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錬金術師は家に帰りたい ~百年寝過ごしたら自宅が異界化してました!?~  作者: ワイエイチ
神託編

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ちょっと落ち着こうか

気付いたら25万文字越えていました。

皆さんありがとうございます。

 先程まで寝ていたのを、変なタイミングで起こしてしまったせいか、アリスは目がさえてしまったようだ。


 これは完全に僕のせいだな。

 仕方ないので少しの間、話し相手になってもらうことにした。


「それでは、何か温かい飲み物を用意しますね。少々お待ち下さい」


 そう言って部屋を出て行こうとするアリスの表情は何やら嬉しそうだった。


 立っているのも何なのでソファーに腰を掛けて一息つくことにする。


 ……さて、と。

 折角ゆっくり話せる時間ができたので、ひとまず今日一日にあった色々な事を、アリスに話しておくことにしようかな。


 今日の出来事は、ここしばらくの出来事とくらべても中々インパクトが有る内容ばかりだったので、頭のなかで整理をしながら待つことにする。




 程なくして、アリスがティーセットを運んでリビングに戻ってきた。


「お待たせしました。どうぞ」


「あれ、いつものとちょっと香りが違うね。なんだか落ち着くよ」


「これは今日シェリルさんから頂いた茶葉を使っています。遠方より取り寄せたらしいのですが、リラックス効果が高いそうですよ」


 宣言以降、シェリルさんは日に日に輪をかけて忙しくなっているみたいだから、こういう茶葉一つにしても癒やしを求めているのかもしれない。


 普段はそんな素振りは余り見せないんだけどな。アリスが相手だと、また別の表情を見せるのだろうか。


 折角なので香りを楽しみながら口に含むと、心地の良い香りが口内に広がる。


「うん、おいしいね」


「そうですね、おいしいです」


 思っていた以上に美味しいので、つい表情がほころんでしまう。それを見たアリスも一口飲むと同様の感想を口にした。


 少しの間、香りと味を堪能しゆったりとした時間を楽しんでいた。


「そういえば、教会では何があったんですか?」


「ああ、それはね――」


 教会での出来事に関しては、アリスも気にしていたようだ。

 まあいきなり呼び出されたからな。しかも帰りも遅くなってしまったし、心配しないほうが無理というものか。

 ということはシェリルさんからは何も聞いていないということなのだろう。


 まずはグレゴワールとのやり取りや、シェリルさんを交えたあの恐怖体験をかいつまみながら話していく。


「――というわけで僕の勘違いもあったんだけど、いきなりお見合い話をされてびっくりしちゃったよ。何にしろ誤解が解けてよかった」


「……ちょっと所用ができましたので、今から外に出てきますね」


「うん、ちょっと落ち着こうか」


「私はいたって平静ですよ」


 アリスは小首をかしげながらこちらを見ている。

 いや、こんな夜中に突然、用事ができるわけ無いだろう。


 お見合いの話をして以降、なにやらアリスの様子がおかしな事になっている。

 魔術を撃たれそうになった件か? それともお見合いの件か?


 シェリルさんが説明していなかったのは、この危険性から逃れるために違いないな。

 そういう意味ではアリスのことがよくわかっているのだろう。


 とりあえず、お見合いの話はあくまでグレゴワールの信仰心からきたものなので、その点は必要ないことを彼に説明して理解してもらった旨を話しながらアリスをなだめる。


 シェリルさんの魔術の件は……、少々悩んだが一切フォローしないことにした。あとでみっちり怒られなさい。


 アリスも笑顔を浮かべているが、その背景には不穏な空気が渦巻いたままだ。なんかゴゴゴゴって擬音が見える気がしてくる。


 このままマリナさんが合流する件まで話しても大丈夫だろうか。


 少々心配……とはいっても、既にジークとエリーシャには説明済みなので、当然のことながらこのまま話さないわけにはいかない。

 ……仕方がないか。腹を決めて話す事にしよう。


「まあお見合いの件はともかく、他の事も話しておくよ。マリナさんが僕達のパーティーに合流することになった」


「マリナさんというと、トライアルの際に監督していた女性のことでしょうか?」


「よく覚えていたね。そのマリナさんで合ってるよ。グレゴワール曰く神託でそう言われているらしい。さっき話した見合いの件もマリナさんだよ」


「そうなんですか」


 アリスはそう言いながら席を立ち、そのまま部屋を出ていこうとする。まあ、まて。


「アリス、すまないけどおかわりもらっても良いかな?」


「かしこまりました」


 こちらに戻ってくると僕のカップにそそぎ、再び部屋から出ていこうとする。


「ひとまず座ってもらえないかな?」


「いえ、所用ができまして」


「今日初めて会ったわけだけど、グレゴワールは信心深い印象を受けたよ。パーティーに関してはお見合いを断られたからとか、そういう他意があるわけでも無いと思うから、大丈夫だと思う」


 お見合いの対象となったマリナさんが合流することに対して、グレゴワールの策略を感じたのかもしれないので、その点は否定しておかないとな。


 これまでマリナさんが誰ともパーティーを組めなかった事を鑑みれば、グレゴワールの話は筋が通っている。そこに嘘をつく必要はないだろう。


「それにマリナさん自体は、一人であの階層まで来れるんだから、セオドールの魔道具を幾つか有している事も考えて戦力として申し分ないと思う」


「確かにそうかもしれません。ただ……」


 アリスは少しだけ冷静になったのか、手を口に当て考えながら頷いている。


「ただ?」


「バーナード様は比較的簡単に人を信じてしまうように思われますので、少々不安には感じてしまいます」


 え、不安……かな? そんなに簡単に信じているつもりは無いんだが。




 その後、不審者を捕縛して教会に押し付けてきた事を話した辺りで、アリスも眠くなってきたようだった。

 再びアリスが寝られるタイミングを逃すといけないのでので、お開きにして部屋に戻り新しい魔道具の検討を始めることにした。


 そして現在、自室で幾つかの魔道具や素材を机に広げ、モノクルに映し出される図面や論文を前にして、考えにふけっている。


 ……幻覚魔術、か。

 改めて状況を思い出してみるが、かなり厄介な代物だった。

 いきなり水中に変えなかったのは、奴の演出だったのだろうか?


 少しだけ話す時間を用意しただけかもしれないが、今後いきなり致命的な事象を起こされる可能性もゼロではない。


 未だ名前も付けていない、付近の魔力をかき乱す魔道具。これがなければもっと苦戦していたかもしれない。

 今後のことを考えれば、この魔道具をもう少し洗練した上で全員分を用意しておくべきだろう。


 現代の魔術師には詠唱隠蔽があることだし、対魔術師用としてはこれまで以上に活躍してくれそうに思える。


 せっかくだから名前やデザインも凝っておきたいところだ。

 よし、やる気が出てきたぞ!

 夜はまだ長いことだし、今夜中にコア部分の洗練を進めよう。




 翌日になって教会に行く途中、少しだけ気になったので、寄り道して現場を見に行ったところ、僕が暴れた跡は綺麗サッパリ無くなっていた。


 てっきり現場には人だかりでも出来ているのかと思っていたのだが、実際はその痕跡自体無くなっているというのは予想外だ。


 まあ、余計な騒ぎなんて起きないに越したことはないから、何の問題もないのだが……。


 あれこれ考えても答えが出るわけではないので、気を取り直して本来の目的を果たすことにする。


 僕が何故教会に向かっているかと言えば、もちろんマリナさんに会って今後の話を進めるためだ。


 次回からはギルドで会議室でも借りてミーティングをすることになると思うが、昨日はそこまで色々と話を詰めることが出来なかった。


 アリスが《すごく》付いてきたそうにしていたが、別に長居するわけでもないので、家で留守番してもらうことにした。

 アリスがいると厄介事が増えそうな気もするし、一人で行った方が話が早いからね。


どうもアリスを書いているとヤンデレ方面にずれて進んでしまうような……。


アリスのヤンデレに、マリナのツンデレ?

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