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# 第二十三話 403号室の猫会議

# 第二十三話 403号室の猫会議


「ぎゃああああああっ!!」


403号室に響く悲鳴。


かなめは完全に硬直していた。


俺たちは慌てて部屋へ飛び込む。


そして。


全員、止まった。


部屋の中央。


朝日が差し込むフローリング。


そこに――


白猫たちが、

綺麗に一列で並んで座っていた。


十匹くらい。


全員こっち見てる。


圧がすごい。


「…………」


沈黙。


ひまりがぽつり。


「猫会議?」


たぶんそう。


しかも。


一番前にいるタマだけ、

なぜか偉そう。


榊が吹き出した。


「ははっ……なんだこれ」


かなめはまだ青ざめている。


「え、え、なんで猫が整列してるんですか……!?」


「このマンションだから」


麗華が真顔で答えた。


説明になってない。


すると。


にゃー。


タマが鳴いた。


その瞬間。


猫たちが一斉にかなめへ近づいていく。


「ひぃっ!?」


かなめ後退。


でも。


猫たちは足元へすり寄ってくるだけだった。


まるで。


歓迎してるみたいに。


結衣が小さく笑う。


「……歓迎会ですね」


「猫の?」


「猫の」


すると。


かなめは戸惑いながらも、

そっと一匹を撫でた。


猫は嬉しそうに喉を鳴らす。


その瞬間。


かなめの表情が、

少しだけ柔らかくなった。


「……なんか」


「疲れてるの、バレてる気がする」


紗雪がぼそっと言う。


「……猫、人選ぶから」


「それ本当なの!?」


ひまりが驚く。


すると。


タマが、

かなめの足元へぽすっと座った。


まるで、

「ここにいろ」って言うみたいに。


かなめはその姿を見て、

小さく笑った。


「……変なマンション」


でも。


その声は、

少し嬉しそうだった。


その時。


ガサッ。


部屋の奥から音。


全員反応する。


「また!?」


俺もう条件反射。


懐中電灯持ちそうになった。


しかし。


押し入れから出てきたのは――


段ボールだった。


いや。


正確には。


段ボールに埋もれた人。


「……痛ぇ」


男だった。


二十代半ばくらい。


寝癖。


ジャージ。


死んだ魚みたいな目。


かなめが絶叫する。


「きゃああああああっ!!」


「うるさっ!?」


男もびっくりしてる。


「誰ですかあなた!?」


「それこっちの台詞だわ!」


カオス。


すると。


榊が顔をしかめた。


「……お前、405の怜司じゃねぇか」


知り合いだった。


「え?」


俺が見ると、

男――怜司は眠そうに頭をかいた。


「403、Wi-Fi強いから寝てた」


「最低だぁ!!」


かなめ絶叫。


怜司は悪びれない。


「いや空室だったし」


「不法侵入!!」


「バレてなかった」


バレてる。


完全に。


ひまりが爆笑していた。


「春風マンション、終わってる!」


否定できない。


すると。


かなめは頭を抱えた。


「私……本当にここ住むんですか……?」


その時。


にゃー。


タマが、

かなめの足にすり寄る。


結衣が優しく笑った。


「……大丈夫ですよ」


「え?」


「たぶん、慣れます」


「慣れたらダメな気がします……!」


正論だった。


でも。


かなめは少しだけ笑った。


その笑顔を見ながら、

俺は思う。


また一人。


春風マンションに、

居場所を探してる人が増えたんだって。


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