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錬金術師は家に帰りたい ~百年寝過ごしたら自宅が異界化してました!?~  作者: ワイエイチ
転移陣復活編

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アンダーストリート

 国王陛下の言葉が終わり、民衆がある程度落ち着いた辺りで、国王陛下が再び歩み始める。国王陛下が向かう先を近衛騎士団が先導し、その隊列で荘厳な道を作り出していく。


 突然移動を始めた事によって、民衆からはどよめきの声が漏れる。それも仕方がないことだろう。なんと言ってもこの町にはほとんど何もない。当然、外から訪れる貴賓客をもてなすための施設だって存在していない。


 では、国王陛下は何処へ向けて移動しているのか? 民衆の中にそれを説明できるものは一人も居ない。


 予定通りに事が進んでいるので、そろそろ僕は次の持ち場へ移動しなければならない。感動を噛み締めているところに水を差すことになるけど、フィリップ副司祭にはまだ転移陣を安定稼働させるための仕事が残っている。


「では、僕はそろそろあっちに移動しますね」


「うむ、そちらもしっかりと――いや、余計な心配か」


「こっちは大丈夫ですよ。それより、転移陣のことは頼みましたよ」


「任せておけ」


 フィリップ副司祭は自信気に笑みを浮かべている。自信はあるが、決して慢心しているわけではない。……これなら大丈夫そうだ。


 フィリップ副司祭をこの場に残して、予め設置しておいたマーカーへとインスタントポータルで移動する。視界が切り替わると、町のメインストリートを抜けた先の景色が目に入る。そして視界の向こうから国王陛下の一行がこちらへ向けて歩いている。うん、ちょうどいいくらいかな。


 さて、僕だけが先回りしてここで何をするかといえば、今回転移陣とセットで行われていたもう一つの計画の遂行だ。転移陣は再稼働を始めた。でもそれだけでは不十分だ。転移陣で王都からこの町へ訪れた客を、無事にアミルトまで導かなければならない。


 アイテムポーチから四組の魔道具を取り出して地面に打ち込む。


「セントラル、アンダーストリートの制御は頼んだよ」


『かしこまりました。魔道具の設置を確認します――確認を完了しました。起点に設置された魔道具へと接続します』


 セントラルの返答に呼応して、足元の魔道具が鈍い音を鳴らしながら薄っすらと光を放ち始める。


『接続完了しました。アンダーストリートを稼働します――稼働に成功しました』


「ありがとう」


 セントラルによる制御が成功したことで、地面に打ち込んだ魔道具に囲まれた四角の空間には、地下へと下りると階段が現れていた。


 これが今回用意したアミルトへの移動手段、アンダーストリートだ。予めアミルト側にもこれと同じ魔道具が設置されていて、双方を起動して接続することで新たな道を作り出した。


 この特殊な空間の特徴、それは二点間距離の短縮。このアンダーストリートを通ると、これまでは馬車で半日だったアミルトへの移動時間が、徒歩で十分から十五分程度と大幅に短縮される。


 ただ移動させるだけであれば、同じように転移陣を設置することでも解消は可能だし、その移動時間も一瞬だ。しかし、今回はある程度の移動時間を残したという点において、もう一つの大きな理由がある。




 国王陛下の一行がここにたどり着き、後ろを振り向いた。町の人達は設置された階段を見て驚きを隠せないようだ。


「我が愛すべき民よ。この場所に新たに設置した近代魔道具は近隣の巨大都市アミルトへと繋がっている。町の中心にある転移陣と合わせることで、この町は二つの巨大都市を中継することとなる。今日この時より、この町は新たに生まれ変わる事となる。衛星中継都市サテラ、と」


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