこにあるんだろうか
「それよりもレニア、お前の家はどこだ?」
「い、家!?それはちょっと早いんじゃないかな!?」
何を言ってるんだこの子は・・・
「レニアが何を言ってるのかは分からんが・・・友達の家がどこにあるか知りたいと思うのは別におかしくないだろ?」
「え、あ、うん、確かにおかしくはないね・・・でも今日はもう遅いし明日でいい?」
俺としては明日でもいいが・・・
「明日どうやって会うんだ?」
「簡単なことだよ、ボクが明日教会に行くだけ」
「・・・確かにそれなら確実だな」
「でしょ!・・・ここから教会への道は分かる?」
「あぁ、分かるぞ」
「・・・そっか。じゃあボクはここで帰るから・・・また明日ね!」
「あぁ!また明日な!」
そしてレニアと別れた俺は教会へと戻った。・・・そういえば修助さんにランクのこと聞くの忘れてたなぁ




