表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金術師は家に帰りたい ~百年寝過ごしたら自宅が異界化してました!?~  作者: ワイエイチ
章名未定

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

321/321

食べごたえありそうじゃねえか

 タルタロス・ルフを倒した後、素材を採取し始めるとエリーシャは先程の出来事を振り払うかのように黙々と作業に専念していた。


 ……良いところまでは来ていると思うのだけれど何かが足りていない、そんな印象を受けた。それは決して実力ではなく、もう少しなにか違うもの。それが内的要因なのか、それとも外的要因なのかはまだわからない。


「できればなにか手助けができれば良いんだけどなあ」


「なんとかしてやりてえのはやまやまなんだけどな。ああいった時は手を出すのは邪魔になっちまう。まあ、あいつは弱くねえ。ちゃんと乗り越えるさ」


「そうだね」


 ジークもエリーシャのことを信頼して黙ってみている。ならば僕もそれに習うべきだろう。




 採取が終わり再び移動を開始する。少し地形情報も更新されていたので、把握できる範囲で怪しげな場所をピックアップして探索をすすめることにした。


 少し小高い場所に窪みらしき物があったので、ひとまずはそこに向かう。


「この上ですね。ここからではよく見えません」


「そうね、ちょっと面倒だけど登ってみるしか無いわね」


 アリスの言葉にマリナさんが嫌そうに反応する。まあ、先程から緩やかに下り続けていたのにまた登らないといけないというのは、なかなかに苦痛を感じてしまうのは仕方がない。


「地形が円形だし、もしかしたらガーディアンの領域かもしれないから頑張って登りますよ」


「わ、わかってるわよ。ほんの少しだけ愚痴ってみただけよ」


 マリナさんが少しバツが悪そうに顔を赤らめる。そんななんでもないやり取りをしながら一歩一歩登っていく。ただ、エリーシャだけは先程の一件が尾を引いているのか、難しい顔をしたまま口を閉ざしていた。


 そしてたどり着いた先にあったもの、それは――。


「こりゃあ、鳥の巣か?」


「んー、見た感じはそうみたいだね。結構大きいから、もしかしたらタルタロス・ルフの巣だったりして。あ、ほら卵もいくつかあるよ」


 大きめの巣の中には、これまた大きめの卵が四つほど寄り添うように鎮座していた。


「おお、なかなか食べごたえありそうじゃねえか」


「開口一番、食い気って……。まあ、確かに美味しそうではあるかも」


「よろしければ調理しましょうか?」


 ジークのド直球な言葉に誘導されてしまったらしい。本格的に食べる方向に気持ちが傾いてきた。すると何処からともなく誰かのお腹が鳴る音が聞こえてきた。


「ぷっ、ふふふ」


「――エリーシャ?」


「ふふ、ごめんなさい。考えにふけっていたらお腹が空いちゃったみたい」


 少し恥ずかしかったのか、エリーシャははにかむように笑う。それだけで周りの風が心地よくなったような気がしてくる。……うん。


「よし、それじゃあこの卵は回収させてもらおうか。親鳥にはちょっと悪い気もするけど、戻ってきたら面倒だし少し急ごう」


「おう、任せとけ!」


「それじゃあ、私も一つ運ぶわ。ん、結構重いわね」


 そう言ってエリーシャが一番端っこの卵を抱えて持ち上げた。それを見てからジークとマリナさんも卵を持ち上げる。最後の一個をアリスが持とうとしたので、それに先んじて僕が持つことにさせてもらった。


 丘を下り、近くにあった岩場の影に隠れるように休憩場所を確保する。


「ひとまず一つ割ってみて確認しますね」


 調理の準備をした後、アリスは人の頭くらいの岩を数個置いて卵の一つが倒れないように固定した。包丁を手に取り、注意深く卵の上部を切り取って中を覗く。


「とても新鮮ですね。これなら処理も簡単に終わりそうです。すぐに調理しちゃいますね」


「うん、お願い――ん?」


 視界の端で何かが動いた気がする。疑問に思いそちらを見ると、残された三つの卵の内の一つがカタカタと揺れていた。


「え、有精卵?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ