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第十六話 地下倉庫の奥の

第十六話 地下倉庫の奥の部屋


ガチャ。


南京錠が、

誰も触っていないのに揺れる。


地下倉庫に、

金属音が嫌に響いた。


「っ……!!」


ひまりは完全に涙目。


結衣も俺の腕を掴む力が強くなる。


俺も逃げたい。


今すぐ地上帰りたい。


だが。


ガチャ。


また揺れた。


しかも今度は、

内側から引っ張られてるみたいに。


「……誰かいる」


すずが青ざめる。


榊も真顔になっていた。


さっきまでの余裕がない。


麗華が低い声で言う。


「修司、大家に連絡」


「はいっ!」


やっと管理人っぽい仕事きた。


俺は慌ててスマホを取り出す。


だが。


圏外。


「は?」


地下だからか、

電波が死んでいた。


最悪。


その時。


カタン。


今度は、

木の扉そのものが揺れた。


「ひぃっ!!」


ひまり悲鳴。


白い顔で震えてる。


結衣も息を呑んだ。


でも。


紗雪だけは静かだった。


「……鍵、古い」


「え?」


「壊れそう」


その瞬間。


バキッ。


南京錠が落ちた。


「うわぁぁぁ!?」


俺が叫ぶ。


扉が、

ゆっくり開いていく。


ギギギ……


暗い。


真っ暗。


冷たい空気。


そして。


奥から、

何かが転がってきた。


コロコロ……


「っ!?」


懐中電灯を向ける。


丸いもの。


白い。


「……ボール?」


違う。


ヘルメットだった。


古い工事用ヘルメット。


そして。


奥から声。


「……誰かいるのか?」


男の声だった。


全員が止まる。


次の瞬間。


暗闇から、

作業服姿の中年男性が出てきた。


「うおっ!?」


逆に向こうが驚いていた。


「な、なんだお前ら!?」


「そっちこそ誰ぇぇぇ!!」


俺もう限界。


男性は懐中電灯を持ちながら、

困惑した顔をする。


「設備点検だよ!」


「また人間!?」


ひまり崩れ落ちた。


男性は頭をかいた。


「地下配管調べてたら閉じ込められてな……」


どうやら。


古い扉が勝手に閉まり、

内側から開かなかったらしい。


すずが慌てて駆け寄る。


「山田さん!」


「橘か! 助かったぁ……!」


知り合いだった。


完全に事故。


俺たちは、

しばらく無言だった。


そして。


ひまりがぽつり。


「……今日、全部これじゃん」


確かに。


幽霊っぽい

実は人間


こればっかりである。


麗華は深くため息をついた。


「このマンション、人を驚かせる才能あるわね……」


すると。


山田が不思議そうに聞く。


「なんでお前ら地下来たんだ?」


俺たちは顔を見合わせる。


そして。


305号室の話。


パソコンのメッセージ。


地下へ来た理由。


全部説明した。


すると。


山田の顔色が変わった。


「……305?」


「はい」


「宮坂さんの部屋ですよね?」


山田は少し黙る。


それから。


ぽつり。


「……あの人、よく地下来てたな」


空気が静かになる。


「何してたんですか?」


結衣が聞く。


山田は地下の古い椅子を見る。


「ここ、昔は住人の避難場所みたいになってたんだよ」


「避難場所?」


「家帰れない人とか、泣いてる人とか」


「宮坂さん、夜中ここで話聞いてた」


地下の冷たい空気。


でも。


その話は少しだけ温かかった。


すると。


山田が続ける。


「最後に会った時も言ってた」


『春風マンションを、一人ぼっちの場所にしたくない』って」


その瞬間。


結衣が小さく目を見開いた。


俺も、

胸の奥が少し熱くなる。


一人ぼっちじゃない場所。


それはきっと、

このマンションが目指してたものなんだ。


その時。


ピコン。


突然、

俺のスマホが鳴った。


地下なのに。


画面を見る。


非通知メッセージ。


そこには。


【管理人室の冷蔵庫見て】


そう表示されていた。


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