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錬金術師は家に帰りたい ~百年寝過ごしたら自宅が異界化してました!?~  作者: ワイエイチ
神託編

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亜神の力

 準悪魔化したディアボロスと戦い始めたものの、先程から何かこれといった手を打てていない。


 準悪魔化したとはいえ、その実力に関して言えばどうということはない。

 ならば何に苦労しているのか?


 むしろ問題なのは迂闊に傷つけてしまうと、再生した上で力が上がってしまうことだ。


 先程から時間を稼いでいる間、なるべく傷つけてしまわないように気をつけて防戦一方になってしまってはいる。

 しかしながら、ディアボロスがその余裕からかあまりに無防備に攻めてくるため、つい手が出てしまい数回ほど斬りつけてしまった。

 その度にやはり再生をしてしまったので悪魔化の段階もその分進んでいることだろう。


 体力的にはこのまま戦い続けることは難しくないが、いずれは手に負えなくなる可能性もあると考え、その前に何とかしなければならない。


「ソロソロ、アキラメロ」


「申し訳ありませんが、こんなところで死ぬつもりは無いんですよ。それに貴方の弱点が神具であることもわかっていますしね」


「ダガ、モッテイナイノダロウ?」


 ディアボロスもさすがにこちらの事情に気付いているようだ。

 まあ、弱点を知っていて手を打てていないのだから、それくらいは馬鹿でも気がつくことだろう。


 グレゴワール達が神具を持って駆けつけてくれれば事は簡単なのだが、モノクル越しにマーカーを見る限りでは僕達の場所を見つけられていないようだ。

 かと言ってディアボロスから目を話すわけにもいかない。


 神具はすぐに手に入らない。それは確定している。

 ならばその神具の変わりになりそうなものは何か無いだろうか?


 ……まてよ?


 神具が必要な理由は?

 神の力が宿った武器が必要だからだ。


 ならば何故神の力が宿った武器が必要なのか?

 悪魔憑きを討伐するために神の力が必要であり、人間には神の力を行使する術が無いからだ。

 人間が持ち得ない神の力を行使するには神具が必要となる。


 それでは、神の力を使えるとすればどうだろうか?


 僕は亜神でありこの身体にはアリス達数人分の力が宿っている。

 クローツの力が宿った神具には到底及ばないだろうが、本来の神具の用途は悪魔憑きを討伐することではない。

 ならば悪魔憑きくらいであれば僕の力でも何とかなる可能性もある。


 僕の拳で直接殴りつける。


 少々不安は残るが、このまま防戦を続けるよりは余程前向きな考えと言えるだろう。


 何より、先程からニヤニヤと笑い続けているディアボロスの態度が気に入らない。

 もしディアボロスに効かないとしても、あの顔を一発力一杯ぶん殴ってやりたい衝動に駆られている。


 よし。


 ディアボロスがもう何度目になるかもわからない無防備な一撃を繰り出してくる事を確認し、僕は月詠をアイテムポーチにしまった。

 そして拳を握り込み腰を低く落とし身構える。


「ナニ!?」


 そのまま襲いかかってくると思われたディアボロスは、僕の変化に何かを感じたのか咄嗟に距離をとった。


 ……カウンターでぶちかましてやろうかと思ったのだが仕方がない。

 僕は開いた距離を一足飛びに詰めてディアボロスの懐に入り込み、その勢いのままディアボロスの顔面をめがけて拳を振り抜く。


 そして僕の渾身の力を込めた拳は、まるで吸い込まれるように綺麗にディアボロスの顔面に突き刺さり、振りぬいた拳の勢いのままにディアボロスは大きく仰け反った。


 そして少しの間を置いて――


「グ、グアァァ!? イタミヲカンジル、ダト!?」


 大きく仰け反ったディアボロスが体勢を立て直したとき、その顔面からは先程までのにやけた表情は失われていた。


 痛みを感じていなかったのは意外だが、痛みを感じるのも久しぶりだったのか、その表情からは僕に対する強い憎しみがあふれているように感じられる。


 ディアボロスは今の出来事に警戒しているのだろう。再び僕との距離を少し開けて警戒を強めた。


 少しの間様子を見ていたがやはり想像した通り、僕の亜神としての力でも効いているようだ。

 ディアボロスの顔の傷は再生しないし、先程まで続けていた自爆気味の攻撃をしなくなったのは、僕の一撃が効いていた証拠と言っても良いだろう。


 それほど大きな傷を付けられたわけではないが、0が1になったのは非常に大きな進展だ。

 そういうことならば、魔道具で更に身体能力を強化しておもいっきりぶん殴ってやる!


 僕は身につけた魔道具を全て起動して身体能力を更に強化させる。

 ディアボロスは警戒を強めたようだが、だからといってそれで僕についてこれるわけではない。


 僕は地面を注意深く踏みしめて、ディアボロスの間合いに飛び込む。僕自身この速度は久しぶりだがディアボロスには僕の姿が消えたように見えたかもしれない。


 そして次の瞬間、先程よりも鋭い一撃がディアボロスの顔面に吸い込まれた。




 さて、僕が魔道具で強化した全力の一撃。

 その結果は、……先程の一撃とほとんど差は無いようだ。


 いや、正確には強化した分だけディアボロスが吹き飛んだ距離は伸びたし、その先にある建設中の建物には大きな風穴が空き、一部分が崩れるほどだ。

 その破壊力は思っていたよりも凄かったかもしれない。


 しかしながらディアボロスに与えられたダメージは先程の一撃との差はというと、まったく無さそうだ。


 再び目の前に現れたディアボロスの姿からは周りの被害に比例したダメージは通っていないことだけはわかる。

 顔面の傷が増えただけだ。


 魔道具による強化で物理的なダメージを強化したとしても、ディアボロスの中までは届かない。

 要するに亜神としての力そのものを高めなければならないということなのだろう。


 今直ぐにホムンクルスを増やすことが出来れば、……いやその考えは危険だな。

 僕が力を得る、それだけのために命を量産するべきではない。


 それでは違う方法で強化をする方法は?

 魔道具を使わない強化方法は、存在する。それを僕は知っている、いや先程偶然知ることが出来たと言うべきだろう。


(あたいが使ってるのは気の力だ!)


 マキナさんの言葉が頭をよぎる。


 マキナさんの言っていた気が、純粋に内包する力を指しそれを操っていたとすれば、僕が内包する亜神の力――神気とでも呼べば良いのだろうか、それを操り強化する事ができるかもしれない。


「セントラル、先刻のマキナさんの情報から気の動きや使用方法を分析してくれ。少しでも情報がほしい」


『分析は既に完了しております』


 ――上出来だ。


「セントラル、気の操作に関するサポートをしてくれ」


『かしこまりました。サポートを開始します』


 セントラルからの返答とともに、モノクルに僕の体内にうっすらと何かが巡っている様子が表示される。


 ……これは中々難しそうだ。

 呼吸の仕方、重心の保ち方、身体の動き、アリスのようにセントラルから直接サポートを受けることが出来れば即応が可能なのだろうが、あいにく僕はそこまでの恩恵をうけることは出来ない。


 この情報を元に戦いの中で学んでいくしか無いだろう。


 しかし今回の用途であれば全てを学ぶ必要がないのは救いだろうか。

 神気の操作は拳に集中させることにして、他の動きに関しては全て魔道具で強化することにする。


 マキナさんと違い全てを気の力で実現する必要はないのだから。




 訝しがるディアボロスを尻目に、攻撃を躱しながら神気操作の練習を続ける。


 ディアボロスも状況の変化に余裕が無くなってきたのか、その一撃一撃に焦りが見えている為によけやすくなったことも幸いだった。


 本来のスタイルはディアナに対して行ったように、時間を掛けて麻痺毒で動きを鈍らせて流星錘で止めを刺すものだったのだろう。


 しかし早く終わらせたいという焦りからか、大技に頼りソードブレイカーの使用頻度が先程までに比べて目に見えて減ってきたのだ。


 そして僕の方はといえば、目的を絞った事が良い方向に進んだのだろう。数回に一回だが拳に力を集中させる事ができるようになった。


 あとはこの拳に集中させた神気をインパクトの瞬間に爆発させるだけだ。


 ぶっつけ本番になってしまうが、そろそろ終わらせようか。


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