表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金術師は家に帰りたい ~百年寝過ごしたら自宅が異界化してました!?~  作者: ワイエイチ
神託編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/321

禁句?

 マリナさんと打ち合わせをしてから一週間が経った。

 とはいっても例によって今日までの間、もちろん何もせずにのんびりと休んでいたわけではない。


 一番大きな出来事は、先日大量に錬成したアイテムポーチをシェリルさんに買い取ってもらったことだろうか。

 余剰分を大量に買い取ってもらったので、手間賃を省いた後で皆にも分配することが出来た。


 ジーク達は遠慮していたが、これからの孤児院運営を考えるとお金はあるに越したことはないので、半ば強引に押し付けておいた。


 これで皆、当分お金に困るようなことは無いだろうと思われる。さすがは領主様だ。


 ちなみに買い取ってもらったアイテムポーチは、基本的に都市内における物資の運搬に利用されるようだ。

 そしてこれは僕も驚いたのだが、シェリルさんはギルドを通して探索者へ格安で貸出を行うサービスを開始したのだ。


 確かに異界における素材の回収は、この異界都市アミルトにおいて重要な位置づけにある。

 これをアイテムポーチの貸出で促進しようということらしい。


 ……このサービスを利用して、色々な近代魔道具をギルド経由で貸し出してみるのも良いかもしれない。

 そうすれば割りと自然に近代魔道具が探索者に広がってくれることだろう。


 そして十分に普及させることができれば、次のステップである都市外への普及に進むことが可能になるかもしれない。




 そして今日は、マリナさんが合流してから初めての探索となる。


 この一週間の間にマリナさんには第十七層まで攻略してもらった。

 マリナさんは既に途中まで第十七層を探索していたらしい。

 僕達が手伝っても良かったのだが、最後となる単独探索で攻略がしたいと主張したため、合流は第十八層からということになった。


 そして現在、第十八層のポータルを抜けた所である。


「それじゃあ、マリナさんの力を確認させてもらっていいかな?」


「それは別に良いけど、バーナード君以外も見るのよね?」


 マリナさんは皆を見渡してからそう口にした。表情を見る限りでわかることは、何かを心配しているようだということだ。


「もちろん、パーティーメンバーだからね。これからお互いに命を預けることになるわけだから、これは避けては通れないと思うけど」


「でも……」


「ああ、魔道具の事なら気にせずに使っちゃって良いよ」


 さすがにこの階層あたりまで来ると、異界で発掘される魔道具を利用している探索者も増えているため、近代魔道具を使用しても違和感はあまり無かったりする。


「ば、バーナード君がそういうなら見せてあげないこともないわ」


「私達も魔道具には慣れてるから気にしないでいいのよ」


 エリーシャもフォローしてくれたが、マリナさんも吹っ切れたようだ。それじゃあ、じっくりと見させてもらおうかな。


「武器はその腰に差している剣で良いのかな? それとも別の武器?」


「他に持ってるように見える?」


 そう言いながら、身体をくるくると回転させながらアピールしている。

 近くにいたジークも釣られて、マリナさんの身体をつま先から頭まで見ている。


「うーん、見た感じ何処にも見当たらねぇな。アイテムポーチらしきものも持ってねぇし、って、いたたたた!」


 すかさずエリーシャがジークの耳をつまんでひねりあげている。


「ジークはじっくり見過ぎだよ。それに目立たないけどマリナさんはアイテムポーチを持っているよ」


 すると、マリナさんは感心したような顔でこちらを見た。


「よく分かったわね」


「でも、マリナさんは袋なんて持っているようには見えませんが?」


「確かにそうね」


 エリーシャも気になってしまったようで、ジークの耳を捻ったまま、マリナさんを見初めてしまった。


 マリナさんは自身に向けられた視線を受け流しながら、おもむろに右手を上げ始め……そのまま目の前の空間に突っ込んだ。


「「「え!?」」」


 僕以外は皆驚きの声をあげた。僕の魔道具を見慣れていてもこれは少し驚いたようだ。


 このセオドールの使っていたアイテムポーチ――彼はアイテムボックスと言っていた――は、アイテムポーチのように袋状の媒体を必要としない。

 手袋が起動媒体となっており、何処でも使用することが可能である。


 その分燃費や性能は悪かったりするのだが、セオドールにとってはこちらのほうがしっくり来るようで、これを好んで使っていた。


 閑話休題、マリナさんが空間からあるものを取り出すと、皆は再び驚きの声を上げる事になった。


「……刀身が、ありませんね」


「そんなんでどうやって戦うってんだ?」


「興味が尽きないわね」


 そういえばアリスはセントラルの閲覧権限があるはずなので、調べればセオドールの魔道具は一通り確認できるはずなんだけどな。

 まあ僕も失われたものだとばかり思っていたので、仕方がないことではあるか。


「とりあえず獲物を見つけないとね」




 しばらく魔物を探していると、少し離れた地面が動いているのが見えた。


 向こうも僕達に気付いたようで、地面の盛り上がりがこちらに向かって動き始めた。


 そしてその盛り上がりは近づくに連れて大きくなっていき、僕達の前に到達するころには五メートルほどのゴツゴツとした岩の塊は人を模した形になっていた。


《レアアース・エレメンタル》


 ……レアアース? アースじゃなくて?

 そういえば、以前セオドールが言ってたような気がするが、……だめだ錬金術に関係無かったから、適当に聞き流してしまったせいで思い出せない。


「魔物は一体だから私が片付けるわ」


 そう言うなり皆の返事を待たずに、マリナさんはレアアース・エレメンタルに向かって駈け出した。 マリナさんが宣言をしてしまったので、皆見ているだけになってしまった。


 初見の敵に一人で挑むのは得策ではないのだが、まあ何かあれば助けに入ることくらいはできるだろう。


 間もなくマリナさんは、柄だけの剣を両手で持ちレアアース・エレメンタルと対峙した。

 レアアース・エレメンタルが振り上げ腕をマリナさんに向かって振り下ろすと、マリナさんは横にステップして回避する。


「はぁぁぁ!」


 そしてマリナさんの掛け声と共に、柄から光り輝く刀身が現れる。ん、あれ?


「おお、何だありゃ!? すげぇ格好良いな」


 ジークが目を輝かせてマリナさんの武器に見入っている。あれ格好良いからなぁ。


 それからは光り輝く剣でレアアース・エレメンタルの攻撃を受け止めながら、割りと余裕を持って力押しの戦いを繰り広げている。

 タイプとしてはジークに近いだろうか? それにしても――


「あの巨体相手に一歩も引かねぇってのは、さすがにすげえ力だな」


 ジークも僕と同じことに気付いたようだ。傍目に見てもレアアース・エレメンタルの一撃は相当な力をもっていることがわかる。

 しかしマリナさんはそれを物ともせずに戦っているのだ。


「ジークも気付いたみたいだね、近代魔道具で強化してはいるんだろうけど、見た目には解らなかったけど、恐らくは元々が怪り――」


 不意に高速回転する金属でできた物体が、僕の鼻先をかすめて通りすぎる。

 その物体は振り向いた先で地面に勢い良く突き刺さった。


 ……マリナさんが腰に下げていた剣?


 というか、腰に下げてた剣なんてさっきまで使ってもいなかったじゃないか。


「ごっめーん、手が滑っちゃった。今何か話してた?」


 声のする方を恐る恐る振り向くと、 マリナさんはおどけながら笑顔を浮かべていた。……が、その目は決して笑ってはいない。

 お、おう。


「イエ、ナニモ」


「ナンデモネエゼ」


 すると今度は僕の横で剣をスっと抜く音がした。……アリス、目が座ってるぞ。


「アリス、落ち着け」


「アリスちゃん、落ち着いて」


「アリスさん、落ち着きやがってくれ」


 慌てて皆がアリスを落ち着かせようと、ってジークの言葉が久しぶりにおかしい。その違和感が功を奏したのか、ひとまずは落ち着きを取り戻してくれたようだ。


 ……これから扱いには注意しないといけないな。

 ジークと目で会話をしながら互いに頷き意思疎通が出来たことを確信する。


これからちょくちょくアリスとマリナの冷戦が繰り広げられるのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ