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第一話 雨の日に来た、最悪で最高の仕事

訳あり美人住人ばかりのマンション管理人になった俺、毎日が修羅場です


第一話 雨の日に来た、最悪で最高の仕事


「……家賃、今月までか」


コンビニ帰り。


夜十一時。


安アパートの階段に座りながら、俺――高瀬修司は、スマホの口座残高を見てため息をついた。


残高、四千八百円。


二十八歳。


職歴ボロボロ。


元ブラック企業勤務。


現在ほぼ無職。


人生、かなり終わっている。


「はぁ……」


その時だった。


ぶるる、とスマホが震える。


知らない番号。


「もしもし?」


『高瀬修司さんですか?』


落ち着いた女性の声。


『以前応募されていた、“住み込みマンション管理人”の件ですが』


「……え?」


思わず立ち上がる。


そんな求人、確かに勢いで応募した。


でも。


古いマンションの管理人なんて、どうせ落ちたと思っていた。


『急で申し訳ありません。前任者が逃げまして』


「逃げた?」


『はい』


即答だった。


怖い。


『もし可能なら、明日からお願いしたいのですが』


「え、明日!?」


『住居付きです』


「やります」


〇秒で決まった。


だって住む場所がない。


翌日。


俺は大雨の中、古びた五階建てマンションの前に立っていた。


看板には、


――春風マンション。


名前だけは可愛い。


でも実際はかなり古い。


外壁ヒビ。


階段ギシギシ。


郵便受けガタガタ。


「……大丈夫かここ」


その時。


ガチャ。


エントランスの扉が開いた。


「あなた、新しい管理人さん?」


現れたのは――


黒髪ロングの美人だった。


白シャツ。


細い脚。


眠そうな目。


なのに妙に色気がある。


「え、あ、はい」


「ふーん」


彼女はじっと俺を見る。


距離が近い。


なんかいい匂いする。


「……頼りなさそう」


「初対面で!?」


「冗談」


全然笑ってない。


「私は403号室の桜井紗雪。よろしく、管理人さん」


ぺこり、と小さく頭を下げる。


でも。


その瞬間。


――ギャアアアアアア!!


上の階から悲鳴。


「!?」


俺が顔を上げると、


ドタドタドタ!!


誰かが階段を駆け下りてきた。


「た、助けてぇぇぇぇ!!」


飛び出してきたのは、小柄な女性。


ジャージ姿。


ボサボサ髪。


泣いてる。


「ゴキブリ!! でっかいの出たぁぁ!!」


「……は?」


その直後。


カサカサカサ。


「うわぁぁぁ!? マジでいた!!」


でかい。


黒い。


速い。


最悪。


「管理人なんだから倒してぇぇぇ!!」


「初日なんですけど!?」


「早くぅぅぅ!!」


なぜかホウキを押し付けられる俺。


いや無理だろ。


怖い。


逃げたい。


でも。


ジャージ女は半泣き。


黒髪美人はなぜか後ろで見学。


なんだこの状況。


「くっそぉぉぉ!!」


バシィィィン!!


数分後。


俺は床に倒れ込んでいた。


勝った。


代償として心を失った。


「……すごい」


黒髪美人が小さく拍手する。


「ちょっとかっこよかったかも」


「マジで?」


「気のせいだった」


「どっちだよ」


するとジャージ女が目を輝かせた。


「管理人さん優しい……!」


ぐいっ、と距離を詰めてくる。


近い近い。


「わ、私は201号室の白石ひまり! 二十四歳! 在宅イラストレーター!」


「ど、どうも……」


「ねぇ、今日お礼にご飯食べる!? カレーある!」


「え?」


「あと相談あるの!」


「相談?」


ひまりは急に小声になった。


「……実は最近、夜になると変な音がして」


「変な音?」


その瞬間。


ギィ……


マンションの奥の廊下から、妙な音が響いた。


古い扉が開くような音。


全員がそっちを見る。


シン……と静まる空気。


そして。


カツン。


カツン。


誰かの足音。


ゆっくり。


暗い廊下の奥から近づいてくる。


「……また出た」


ひまりが青ざめる。


「毎晩、いるの……」


俺は思わず息を飲んだ。


そして次の瞬間。


暗闇から現れたのは――


「おい新人」


金髪。


鋭い目。


スーツ姿の美女だった。


「共用部の電球切れてんだけど。管理人の仕事サボってんの?」


「いや初日ぃぃぃ!!」


こうして俺の、

訳あり美人住人だらけのマンション生活が始まった。


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― 新着の感想 ―
題名読んだとき、なんと羨ましい職場環境!と思いいましたが、やっぱり一筋縄ではいかなそうですね(笑)ブックマークさせて頂いて、続きを読んで行かせてもらいますね!
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