表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
八重咲の勇者 ~最弱スキルで最強になれ~  作者: 賢河侑伊
第二部 浅紅の居合い娘 編
8/18

9話

 早朝、フェルグスに招かれ、騎士団の稽古場に行く。


 街に来て3日目で、騎士になるための特訓が始まった。まずは、甲冑を身に着けた上での持久走だ。これにより、基礎体力をつける。そして、木刀を使った実戦練習を行う。


 訓練→警備→訓練、と言う生活が続く。あっという間に一か月が過ぎる。


 騎士団の皆とも打ち解け始め、友人もできた。


 一か月半が過ぎたある日、ガクは稽古場に居た。実戦練習として、同じくらいのレベルの従騎士と稽古を行っている。


「つえー、ガク!」


 相手の従騎士は、へたり込み、大きく息を吐いた。彼は、エッカルト。小麦色の髪の青年だ。街に来て、すぐに声をかけてくれた。唯一の友だ。


「せこい技、使ってねぇだろうな」エッカルトが立ち上がり、ガクを睨みつける。


「つ……使ってないよ」


「ってことは……俺が弱いってことかぁ」エッカルトが、がっくりと頭を下げ、


「でもよぉ! もう、一回やれば、勝てるかもしれない!」


 そう言い、木刀を握る。


「エッカルト、剣の握り方はこうだ。ガク、手加減するなよ!」周りの騎士が、厳しい声を出す。


 北部同盟の者は、みな優しく、訓練を付けてくれた。それが嬉しくもあり、ある理由から気後れするところもあった。


 稽古を終え、喘ぎながら、エッカルトが、


「ったく、手加減しろよな」


「ごめん……」ガクが微笑みながら言う。


「謝るな! なぁに、すぐに追い越してやるけどさ」


 エッカルトが歯を見せて、ニッと笑う。歯が欠けていた。


「ガク、エッカルト、飯に行くぞ!」


 騎士たちが二人を呼ぶ。二人は食堂へと行く。


「育ち盛りなんだから、喰え!」


シェフが、そう言って、大量のパンと、鶏肉を出してくる。


「どちらがたくさん食えるかなら、俺が勝つぜ」エッカルトが微笑む。


 釣られて、ガクも笑う。こんなのは久しぶりだった。


「たくさん食えよ!」騎士の一人がビール片手に笑う。


 食事を終え、午後の稽古に取り組む。騎士たちは、厳しくも、丁寧に剣術を教えてくれた。あっという間に一日が終わる。


 ガクは、顔を荒い、稽古場から出る。遠くで、一人の女の子が見えた。


 おっ、すげーボンキュッボンじゃん、とエッカルトが言う。しかし、ガクには聞こえない。


 ガクの心臓が激しく鼓動する。


 桃色がかった白髪は、ボブに整えられている。そのぱっちりとした瞳と視線が合いそうになる。歳にしては、幼さの残る顔。


 ガクは咄嗟に駆け寄ろうとして、歩みを止める。


 逃げ出した僕が会って良いわけがない―


 ガクは心臓の鼓動を抑えるために、拳で胸を押えた。


 彼女の名前はチユキ。かつて、アイメルト家騎士団で、共に修行をした戦友。


 読んで頂きありがとうございます。感想、評価、レビュー、ブックマーク、お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ